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ポテトチップスさん

20代の頃、小説家を目指していました。 ですが実力がないと自覚し、小説家の夢を諦めました。ですが久方ぶりに、時空モノガタリ文学賞に参加させて頂きます。 ブログで小説プロットを公開してます。ブログ掲載中のプロットを、小説練習用の題材にご自由にご利用下さい。http://www.potetoykk.com

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バードストライク

15/01/01 コンテスト(テーマ):第七十四回 時空モノガタリ文学賞 【 空港 】 コメント:0件 ポテトチップス 閲覧数:1122

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休日が明け、千歳空港第一バードパトロール隊の詰所で作業服に着替えていると、横島彰浩が近づいてきて話しかけてきた。
「保田さん、昨日バードストライクがあったんですよ」
「マジで。飛行機大丈夫だった?」
「それが離陸する飛空機の操縦席にヒビが入っちゃって、急きょ飛行のとり止めになっちゃったんです」
「怒られた?」
「怒られましたよ。バードパトロール隊は何をしてるんだってね。隊長の久保木さんはこっ酷く叱られたそうですよ」
「そうりゃ、怒られるだろうな。操縦席にヒビが入って飛行のとり止めになったら。でも、操縦席にヒビが入るほどの衝撃があるって、相当大きな鳥じゃないの?」
「それが羽を広げたら2メートル50センチは超える、かなり大きなオオタカだったんです」
「2メートル50センチもあるオオタカって、珍しいだろ」
「そうっすね。なんか野鳥研究家が亡骸を引き取っていきましたよ」
「しばらくは、いつもより注意してパトロールしないといけないな。2度目が発生したら隊長の久保木さん、始末書書かされちゃうからな」
千歳空港第一バードパトロール隊は6つの班で編制されていた。保田が所属する班は第3班で、5人で結成されている。空港内に入ってくる野鳥を散弾銃の空砲と競技用のピストルを使用し、大きな音で追い払うのだ。
監視区域である千歳空港の中央で、目視と双眼鏡で野鳥の侵入を監視していると、さっそく渡り鳥が数羽、滑走路の上空に侵入しようとしていた。
保田は双眼鏡をのぞきながら、同じ第3班に所属する横島に言った。
「滑走路右側から8羽の渡り鳥侵入。空砲発砲用意!」
横島は渡り鳥の方角に目がけて散弾銃を向け、空砲を数発発砲した。音に驚いた渡り鳥は、飛行ルートを変え、滑走路上空から退避していった。
お昼の休憩に入り、保田がコンビニで買った弁当を食べていると、菓子パンを齧りながら横島が言った。
「昨日、飛行機の操縦席にバードストライクしたオオタカ、あんなに大きなのって僕、初めてですよ」
「羽を広げたら2メートル50センチを超えたんだろう。俺も今までの経験でそんな大きな鳥はみたことないな。空砲は発砲しなかったのか?」
「いや、散弾銃と競技用のピストルで何度も発砲したんですが、まったく逃げなかったんです」
「きっと獲物に夢中になっていたんじゃないかな」
お昼の休憩が終わり、また監視区域で警戒に従事した。
「航空機着陸3分前」第3班の班長である彦田洋介が言った。保田は双眼鏡で注意深く監視を続けていると、同じく双眼鏡で監視していた横島が「何だあれは!」と興奮気味に、指を指して言った。
横島が指で示す方角をみると、巨大な鳥が滑走路上空に近づいて来ていた。
班長の彦田が「着陸2分前だ! はやく発砲しろ」と語気を強めて言った。
保田らは空砲を何度も発砲したが、その巨大な鳥はまったく動じず、滑走路上空を旋回して飛んでいた。
「昨日のバードストライクしたオオタカの2倍はある巨体だ!」横島が散弾銃を発砲しながら言った。
保田はとっさに思った。『接触死したオオタカの親だ』と。
「航空機着陸1分前!」班長が言った。
南方の方角から飛行機が着陸しようと滑走路に近づいて来ていた。
「逃げろ! 逃げてくれ!」保田は空砲を発砲しながら、巨大なオオタカに向かって叫んだ。
班長の彦田も散弾銃の空砲を慌てるように発砲し続けたが、まったく巨大はオオタカは逃げる様子を見せなかった。むしろ、向かって来る飛行機を獲物のような目で見ているような気を、保田は感じた。
「保田さん、どうしよう! バードストライクしちゃうよ!」横島が焦るように言った。
「横島! あの巨大なオオタカは、昨日バードストライクしたオオタカの親だよ。敵討ちに来たんだろ!」
「そんな……、飛行機とぶつかって勝てる訳ないのに」
飛行機は着陸体勢に入り、騒音とともに滑走路に入って来た。
「やばい、弾切れになった!」横島が言った。
保田は腰にさしていた競技用のピストルを素早く抜き取り、横島に渡した。第3班の全員が散弾銃と競技用ピストルで空砲を鳴らしたが、まったく巨大なオオタカには無意味だった。
巨大なオオタカは、獲物に狙いを定めたように急加速で飛行機の操縦席に向かって飛んで行った。
「バーン!」という音が、保田の耳に聞こえた。
巨大なオオタカは、頭を下にして落下していった。その光景を、保田を含めて班員全員が無言で見つめていた。
不意に保田はその光景を綺麗だと思った。


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