1. トップページ
  2. 練り消しとしげじいとぼく

こぐまじゅんこさん

詩を書いたり童話を書いたりしている主婦です。 みなさん、よろしくお願いします。 MyISBN−デザインエッグ社さんから、絵本「おしえて!ねこばあちゃん」を出版しました。 アマゾンでも取り扱っていますので、よかったら みてくださいね。 ブログ「こぐまのノート」も書いています。

性別 女性
将来の夢 自分の書いた童話を孫に読んで聞かせたいです。
座右の銘 しあわせはいつも自分の心がきめる

投稿済みの作品

1

練り消しとしげじいとぼく

14/12/01 コンテスト(テーマ):第七十二回 時空モノガタリ文学賞【 喪失 】 コメント:0件 こぐまじゅんこ 閲覧数:1372

この作品を評価する

 ぼくは、小林そうた。四年生だ。
 ぼくは、勉強がきらい。授業中も、よく書き間違えては消しゴムで消す。

 ある日、消しカスを手でこねていたら、くるんと丸くまるまった。
 その次の日も、消しカスを昨日の分とくっつけて丸めてみた。昨日よりも、ちょっと大きくなった。
 その次の日も、その次の日も、ぼくは、消しカスをくっつけて丸めていった。
 授業中、先生の話を聞きながら、手を動かす。
 
 くるくるくるくる

 だんだん大きくなっていく消しカスが、ぼくは楽しみになった。


 ぼくには、近所に、しげじいという友達がいる。
 しげじいは、ぼくの死んだおじいちゃんの友達で、じいちゃんがいなくなった今でも、よくうちに遊びに来る。
 ぼくは、しげじいに、消しカスをみせた。
 しげじいは、消しカスを手に取ると、
「ほう、消しゴムのかすも、集めて丸めたら、こんなにきれいに丸くなるんじゃのう。役に立たんもんでも、大事に捨てずに、とっておいてやるなんて、たいしたもんじゃ。じゃけど、おまえ、先生の話は、ちゃんと聞いとるんか?」
 そう言うと、ぼくの頭を、つんと、つついた。
 ぼくは、
「えへへ。」
と笑いながら、頭をかく。
「もう少し、それを丸めたら、ピンポン玉くらいの大きさになるのう。そしたら、また、みせてくれよ。じゃけど、授業中は作ったら絶対ダメだぞ! 男と男の約束じゃ。」

 しげじいと、なんだか変な約束をしてしまった。
 それから、ぼくは、休み時間に、消しカスを作るため、ノートに勉強をするようになった。計算練習をしたり、漢字の書き取りをしたりして、消しゴムを使っては、消しカスを丸め続けた。

 こつこつ勉強しては、消していく。

 そのうち、消しカスが、あまりでてこなくなった。消しゴムを使うことが、減ったのだ。
 なんと、ぼく、勉強ができるようになったみたい。
 この間の、漢字の書き取りテストでは、百点がとれた。

 そのせいで、消しカスは、ピンポン玉の大きさには、ならなかったけど。

 久しぶりに、しげじいが遊びに来た。
「しげじい、ごめん。約束守れなかった。」
 ぼくは、しょんぼりうつむいて言った。
 しげじいは、
「あっはっは、約束には、守れんもんもあるわな。消しカスを作るより、勉強ができるようになった方が、わしもうれしいしのう。その練り消しは、今日で終わりじゃ。そうたが、消しゴムをあんまり使わんようになって、よかった、よかった!」

 「これ、しげじいの作戦だったんだな!まんまと、ひっかかったよ。」
 ぼくは、思わず笑って言った。

 小さいままの練り消しも、ぼくの手の中で、くすっと笑った気がした。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン

ピックアップ作品