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ゆうか♪さん

埼玉在住で、気が向いたら小説や詩やエッセイなどを書いています。                                                                                          下手の横好きで未熟者ですが、読んで下さった方がほっとするようなものをメインに書いていきたいと思っています。                                                                                                 たまに気分が沈んでいる時は暗いものも書いたりして、読者の気分を落とす危険性も……汗                                                                                                        こちらでは短編しか投稿できないので、その他の長編などは、ノベリストに投稿しています。                                                http://novelist.jp/member.php?id29090

性別 女性
将来の夢 色んな想いを描きたい。そして、それを読んだ方が何かひとつでも心の糧になるものを得てもらえたら・・何よりの幸せです。ヽ∩_∩ノ
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トライアングルミュージアムからの贈り物

12/07/03 コンテスト(テーマ):【 水族館 】 コメント:10件 ゆうか♪ 閲覧数:2131

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 小高い丘の中腹の、平べったい石の上に座って、二人は夜空の星を見上げていた。
 その瞳には、黄色く光る星々が悲しみの色を湛えて映っていた。
 二人はイトコ同士。そのせいで家族の反対を受け、今まで付き合ってきた年月に別れというケジメをつけたばかりだった。

   ***  ***  ***

 夏の夜空に輝く大三角。その三つの頂点は、ベガ、デネブ、アルタイルの三人が、不審者の侵入を阻止するために日々目を光らせていた。その大三角を横切るように大河ミルキーウェイが流れているのだが、その対岸にベガとアルタイルは配置されていて、いつもは遠くから互いを眺めるしかできないのだ。しかし、いよいよ待ちに待った今夜、二人は一年ぶりに任務を放れて大三角の中のトライアングルミュージアムでデートできるのだった。
 ミュージアムの中にはさそりのアンタレスを初めとして、いるかのロタネブ、かにのタルフやくじらのディフダ、はくちょうのデネブ、りゅうのエルタニン、うみへび・みずへびの兄弟、とかげのアルファ、うおのイータやとびうおのベータ、おおぐま・こぐまの親子など、大勢の水辺を好む生き物達がそれぞれ領地を与えられて暮らしていた。
 海の神ポセイドンは時折、行楽を兼ねてそのミュージアムを訪れ、皆の元気な姿を眺めて微笑ましく思っていた。

 普段はことなく過ぎる日々だったが、今日だけは違っていた。
 みんな緊張の面持ちでその時を待っている。
 ポセイドンは知らなかったが、今日、ベガとアルタイルはあることを決めていた。
 毎年毎年、せっかく会えても僅かな時間の逢瀬しかできずに引き離される。そんな悲しい別れはもうイヤだ――そう考えた二人は今日、ポセイドンの目の届かない遠くの世界へ旅立つ覚悟でいた。
 二人は不思議な指輪を手に入れ、それを互いに交わすことで金輪際離れ離れにはならないと信じていた。ミュージアムに住む生き物達はほとんどのものがそれを知っていて、二人が幸せになることを願っていたのだが、たった一人、りゅうのエルタニンだけは違っていた。

「やっと会えたね」アルタイルがベガに微笑み言った。
「ええ、やっと。一年ぶりね」ベガの頬が嬉しさに緩む。
「もう、金輪際 君とは離れないよ!」
「嬉しいわ!」
 ゆっくりとポケットから取り出した指輪を、アルタイルがベガの指に嵌めようとした正にその時、蒼く晴れていた夜空がにわかに掻き曇り、どす黒い雲に覆われた。
「何をしておるのじゃ!!」
 いきなりポセイドンの怒声が響き渡り、思わずアルタイルは指輪を落としてしまった。
 ヒューーーーー
 指輪は光の尾を引いて、遥か地上へと落ちていった。
「ああぁぁぁ、指輪が……」
 アルタイルとベガはたちまち絶望的な悲しみに包まれ、二人を見守っていたミュージアムの住人達も、彼らに憐れみの視線を送った。
「あははは。ポセイドン様に逆らおうなんて100年早いさ!」
 エルタニンだけが皮肉な言葉を吐いた。
 当然二人はすぐさま引き離されたのだが、落ちていった指輪は――

   ***  ***  ***

「ねえ、あれ何かしら?」
「うん?」
 琴美の指す方角に一つの光を見た彦一は、じっとその流れを目で追った。
「流れ星だろうか……」
「でも、ほらっ!」
 光はスーッと流れたかと思うと、くるくるっと輪を描いたり、微妙なラインを描きながら落ちてくるように見えた。
「流れ星とは違うみたい」尚も視線を外せないまま琴美が呟いた。

 しばらくすると、夜空に細い光のラインを描いていたものが、突如、周辺を明るく照らす巨大な光へと変わった。
 ピカッーー!!
 巨大な光は次の瞬間、二人の目の前で激しく輝き、同時に二人は薬指に激しい熱さを感じた。
「あっ!」「熱っ!」
 でも痛みはほんの一瞬だけだった。
 そして落ち着いて見てみると、二人の薬指には見たこともない蒼い石でできたような指輪が……。
 彦一が驚いて外そうとしてみたが、どんなに頑張っても外れない。琴美もそうだった。
 そして改めて見交わした二人の目には、もう悲しみの色はなく、そこには未来に馳せる思いと互いを思いやる気持ちが溢れていた。
「さあ、帰ろう。二人の家へ。そして二人の未来へ」
 彦一の言葉に、琴美は大きく「ウン!」と頷いた。


   ――七夕を間近に控えて――


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このストーリーに関するコメント

12/07/03 デーオ

そうきましたか(^-^)
面白かった。コンテストじゃないようだから、オレが特別賞あげよう。

12/07/03 ゆうか♪

デーオさん 特別賞ヾ(*´ー`*)ノ゛ありがとう♪

わぁ〜い\(^o)(^0^)(o^)/

12/07/04 智宇純子

七夕か!と、思わず声が出てしまいました(笑)
今年の七夕はいろいろ想像しながらの、楽しいものとなりそうです♪

12/07/04 ゆうか♪

ポリさん コメントヾ(*´ー`*)ノ゛ありがとう♪

わぁ〜♪ 楽しい七夕を迎えられるんですね! いいなぁ〜。
お天気になって、ちゃんと織姫と彦星がデートできるといいですね!

12/07/05 ゆうか♪

長月五郎さん 初めまして・・

わざわざコメントを残して下さってありがとうございます。
ベタな展開と感じられたのですね。私としては歓迎できないコメントでしたが、正直に書いて下さってありがとう。
お気に召さなくて残念でした。
人の感性は皆それぞれ違うので、読んだ方全員が素晴らしいと感じて下さるとははなから思っていません。

でもわざわざこういう風にコメントされるくらいですから、長月さんはきっと、ベタじゃない素晴らしい作品を書かれるのでしょうね。
是非読ませて頂き、参考にさせて頂きたいものです。楽しみにしております。m(_ _)m

12/07/08 汐月夜空

指輪が落ちる時間の間に、生まれ変わっていた織姫と彦星が指輪を受け取って幸せになった、というお話、でしょうか。ちょっと自信ないです。
星座関連のお話は知らないのでちょっと難しかったですが、最後に戻るべきところに指輪が収まり、彦一と琴美が幸せになったのが良かったです。
七夕を過ぎてしまってからのコメントで申し訳ないです。

12/07/08 ゆうか♪

汐月さん コメントありがとうございます。

生まれ変わり?
ああ、なるほど・・そう取られたのですね。
私は特にそんな風には考えてはいませんでした。
ただ、織姫と彦星の愛が実らない代わりに、二人を結ぶはずの指輪がたまたま地上の二人を結びつけた。
言わば運命のいたずら? みたいな・・そんな軽い気持ちだったんですが・・汗
織姫と彦星の代わりに誰かが幸せになれれば・・そんな想いです。

星座のことは私もチンプンカンプンなので、ネットで一生懸命色々調べてみました。(●´ω`●)ゞエヘヘ
この所テーマがどれも私には難問で、調べながらしか書けません。ww

七夕は今年も雨で 二人の出逢いは叶わなかったでしょうね。
でも それを過ぎててもコメントはとっても嬉しかったですよ〜♪
重ねて御礼申し上げます。m(_ _)m

12/07/14 ゆうか♪

究理さん、私の拙い作品に大変ご丁寧なコメントをありがとうございました。m(_ _)m

今回は七夕を控えて、そのイメージで書いたため、星座の表現などカタカナの使用が多くて少し読みにくいかな? と、思いつつ・・でした。
文字数が許されるなら、彦一と琴美との恋愛をもう少し具体的に書きたい所でしたがそうもいかず、少し物足りなさを感じられたのではないでしょうか?
にも関わらず過分なお褒めの言葉、とても感謝感激です。
どうぞ、今後とも宜しくお付き合い下さいませ。m(_ _)m

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