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myuzurinさん

20代の頃、フリーター&小説家志望で過ごし、今現在はアラフォー世代となりました。職場を転々とする中での実話か妄想か、生活する中での色々な境界線みたいなものがどこにあるのかに興味があります。投稿小説は10年ぶりですが、宜しくお願いします。

性別 女性
将来の夢 昔あったが今は無し。
座右の銘 石の上にも三年

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 誰にでもある秘密

14/10/09 コンテスト(テーマ):第六十七回 時空モノガタリ文学賞【 秘密 】  コメント:0件 myuzurin 閲覧数:1179

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秘密にするほどの話でもないが、私は犯罪者である。
それから、子供が生まれ、奴の世話をするだけが仕事となった。
社会に組み込まれるには奴を使うしか無く、それが不満と言うならば私は首を括るしかないのである。

「いらっしゃいませ」
「これ、もっと安くなんないの?」
「これは・・・そうですね、店長に聞かないと」
「あんた、何歳なのよ。自分で決めなさいよ」
「はー、そうですね、困ったな。あ、ちょっと東響くん」
「なんすか」
「お客様が値引きを希望しているんだけどね、どうする?」
「うーん・・・・2割引くらいでどうですか」
「どうせ不良在庫なんでしょ、まぁ、いいけど。ありがと」

「店長、クレーマーですか。なんかあったんすか?」
「特にないけどね、顔覚えとけ」
「はい」

何しろ日常は退屈でやってられないのだ。それで、私はスーパーマンになるべく人物を捜している。とは言ってもなかなかになかなかで、いいと思うと彼らは若すぎて、やっと捕まえた時にはもう遅すぎるのだった。
それでも家族は真面目に働く私と同じ歩調で生きてくれ、金銭面の不安も無く、他者の生活と押し並べて悪くないような人生を送っている。

何しろ若気の至りとは恋愛に限らず、何故そちらでの乱れと狂気に走らなかったのかと自分でも後悔しているわけだが、よくよく考えてみるとスーパーマンになれなかった者だけが送る人生を送っているのかも知れないので・・・。
「店長」
「ん?」
「やられました、あの棚」
「あ、あぁそう。後で監視カメラ見ておく」
「俺にも見せて下さいよ」
「やる気満々だなぁ、東響くんはいつも」
「やった、俺が捕まえてやる」

スーパーマーケットには、魅力がある。商品だけが常に神様で、もちろんお客様もカミサマで、私はポケットマネーを注ぎ込んでより良い生活を手に入れている。
この魅力をお客様にお届けすることだけが永遠の私のテーマであり、私のスーパーマンは永遠に商品なのかも知れない。なんて考えるようになったのだが・・・。

「これ、可愛い〜い」

目を凝らして見ると、若い主婦の持つものがキラッと光って見えた。
あれかなぁ。いつものことだ、目の錯覚なんだろう。
見立てには自信があったのになぁ。私の感覚で人を染めるか、他人の感覚を流れに乗せるかの違いでしかないが。

何しろ時間は目まぐるしい。新しい商品だけが常に魅力で、定番商品だけが常に必要であることに気付くのは廃盤商品を見る時だけである。
下らない話をするだけで済む世の中で、高級品と銘打つ商品など通用しない。

私は犯罪者である。
言い忘れていたが、勤務中の無駄口は、ダメだぞ。


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