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かめかめさん

http://ameblo.jp/kamekame1976/ ブログデシセイカツバクロチウ

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都市伝説

12/06/30 コンテスト(テーマ):第九回 時空モノガタリ文学賞【 群馬 】 コメント:2件 かめかめ 閲覧数:2320

時空モノガタリからの選評

最終選考

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哲は「怪談師」をもって自認している。
と言っても、怪談を自作し「これは友達が実際に体験した話なんだけど…」と、人に話すことを趣味としているだけだが。

きっかけは、小学生の頃。
クラスで怪談が流行り、放課後、知っている怪談を語り合った。
毎日そんなことを続けていたので、哲はすぐにネタ切れになってしまった。苦肉の策で、適当にありそうな話をでっちあげた。
反応は上々。怖がって泣き出す女子もいた。哲は自分の才能に満足した。
どんどん自作の怪談を続けたが、子供の興味はすぐに変わり、クラスで怪談をするものはいなくなった。

当時、通っていた塾で、試しに怪談を提案すると、みんなノッてきた。
おどろいた。
参加者の一人、違う小学校に通っているヤツが「友達から聞いたんだけど…」と話しだしたのは、哲の創作だった。
自分の怪談が巡り巡って、自分のもとに返ってくるなんて。
喜びのあまり、哲は震えた。
だがそれ以来、自分の怪談が自分のもとへ返ってきたことはない。世間の広さをぼんやりと感じた。

大学生になり、あまり怪談をする機会はなくなった。
サークルの飲み会や合コンでぽつぽつ語るくらいだったが、ネットで「怪談掲示板」を見つけてしまった。
怪談好きは探せばいるものだ。哲は同好の士と思う存分、語り合った。もちろん、怪談を。

二度目の、奇跡が起きた。
掲示板に、哲の作った怪談が、書き込まれていた。
広い世界がインターネットで近づいた、とはこういうことか。哲は泣きそうなほど喜んだ。

話はありふれたものだ。
「群馬県のとあるトンネルを3人だけ乗った車で通ると、誰もいないはずの席に、びしょ濡れの女が座っている」
哲のオリジナルはそこまでだが、書き込まれた話には尾ひれがついていた。
「この話を聞くと、その女がやってきて、トンネルはどこ?と聞いてくる」と。
自分の作品を改竄され、哲はむっとし、書き込んだ。

133 :本当にあった怖い名無し:
   その話聞いたけど女こなかったし、そもそも最後の一文ははなったぞ

148 :本当にあった怖い名無し:
oremo

152 :本当にあった怖い名無し:
まあ、怪談なんてそんなものw

しばらく眺めていると、掲示板では来た派と来ない派に分かれ、来た派が検討を始めた。自分の怪談が、こんなに大勢に知られている。哲は狂喜した。
検討が進み「語り継がれる過程で変化した」と解明された。そして「来た」と言う人の多さに、これは実話なのではないか、と言う意見が多数出た。
哲は喜びのあまり失禁しそうだった。検討はまだ続く。
なぜ「女がやってくる」と言う部分が生まれたのか、その理由に言及するものがいた。

879 :本当にあった怖い名無し:
   何度も語られる内、百物語の効果が生まれ幽霊を呼び寄せたのでは?

なるほど、それは面白い。哲は、次の怪談のネタにしよう、とメモを取った。
と、携帯に着信があった。サークル仲間の河田だ。
「もしもし?どーした河田?」
「お前、あの話、知ってるか?」
河田は珍しく真面目な声だ。
「なんだよ、あの話でわかるわけないだろ」
「お前から聞いたよな、あの怪談だよ!群馬県のトンネルでって」
「お〜。ナイス!今それ、2ちゃんで話題になってるよ。幽霊が訪ねてくるとか…」
「来たんだよ!!昨夜!」
「はあ?」
「昨日、合コン行ったら怪談になって、他のヤツがあの話したんだよ。したら、来たんだよ!寝てたら金縛りになって。目だけ動くんだ。枕元に立ってんだよ、女が!!」
「おい、よせよ。あるわけないだろ」
「ホントなんだって!そんで女が、帰りたい、トンネルはどこって聞くから、お前から聞いたから、お前のところに行けって言っちゃったんだよ。なあ、お前、知らないか?トンネルの場所?」

哲は携帯を切る。
知るワケがない。だって、作り話なのだ。
PC画面では、来た、来ないの論争が続いている。
「来た」というヤツの書き込みを読み漁る。
皆口をそろえて「寝ていたら金縛りに会い、枕元にびしょ濡れの女が立っていた」と言う。
よし、わかった。今夜は寝ない。そうしよう。いや、信じているわけじゃないが、念のためだ。
哲は自分に言い訳をしながら、さらに念のために、群馬県の心霊スポットを調べた。
「城下トンネル」よし、ここだ。ここでいい。作者のオレが決めたんだから、ここに違いない。

ふと、笑いがこみ上げる。何やってんだ、オレ?自分の作り話に怯えて、バカか?
PCを消し、立ち上がろうとした。が、体が動かない。

金縛りだ。
まさか。
バカな。
作り話なのに。
寝てないのに、なんで?

首筋に、誰かの息遣いを感じる。
うそだ。一人暮らしなのに。

必死で、金縛りを解こうともがく哲の肩に、ぽたり、と雫が垂れた。


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このストーリーに関するコメント

12/06/30 W・アーム・スープレックス

こういう言い方は古いかもしれませんが、PC時代の怪談ですね。2チャンネルが巧みにちりばめてあるのは独創的でよかったとおもいます。
失禁するほどの喜び―――大変おもしろい表現だと感心しました。
怪談のひとつの進化の形をみたおもいです。
今後の作品を、楽しみにしています。

12/07/03 かめかめ

>W・アーム・スープレックスさん
ありがとうございます

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