1. トップページ
  2. うちうじん

坂井Kさん

今年(2014年)は思い付きと勢いだけで書いてきましたが、来年(2015年)は、状況設定をもう少し固めてから書こうかな、と思っています。スティーヴン・キングによると、「状況設定をシッカリとすれば、プロットは無用の長物」らしいですから。

性別 男性
将来の夢 夢というより目標として、来年(2015年)こそ長編小説を書き上げたい。
座右の銘 明日はきっと、いい日になる。

投稿済みの作品

0

うちうじん

14/10/03 コンテスト(テーマ):第六十六回 時空モノガタリ文学賞【 舞い降りたものは 】 コメント:0件 坂井K 閲覧数:1244

この作品を評価する

 僕の通う中学校の校庭に、大きな羽が舞い降りて来た。その上に乗っていたのは「うちうじん」すがたかたちは人間とそれほど変わりはないけれど、変な雰囲気「うちうじん」Aくんは「美男美女だ」と言ったけど、Bさんは「何か怖い」と震え出し、Cくんは「違うな」と言って首を傾げた。

 先生が止めるのも聞かずに生徒たちは、校庭に出て遠巻きに「うちうじん」たちを眺めていた。Dくんが「ハロー」と言って手を振って、「馬鹿じゃないの」とEさんに軽蔑されて、怒り出す。初めに一歩を踏み出して、近付いたのはF、つまり僕。僕はソロソロ近付いて、「君たちは何処から来たの?」と声を掛けた。

「我々は君たちの言う『うちう』から来た。だから――そうだな『うちうじん』そう呼んでくれて構わない。そして君らは『ちきうじん』『ちきう』に住んでいるからね」一人の美女が流暢な日本のことばで答えてくれた。ことばが通じてホッとした、GとHの兄妹が、次々と質問し始める。

「君らにも、それぞれ名前があるんだろ? 聞かせてくれよ。俺はG。こっちは妹、Hって名だ」「大きな羽は宇宙船? それとも、それは生きてるの?」「どこの星から来たんだい?」「その服キレイね。素材なに?」「私は<<<<<」「私は*****」「私は}}}}}」……。

「うちうじん」たちは名前を言ったけど、僕らの耳には口笛を鳴らしたようにしか聞こえない。他の答えも同様だ。「大きな羽は>>>>>」「+++++からやって来た」「服の素材は{{{{{」だから名前を呼べなくて、みんな困っていたところ、絶対音感を持っているIさんが気付いて、こう言った。

「どうやらみんな、音階が違っているわ。右から順にド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ、そういう風になってるわ。だからねえ、そういう風に呼びましょう」――ということで「うちうじん」たちの呼び名は「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」。ちなみに「ド」「ファ」「ソ」は男性で、「レ」「ミ」「ラ」は女性のようだった。

「うちうじん」たちは羽から降りて来て、横一列に並んで立った。僕と五人の級友が「ちきうじん」代表として同じく立った。

 うちうじん「ド」は大きな羽から降りて、ちきうじんAの前で立ち止まり、右の手を開いて前に差し出した。

 うちうじん「レ」は大きな羽から降りて、ちきうじんBの前で立ち止まり、両手を肩より上に挙げ、横に大きく振り出した。

 うちうじん「ミ」は大きな羽から降りて、ちきうじんCの前で立ち止まり、頭を軽く下げて止まった。

 うちうじん「ファ」は大きな羽から降りて、ちきうじんDの前で立ち止まり、手の平を胸の前で合わせた。

 うちうじん「ソ」は大きな羽から降りて、ちきうじんEの前で立ち止まり、あっかんべーと舌を出した。

 うちうじん「ラ」は大きな羽から降りて、ちきうじんF(つまり僕)の前で立ち止まり、唾をペッペッと顔に向かって吐きかけた。

 ちきうじんAは、同じく右の手を開いて前に差し出した。

 ちきうじんBは、同じく両手を肩より上に挙げ、横に大きく振り出した。

 ちきうじんCは、同じく頭を軽く下げて止まった。

 ちきうじんDは、同じく手の平を胸の前で合わせた。

 ちきうじんEは、同じくあっかんべーと舌を出した。

 ちきうじんFは、同じく唾をペッペッと顔に向かって吐きかけられず、唾をペッペッと足下に向かって吐きかけた。

 すると、うちうじん「ド」は、ちきうじんAのお腹を蹴った。

 すると、うちうじん「レ」は、ちきうじんBの腕を殴った。

 すると、うちうじん「ミ」は、ちきうじんCの頭を叩いた。

 すると、うちうじん「ファ」は、ちきうじんDに往復ビンタを見舞った。

 すると、うちうじん「ソ」は、ちきうじんEに頭突きを喰らわした。

 すると、うちうじん「ラ」は、ちきうじんFの唇にキスをした。甘くて熱いキスだった。

 それから後が大変で、先生と血の気の多い生徒らが、「うちうじん」たちと揉み合いに。騒然とした現場の中で、僕と「ラ」だけが(一瞬だけれど)見つめ合い、「ラ」はニッコリと微笑んで、僕の手に何か握らせた。

「うちうじん」たちは結局、大きな羽まで追い返されて、その後すぐに舞い上がり、ふわふわ浮かんで空へと消えた。

 僕の手に残ったものは丸い球、キラキラ輝く丸い球。価値があるかは分からない、けれども綺麗な丸い球。甘い匂いに誘われて、何とはなしに口の中。入れると、キスの味がした。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン