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ゆえさん

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性別 女性
将来の夢
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彼のあだ名は「王子」

14/09/08 コンテスト(テーマ):第六十四回 時空モノガタリ文学賞【 詩人 】 コメント:0件 ゆえ 閲覧数:1366

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「泣かないで。君の涙は真珠よりも、美しいけどでも、君が泣くと、僕の世界はとたんに悲しみで悲しみで溢れてしまうよ。」
そう言われてポケットから出したハンカチで私の涙をぬぐった。
学校中のみんなから「王子」とあだ名をつけられた、正輝の暖かい手の体温がハンカチを伝って幸子の頬に触れる。

「・・・ありがとう、王子。」涙目の幸子は少しだけ笑った。
目からは大粒の涙が流れるが、顔は笑い顔だった。
「・・・やっぱり、君には笑顔が似合うよ。君の笑顔を見ると青空の下で咲く大輪の向日葵を思い出す。笑顔な君が好きなんだ。」とほほ笑むとそのままハンカチを幸子の手に握らせて、去って行った。


まるで、おとぎ話に自分が入り込んだようだった。
意地悪な魔女(顧問)にいじめられて泣いている村人Aに手を差し伸べる王子様。
それまで王子とは一言も話した事なんてなくて、陸上部の自分とは世界が違う人間だと思っていた。みんなに囲まれて「さち」と愛称で呼ばれている自分とかたや、「王子」と呼ばれ、皆から羨望の眼差しで見られている人。
王子はいつも一人で読書をしたり、窓の外を眺めていたり、木陰の下で本を読んでいたから。私は校庭をランニング、よく木陰の下で王子が本を読んでいるのを眺めているぐらいだった。いつも汗だくな自分と比べると、この人は汗なんてかかないんだろうなと勝手に思っていた。
王子のあだ名通り、学年首位、容姿端麗。男子から嫌われそうなもんだけどそんな事もなく学校のみんなとは一定の距離を置いているように思えた。
そう、そこまでみんなと雑談をする姿はみなかったからだ。

その日以来、幸子はなんとなく王子が気になった。

自分の家で洗濯したハンカチをこっそり持ち歩いていつ返そうかと持ち歩くも、相手は生徒会長なだけがあって、中々一人になっている様子もない。

「今日もダメだったか・・」と放課後の昇降口を出ると雨の音が響いた。
今日は雨なので陸上部は急きょ休みになり、チャンスちばかりに王子を探す見つからず。
諦めて帰ろうとカバンから折り畳み傘を広げた所だった。
ガチャ。と下駄箱の扉を開ける音がする。
振り返ると王子だった。

「あ!王子!」と思わず声があげる。
靴の履くとニコリをほほ笑みながら「雨だね。風邪をひかないようにね。」と切れ長な瞳を細くしながら言う。
「あ、あの・・。王子、傘ないならコレ、使う?」と自分の折り畳み傘を差しだす。
「・・・君はどうするの?」
「あ・・私は陸上部だから走って帰るよ!」と慌てて返す。
バカー。せっかくなら一緒に帰ろうって言えばいいのに〜
「・・・女性が雨に打たれるのは好きじゃないな・・
(ですよね〜。だって王子ですからね〜、私ったら本当にバカ。)
・・せっかくなので、一緒に入らせて頂こうかな。」
(え?)
と言うと幸子から折り畳み傘を取り広げて
「さぁ、どうぞ?」と幸子に手招きをする。
「あ・・お邪魔します・・。」自分の傘なのに、そこは王子の空間のようだった。
すこし距離を置いていると王子はクスリと笑い、
「さち・・さん、もう少し寄らないと濡れるよ?」とさちの右肩に手を回す。
「ひゃぁ!あ、そんなお気遣いなく・・・」と真っ赤になるさち。
いざ二人になる何を話したらいいのか、距離が第一近い!と思っていると王子が笑い出した。
「君は・・・本当に可愛い人だ。まるで猫のようだね。今は借りてきた猫だけど。」とククッと笑う。
「猫??あ、天パでショートだから猫っぽいの??」
「いつも授業中に寝ている姿をみて春の陽だまりの中でくつろいでいる猫のようだと思っていたよ。グラウンドを走っている姿も素敵だ。目つきがいつもとは違ってネズミを追う猫みたいで素敵だよ。その髪の毛も僕はいつも触ってみたいと思っているよ。」とほほ笑んでいる。
(・・・恥ずかしい・・・)自分の顔が赤くなるのがわかった。
「良かった。君が笑顔で。君の笑顔はどんな物よりも美しくて心が温まる。まるで春の日差しのような・・。」
「コレ!」あまりの恥ずかしさに耐え切れなくなって鞄からハンカチを取り出す。
「あの時は本当にありがとう。」と言って渡すと王子はほほ笑んでいった。
「どういたしまして。ちなみに、僕は空が青く晴れて、そこを君が飛ぶように走る姿を見るのも好きだけど、雨で君が隣にいる時間も素晴らしく素敵な時間だと思っているよ。雨の音がまるで僕らを祝福してくれているように感じるからね。」と今日一番の笑顔を見せれられた。

正直、恥ずかしいけど、これはこれでいいかなと思う自分がいた。


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