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ヨルツキさん

宇宙が大好きな物書きです☆ 書いていないと具合が悪くなります。文庫本を片手に空を見上げていたら、それはワタクシです☆ ※画像はレフカダさんの作品です(無断転用禁止)

性別 女性
将来の夢 ガツガツしないで穏やかに生きる人間になるコト
座右の銘 人事を尽くして天命を待つ

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Mr. & Mrs. イトウ

12/06/23 コンテスト(テーマ):第七回【 結婚 】 コメント:2件 ヨルツキ 閲覧数:3060

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「『いつか会社を辞めてやる』って言うけれど、私たちも『いつか離婚してやる』って思っているわよねえ〜」ミセス・イトウの声にそうよそうよ、とマダム友だちが笑い声をあげた。
「誰のおかげでメシが食えると思ってるんだよな。俺たちが働いているから3食昼寝つきの生活してやがるんだぜ」ミスター・イトウの声にそうだそうだ、と仕事仲間が笑い声をあげた。

 結婚式を挙げて30年。
 3人の子どもたちは自立をし、2人で穏やかに暮らしている。
 財布の紐はミスター・イトウが握り、ミセス・イトウは家事に専念だ。
 新婚のころは甘い毎日。2年もすれば子育てに忙しく、5年もすれば恋など忘却。8年たてばお互い空気。ケンカをするのもわずらわしい。
 
 結婚とは永遠の愛を誓いあうこと――。
 ああ、はいはい、とミスター・イトウはネクタイを締める。アレだろアレ。知らないうちに掃除や洗濯をやってくれて、おまけに夜の相手もできて、それらをぜんぶの給料をぶちこんでやるっていうアレだアレ。給料がなけりゃ、家族は解散。そういう意味だろ。じゃあ、いってくる、と靴を履く。
 ええ、そうねえ、とミセス・イトウはフライパンを握る。アレでしょアレ。食べるものぜんぶをまかされているってコト。命のすべてを握っているコト。たとえば、そうねえ、この食塩。これを毎日少しずつ増やせば、あっという間に成人病。保険の名義は私だし? アリバイばっちり、問題なし、と大量の塩コショウで味付けだ。

「あら、あなた。お帰りなさい。お疲れさまでしたわね」
「ただいま。いい1日だったかい?」
 ミスター・イトウとミセス・イトウは玄関先でキスをする。
 ――いってらっしゃいのキスとおかえりなさいのキス――。
 結婚式で誓った慣わしだ。30年間、1日たりとも欠かさない。約束を破ったその瞬間、契約解消の証となる。
 にっこりと笑い合うミスター・イトウとミセス・イトウ。
 ミスター・イトウの手には通帳が、ミセス・イトウの手には化学調味料が、つねにある。



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このストーリーに関するコメント

12/06/26 ヨルツキ

ありがとうございます☆

もう一方の手は、みなさまのご想像にお任せします。
が、――やはり30年も夫婦をやっているのですから、一応ウツクシク相手の背中に手を添えている、という形はいかがですか。握り拳にナイフ付きかもしれませんが(笑)

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