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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

性別 男性
将来の夢 この世で最も面白い物語を見つけ出したい。
座右の銘 Do what you enjoy, enjoy what you do.

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未来巡りは山手線外回りで

14/08/04 コンテスト(テーマ):第六十二回コンテスト 【 未来 】 コメント:8件 鮎風 遊 閲覧数:2596

時空モノガタリからの選評

夜中の山手線での未来旅行、なかなかスリリングな旅行ですね。山手線の形状が終点のない未来旅行にピッタリだと思います。こうなると時間の始点と終点さえ分からなくなりますね。こんな風に、時間というものは直線的にどこかへ向かうのではなく環のようにループし続けていて、未来も過去もないのではないかも、と想像してしまいました。破壊的な未来がこの先待っていたとしても、再度フリダシに戻るのであれば、絶望せずに生きられるような気がします。あるいは二巡目には、最初とは少し違ったバージョンの未来が待っているのでしょうか?同じ未来が何度も繰り返されるのか?二巡目の未来旅行も体験してみたいと思いました。

時空モノガタリK

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 耕介は家業を継いで欲しいという父の願いを振り切り、10年前都会で働き始めた。しかし、現実はそう甘いものではなかった。それでも朝から晩までこま鼠のように頑張ってきた。その原動力は父に対する男の意地だったのかも知れない。
 そして最近のことだ、母が電話で、父が病に伏せたという。さらに、そろそろ初孫の顔を見せてくれないかと漏らした。
 今の暮らしでは、結婚なんてほど遠い。しかし、母の言葉はやはり重い。
 一体俺は、未来に向かって何をしたら良いのだろうか? こんな迷いと自信のない日々が続いた。だがある時、旅行社の宣伝文句が耕介の目に飛び込んできた。

◇ 日帰り旅 : 未来巡りを、あなたに!
 えっ、未来って? しかも日帰り…嘘でしょ。
 しかし、現状打破したい耕介の好奇心に火が点いた。後は一直線に店内へと。
「看板の未来巡りを」と申し出ると、「あら、お目がお高いこと、当社の特別プランなの。だけど皆さん、そんなの眉唾ものだと、未だ契約を頂いておりませんわ」と亜希と名乗るスタッフが応対してくれた。これに耕介がふんふんと頷いていると、さらに「お客様、未来から現在に戻って来れるか心配なんでしょ。大丈夫だってばぁ。だから是非、契約第一号になって頂けませんか」と、亜希は押しの一手。
「で、費用は?」、肝心なことを外さず耕介が尋ねると、「たったの10万円よ、高過ぎ晋作なんて言わないでね。だって私、プリティウーマンがガイドさせて、頂き退助よ」と、板垣退助からの多少のズレも気にせず、ギャグを噛ませながら迫ってきた。耕介はこんな風変わりな愛らしさに負けてしまい、お願いしますと申し込んでしまったのだ。

 夜中の2時、亜希と東京駅で待ち合わせた耕介は特別な入り口から入り、5番線ホームへと連れて行かれた。
「えっ、新幹線じゃないの?」
 耕介が思わず呟くと、亜希は自信たっぷりに、「未来巡りは山手線外回り、過去巡りは内回りで可能よ」と言う。そうなんだ、と妙に納得する耕介の目の前に、黄緑色の車両がスーと入って来た。周りを見渡すと二人だけ、他に誰もいない。そこで時刻表を確認すると、終電は1時03分とある。ということは、これは誰も知らないミステリー電車か?
「さっ、旅立ちよ!」
 亜希の掛け声に煽られて、乗り込んでしまった耕介、後は覚悟を決めるしかなかった。

 電車はスムーズに発車し、夜はすぐに明けた。そして新橋、品川へと。車窓から見る建造物がどんどん近代化されて行き、やがて渋谷に。
「ひぇー、これ、どうなってんだ!」
 超々高層ビルが天を貫き、その合間を小型飛行物体が上下左右に飛び交ってる。亜希の弁によれば、ここは1千年先の渋谷だとか、…と感激しても腹は空くもの。宇宙エレベーターで30km昇り、大東京を眼下に、自称プリティウーマンとゆるりと食事を取った。それから戻り、一路1万年先の新宿へと。
 ぶったまげた! そこは荒涼とした平原。どうも核戦争が勃発し、地球が壊滅した跡だとか。これが堪らず、そそくさと1億年先の池袋へ。そこはまさにジャングルだった。冒険しようと、二人が這いつくばって散策すると、牙を剥いた大型肉食恐竜・ティラノサウルスがドドドと向かって来るではないか。これって、ひょっとして…我々が獲物? 耕介は思わず亜希の手を取り、脱兎の如く駅へと戻り、次の日暮里へと。
 その途中だった、ドカーンと大音響が轟き渡る。地球に大きな隕石が衝突したのだわ、とさらりと語る亜希に、耕介はへえとしか返せない。その内、視界に氷河の大地が。外へ出れば凍死してしまいそう。ということで、急ぎ百億年未来の上野へと。
 よく見ると、草原を毛むくじゃらのオヤジが二足歩行しているではないか。新人類誕生と囁いた亜希に、なるほどと耕介は納得。さらに電車は一千億年先の秋葉原へ。この辺りから風景が目まぐるしく変化する。江戸から東京へと、そして爆弾で町は炎上し、神田を過ぎて、634mのタワーが突然現れた。こうして二人は山手線で一巡し、今の東京駅へと戻って来たのだ。

「未来は終点のない山手線外回りにある。だから永遠なのよ」
 こんな結論を下した亜希に、耕介は逆らうつもりはない。だがちょっと不満で、近未来を見てみたいなあ、と漏らした。
「じゃあ、おまけで、三年先の品川へ行ってみましょ」と再乗車する。そしてそこで二人は信じられない光景を見る。
 大きな荷物を抱えた男と、赤ん坊を抱いた女、きっと夫婦なのだろう、「初孫に会えるの、お義父さんは楽しみにしてらっしゃるわ」、「ああ、これから田舎で、三人仲良く暮らそう」と会話しながら新幹線ホームへと足早に去って行った。

 こんな家族の情景を目の当たりにした耕介、背筋をキリリと伸ばす。
「品川駅の、この僕らの未来を現実にするため、亜希さん、お付き合いください!」


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このストーリーに関するコメント

14/08/05 夏日 純希

発想がおもしろいですね。
ふと、気になって調べるみると、外回りが時計回りなんですね。
山手線の真ん中に時計を思い浮かべて読ませていただきました。

14/08/05 草愛やし美

えっ、もしやと最後の近未来まで来て思ったことが、オチになっていました。

鮎風遊様、拝読しました。亜紀さんは、プリティだけど、中身はおやじなのね、そこで気が合ったのでしょうねえ。
私、まんまとおやじに落ちてしまい、「高過ぎ晋作」で、一瞬、晋作の読み方がわからないと戸惑ってしまいました。「頂き退助」はさすがに二度目なので、わかりましたけどね。って、自慢している場合じゃないか。苦笑 笑えました。

山手線乗る時は、これから注意しなくてはと、思いました。面白かったです。

14/08/06 泡沫恋歌

鮎風さん、拝読しました。

山手線で未来巡りって、飛んでもなく面白い発想ですね!
「未来は終点のない山手線外回りにある。」この言葉に妙に納得してしまった。

未来の姿を見てしまったので、付き合ってくださいって言いやすくなったようですね。
二人の未来に幸いあれ!

14/08/07 そらの珊瑚

鮎風さん、拝読しました。

山手線がタイムマシーン!
幸せな未来が見られて、10万円なら安いかな。

14/08/19 鮎風 遊

夏日 純希さん

コメントありがとうございます。
そうですね、外回りが時計回り。
未来へと進めますよ。

14/08/19 鮎風 遊

草藍さん

コメントありがとうございます。

頂き退助、ご理解いただきありがとうございます。
こんなだじゃれ、趣ないかな?

14/08/19 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

コメントありがとうございます。

未来は永遠、ぐるぐる回りですからね。
中央線でいきなり未来へと貫く方法もありますよ。

14/08/19 鮎風 遊

そらの珊瑚さん

10万円なら値打ちありますよ。
内回りは過去巡り、どっちにしろ出発点に戻ってきますが。

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