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揉男さん

性別 男性
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きまぐれ。

14/07/29 コンテスト(テーマ):第三十六回 【 自由投稿スペース 】 コメント:0件 揉男 閲覧数:1159

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ある大学生の男がいた。彼は卒業間近に控えた大学生だ。
就職活動では、努力の甲斐もなく未だに内定が出ていない。
彼は焦っていた。
大学時代は4年間、演劇サークルに入り精力的に活動を行っていた。
しかし彼は俳優になるという道は選んでいない。

ある日、ある企業の面接を終え公園のベンチで休んでいた。
梅の花が咲いており、卒業間近なのを更に実感させる。
午後4時、そろそろ帰るかというところ隣に老婆が座ってきた。
老婆「大学生かい?」
大学生「はい。そうです。」
老婆「疲れた顔してるね。どうしたんだい?」
大学生「今、就職活動中なんです。ただ、未だに内定がもらえず…。」
彼は苦笑して答えた。
老婆「そうなのかい。大変だねぇ。」
大学生「そうですね…。どうしたらいいのか自分でもわかりませんよ。」
老婆「…一つ聞いていいかい?」
大学生「はい。」
老婆「好きなことってなんだい?」
大学生「演劇が好きです。」
老婆「じゃあ、演劇をしていきたくないのかい?」
大学生「好きですけど、仕事にするのはちょっと…。」
彼自身、「仕事にはしない」は本音だった。
老婆「そっか。」

大学生「自分自身、何がしたいのかわかりません。なのに就職活動を行っています。
こんなにも将来が明確でないのに社会に出るって、
面接に行く企業にも失礼だし社会人としてもおこがましいですよね。
正直参ってますよ。」

老婆「上手くいかないからって自分を責めちゃいかん。
目を見せてもらってもいいかい?」

大学生「目ですか?どうぞ。」

老婆は大学生の目をジッと見た。

老婆「ありがとう。綺麗な目をしているね。熱意溢れる若者の目だ。
でも、それは目の奥底。表面は今にもただれ落ちそうなほど弱い。
ほぉ〜、不器用で人付き合いは苦手。大学時代は恋愛経験なし。童貞かい。
責任感は強いが、責任を感じやすい。打たれ強いかと言われるとそうでもなく、
ただし熱意と元気のよさはありそうだね〜。
梅干しが好きで今日の朝は2回便所に言ったのかい!?健康だね〜。」

大学生「…え!?」
老婆「○○会社。知ってるかい?」
大学生「え…?どこですかそれ?」
老婆「○○会社を受けてみなさい。」

彼は正直びっくりして。動揺していた。汗をぶわっとかいていた。
周りのさっきまでの雑音が急に静寂に包まれる。
しかし現実なのも事実。
『一つの確信』が心の中で渦巻いた。そして、とっさに出た一言は…

大学生「ありがとうございます。メモをとらせてください。もう一度お願いします。」
老婆「○○会社だよ。あと一週間で締め切りだ。」
大学生「わかりました。○○会社ですね…。あれ?」

老婆はそこにいなかった。
大学生「…。」

その後彼は、言われた会社から内定をいただいた。

当初は全然知らない会社だったが、
職務内容や面接での対応など不思議と自分に全てマッチしていた。
そして演劇も趣味としてこれからも続けていける。

彼は老婆に報告しに行った。

大学生「ありがとうございました。
梅の花の下で梅干しが好きってだけで現れたのでしょうか?
それとも朝に便所に行ったからでしょうか?
あなたのおかげで私は内定をいただくことができました。
だからこそ確信したことがあります。やっぱり就職って『運』なんですね。」

彼は湯島天神をあとにした。


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