1. トップページ
  2. 16.76400 メートル

左足の小指さん

性別 女性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの作品

0

16.76400 メートル

12/06/18 コンテスト(テーマ):第八回 時空モノガタリ文学賞【 大分 】 コメント:2件 左足の小指 閲覧数:1996

この作品を評価する

「俺の死亡保険はいくらだ?」
「3000万・・全然、足らないわ・・家を売って、私も・・」
「それは、駄目だ」

「何、ぶっそうな話してるんです」
病院の廊下で話す若い夫婦の間に車椅子を押していたヘルパーの首藤が口をはさんだ。

夫婦は、車椅子に乗っていた老人に誘われ、老人の個室へやって来た。
老人は、湯飲みを二つ出し、一升瓶から、焼酎を注ぐと二人に差し出した。
「わしは飲むと怒られるからな、兼八だぞ、うまいぞ」
老人は、満面の笑みだ。

「あんたら、大友宗麟(おおともそうりん)を知ってるか」
「南蛮貿易で巨万の富を得たっていう・・大名・・」
「実はな、このヘルパーさんと明日、その宗麟の埋蔵金を探しに行く予定になっとたんじゃが、検査結果が悪くて、外泊禁止でな、このままだとキャンセル料だけ払う事になる。そこで、わしの代わりに行ってくれんか」

「面白い話なんですが、千尋が・・娘が入院してまして、ここを離れるなんて」
と、夫が断ろうとしていると
「行きます〜」と上機嫌の返事、振り向くと,空になった焼酎瓶を抱えた妻の真央が
「お金がいるんです!沢山〜」と赤い顔をして、爆笑していた。

ー飛行機の中ー
「本当に覚えてないんですか?凄い勢いで一瓶空にしたんですよ」
「はあ・・すいません。あの・・埋蔵金って、大分にあるんでしょ?どうして、飛行機に乗るんですか」
「え〜!あの後の説明も覚えてないんですか」
「す、すみません。もう一度、お願いします」

「大分市府内城跡・臼杵市臼杵城跡・別府市四極城跡にあるんじゃないかと言われています。ですから、まず、そこには、ありません。何でって、あるならもうとっくに見つかってますから。地元ですから、こういうのが、沢山、出回ってるんですが・・」

首藤は、三枚の紙を取り出し、一枚を広げた。
<逆木から卯の方向に五十五足>
「これは、一般に宗麟の息子が持っていたと言われれいる埋蔵金の暗号文です。他の二枚
もそういうふれこみでで入手しました」
<さかきから卯の方向に五十五足>
<坂城から卯の方向に五十五足>

「大体、同じだけど“さかき”の字が違うのね。三枚目の坂の上がちぎれてるのが、ちょっと気になるけど」
「それをあのおじいさんが見つけたんです」
首藤は、細かく畳んである紙切れを真央に渡した。
真央は、広げると小さく叫んだ、その紙の広げた形は、三枚目の紙のちぎれた部分にちょうど合うのだ、しかもその紙には『大』と書いてある。合わせて読むと
<大坂城から卯の方向に五十五足>
「でも、坂の字が違うわ。阪じゃないわ」
「明治より前は坂だったんですよ。ですから、大阪に向かってる訳です」

「さかきじゃなくて、さかじょうだったのね。でも、大分の大名でしょ。わざわざ、大阪に隠したりするかしら?」
「美人がいるって聞いただけで、京都に行ちゃう人だから・・あっ!!あ〜!!!大阪城より先の事、考えて無かったんですけど、今、私、凄い事、言いましたよね?」

「京都?」
「違う」
「美人?」
「そう、それ!いましたよ!卯の方向は東です!夫が東軍だった!!大阪城のすぐ側に住んでいる!宗麟と同じキリシタン!容貌の美しさは比べるものないっていう美人が!」

「お客様、それは細川ガラシャですね」CAがニッコリしながら、シートベルトのランプを指差した。

ベルトを締めながら「ノーマークだった!天正14年宗麟は、大阪に行ってる。もしかしたら、会ったかも。翌年、夫人の旦那は九州征伐で大阪にいない、その間に夫人は、洗礼を受けてる。これが宗麟が没する二ヶ月前の話」
「それが関係があったとして、五十五足は?」
「それは、これから、この頃、宗麟は病気だけど、凄い家臣がそろってるし・・」

「お客様、少し声を落としていただけませんか」
CAが、先程より、少し険しい顔で微笑んだ。
興奮した首藤の声が、少し大きかった様だ。

-5ヵ月後ー
「千尋ちゃん、手術後の経過も良好ですよ。順調にいけば、来年、小学校に通えますよ」
千尋の両親は、担当医からの話を聞きながら、何度もその話を噛みしめた。

その部屋には、総合病院を日本で初めて作ったのは、宗麟であり、領民は無料であったと書かれたポスターが飾られていた。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

12/06/26 かめかめ

16.76400 メートルは、五十五足の距離ですか?
それにしては一歩が小さいような…。
昔の日本人は現在平均よりずっと大まただったそうですから、もっと遠いかもしれませんし…。????

ログイン