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北村ゆうきさん

慣れない部分が多いですが、一生懸命、作品を書いていきたいと思います。

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1年に1度

14/07/08 コンテスト(テーマ):第六十一回 時空モノガタリ文学賞【 夜に光る 】 コメント:0件 北村ゆうき 閲覧数:968

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7月7日、夜。
河川敷。


毎年、いつもの場所、いつもの時間。
日中は蒸し暑いが、夜になると涼しい風が吹き抜ける。
その風を感じると穏やかな気持ちになれる。
今日はあいにくの曇り空。
年に1度の事なのに、と悔しく思う。
それでも河川敷の真ん中に立って両手を広げて空を見上げる。
広大な空。
全てを包み込んでくれそうな空。
そんな空が…、私の大切な人を奪ってしまった。


今から5年前。
私が12歳、小学6年生の時。
幼馴染の彼と一緒に川べりを並んで下校していた。
どんよりとした曇り空。
昨夜からの雨で川は増水。
「何だか七夕って雨多いよな。」
両手を頭の後ろに置いて彼が呟く。
「確かにそうかも?」
隣で微笑む私。
何気ない会話がとても楽しかった。
幸せだった。
いつまでも続くと…、思っていた。


「あっ。」
ふと川を見下ろすと、小さな子犬が川岸で必死でもがいて溺れていた。
「助けなきゃ!」
あっという間に彼は河川敷まで下りて子犬の元まで走って行った。
「水が多いから危ないよー。」
川べりから河川敷の彼に向かって大きな声で叫ぶ。
「大丈夫だって。それよりも…。」
精一杯に手を伸ばし、子犬を掴もうとする。
「もう少し…。」
私も気が気でなくなり、走って彼の元へと駆け寄って行った。
「もう、少し…。」
あと数センチで子犬に届く、その瞬間だった。



「キャー!」
私の悲鳴と共に彼は川の中へ吸い込まれていった。
そして…。
私の前に元気な姿を見せる事はもう、無かった。



「私があの時止めておけば…。」
何度も何度も自分を責めた。
「ごめんね、ごめんね…。」
数えきれないくらい頭を下げた。
そして…、止まる事のない涙を流した…。


毎年、7月7日。
今年もこの河川敷で1人、彼の事を思い出す。
今日も…、曇り空。
天の川は見えない。



「あっ。」
空を見上げていると、キラキラと輝く星を1つ見つけた。
雲の合間から見える輝く星。
青白く輝く星。
「今年も会えたね…。」
あの星は彼。
いつまでも私の心の中で輝き続ける彼。
7月7日だけ、私の前に現れる彼…。
「いつまでも…。」
そっと呟いた。
「愛してる…。」


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