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まつおそらさん

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人魚の泪

14/07/03 コンテスト(テーマ):第六十回 時空モノガタリ文学賞【 涙 】 コメント:0件 まつおそら 閲覧数:766

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その娘産まれながらに両の足不自由なれば十にして歩くこと儘ならず、耳患いて人話す声聞けずしゃべることあたわず、人の目届かぬ奥の室にて囲われたり。
ある春先のころ。娘の父、我子人魚の先祖返りにてその泪万病を治すなりと触れ回り人を集めては娘に会わせし。
両の足動かぬはもともと尾ヒレであり二股分れてはかってわからずして、人としゃべれぬは鰓なきゆえに是もまたかってわからずといえり。
娘の父、皆の前で泪ツボ称して人魚の娘のこめかみ辺り強く押せば、娘言葉ならざる奇声を上げたりてぽろぽろと泪目頭に湧きし、これを小さき瓶に詰め万病の薬なりと人々に売り渡し娘の父富有となす。
されどその内に泪買いし人々いくら待てども病治さぬと家に押し掛けるも男の姿なく、聞けば何処とも告げず家産一切を持て出ず行きてしまったという。
家残りし母子六人あれど一人また一人連れられてはとうとう母と人魚の娘一人となりけり。
母病みて床に臥すも人魚の娘動くこと儘ならず労う言云えずして我身恨めしく思いて泪あふるるはその滴母に飲ませして拝をなすばかりでありたり。

とある漁村にて人魚の噂ありけり。
聞くにその泪万病に効き、人魚の娘母の病治しては共に長らく暮らしたという。


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