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- 漢字一文字の旅 連載29
鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そう思って書いて来ましたが、老いは進んでいます。 されど諦めず、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 されど作品は、申し訳ございません、次のシリーズものに偏ってしまってます。 ツイスミ不動産。。。 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)。。。 未確認生物。。。 ここからの脱出を試みますが、なかなか発想が飛ばせなくて。。。老いるということはこういうことなんだと思う今日この頃です。 が、どうかよろしくでござりまする。
性別 | 男性 |
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将来の夢 | この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 |
座右の銘 | Do what you enjoy, enjoy what you do. |
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このストーリーに関するコメント
14/07/01 泡沫恋歌
鮎風 遊 様、拝読しました。
【窓】のアメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングの話が興味深かったです。
すぐに対策を取らないとモラルが低下するって、確かに、そうだと思った!
14/07/01 草愛やし美
鮎風遊様、拝読しました。
連載お疲れ様です。いよいよ、29にもなりましたね。霧は、全く関係ないですが、あのサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジはてっきり金色だとばかり思っていた私。訪問した際に赤い姿の橋を見て、驚愕しました。霧は全く出ず、ロマンティックでない夏場でしたっけ。夏なのに寒くてまたまた驚きました。慌てて上着をフィッシャーマンズワーフで購入したことは今もよい思い出になっています。
恐るべし「六」ですね。全く目から鱗ぼろぼろでした。そういえば、仏教用語で「六道」という世界観がありましたか、「六」は深いものなのですね。
あらまあ、我が下の息子は「午年」です。いいのかしらん(-_-)ウーム ちなみにその父親は「牛」ですねん。Σ( ̄。 ̄ノ)ノ
そういえば、昔は静を使った名前が結構見かけましたが、最近は見ないですね。現代女性は、静より動だからでしょうか。苦笑
一千万も一億のお金も見たことのない私。一兆ってどんくらいあるんでしょうねえ。そんなことしか考えなかった私って。大汗(; ̄ー ̄川 アセアセ 吉兆はお料理屋さんとしか……ヽ(;´Д`)ノあちゃ〜
窓と言えば、家をリフォームしていますが、窓に窓をつける工法は素晴らしいと思います。省エネ効果抜群です。夏は涼しく、冬は暖かく。金額も比較的お安いので、お勧めです。――決して、建築関係の会社と関係ないですけど。笑
今回もたくさん勉強できました、ありがとうございました。
14/07/02 鮎風 遊
泡沫恋歌さん
コメントありがとうございます。
【窓】、そうですね、いつぞや中学が荒れた時、
窓は割れっ放しでした。
モラル低下を防ぐ原点だと思います。
14/07/02 鮎風 遊
草藍さん
コメントありがとうございます。
そうですか、午と牛、ややこしいですね。
吉兆、確かに料理屋、だけど目が飛び出るほど高級ですね。
いつもたくさんのコメント、ありがとうございます。
反対に勉強させてもらってます。
新着作品
旅はなにも距離を彷徨(さまよ)うものではない。
脳の中でも歩ける。
旅は道連れ、世は情け。
皆さまからの熱い情けを受けて、連載10で煩悩の数108漢字を終えました。
そして、連載11より再スタートさせてもらいました。
これからも御一緒に、果てることがない旅が続けられたら嬉しいです。
この〈自由投稿スペース〉で、お付き合いのほどをよろしくお願いします。
また、本エッセイは平凡社出版、著・白川静先生の「常用字解」、並びに著・白川静先生/津崎幸博先生の「人名字解」から、漢字解釈について引用させてもらってます。
連載29 霧 六 午 静 兆 窓
29−(1) 【霧】
【霧】、「雨」と「務」の組み合わせ。
なぜ「務」なのだろうか?
「務」は、矛(ほこ)をあげて、人にせまり、矛を使いこなす意味だとか。
そして、字の中の「力」は耒(すき)の形で、農業につとめることを言うらしい。
【霧】は以上のような理屈っぽい「務」の上に「雨」だが、それとは関係なく、音が(ム)ということであり、単に「きり」となったようだ。
なんだよ、これ! と文句を付けたくなる【霧】だが、そこには哀愁がある。
特に1960年代、【霧】をテーマにした歌がよく唄われた。
霧の摩周湖 布施明
夜霧よ今夜もありがとう 石原裕次郎
霧のかなたに 黛ジュン
夜霧のむこうに 西田佐知子
霧にむせぶ夜 黒木憲
昭和世代の人たちには懐かしい歌ばかりだ。
そんな【霧】がよく発生するのが京都の亀岡盆地と九州の湯布院盆地。
これが世界ではとなると、ロンドンとサンフランシスコだろう。
1962年
I Left My Heart In San Francisco
これはトニー・ベネットの歌、その時の邦題は「霧のサンフランシスコ」
しかし、今は原題に近い「思い出のサンフランシスコ」となっている。
♪
I left my heart in San Francisco
High on a hill, it calls to me
To be where little cable cars climb halfway to the stars
『 The morning fog 』 may chill the air, I dont care
……♪
『 The morning fog 』 : 朝霧が冷たいけど、私はかまわないわ
1960年代の日本人の皆さん、余程【霧】が好きだったのか、この一説から当時の日本人は邦題を「霧のサンフランシスコ」としたようだ。
そんな【霧】ブーム、また近々に復活して、人たちに哀愁を呼び起こしてくれることだろう。
こんな予感がするのだが……。
なぜならば、今のアベノミクス時代が、景気活況へと躍進した1960年代にどことなく似ているような気がするからだ。
29−(2) 【六】
【六】、小さなテントの形だとか。
これを積み重ねた字があり、(むつ)と言う。その音から数の【六】(むつ)の意味になったようだ。
【六】は整数、多くの言葉に使われている。
例えば、五感を越えた知覚の第六感。
また金沢の兼六園。
この【六】は宏大・幽邃・人力・蒼古・水泉・眺望であり、この六つを兼ね備えた庭園だそうな。
そして、六書(りくしょ)という書物がある。
漢字の「偏」は意を表し、「つくり」は音を表すというルールがある。
その上に、漢字の成り立ちを次の六種類に分類。その書物が六書だ。
(1) 象形
物の形の字形
── 日・月・山・木・耳・川 ──
(2) 指事
位置や状態の概念、その字形の組み合わせ
── 上・下・凹・凸・本・末 ──
(3) 形声
意味を表す意符と音を表す音符との組み合わせ
── 江・草・河・銅 ──
(4) 会意
象形と指事の組み合わせによって、新しい意味を表す
── 岩・信・武・林・炎・家 ──
(5) 転注
用字法の一つ、しかし定説はない
(6) 仮借
他の同音・類字音の字を借用
食物の器の意の「豆」を、穀物の「まめ」
矛の一種の「我」を、「わたし」の意に
という具合に、【六】という漢字、とにかく五臓六腑に沁みわたる。
29−(3) 【午】
【午】、杵(きね)を上下に動かす様の象形だとか。
読みは(ゴ、うま)で、杵の動きのように、折り返しの意味がある。そこから十二支の7番目の「馬」となる。
一方よく似た字の「牛」、これは「うし」を前から見た形。
真ん中の一本が少し上へと突き出ただけで、「うま」と「うし」の違いがあるから驚きだ。
【午】の方位は南、子(ね)は干支で「ねずみ」。その方位は北だ。
これらを結んだ線が子午線、地球の北極と南極を通る大円となる。
経線とも呼ばれ、日本の標準時は東経135度、明石市を通る。
そんな【午】、さてさて午年生まれの人は……どんな人?
一説によれば、いつも明るくほがらか、リーダーシップがあり、配偶者に恵まれるとか。
そして連れ合いに合わせて、運は変わっていくらしい。
されど、こんな解説ではちょっとピンと来ない。
そこで午年生まれの有名人にお出まし願おう。
田中角栄に小泉純一郎、石田純一と小泉今日子、浜口京子、そしてキム ヨナとなる。
なるほど、なるほど、なんとなくこんなタイプだとイメージできるよね。
それにしても皆さま、【午】
いつも杵を振り上げていそうな人たちばかりで、メッチャ強そう!
29−(4) 【静】
【静】、「青」と「争」が組み合わさった漢字。
「青」は青丹から作られた絵具、器物を聖化させる。また「争」は鋤を持つ形。
鋤を青色の顔料で清めることにより虫の害を防ぎ、安らかな実りとなる。ここから「やすらか、しずか」の意味になったとか。
こんな【静】、「一人静」という花がある。
イメージとしては……大変さびしそう。
5月頃に、日本の各地の山地の日陰に高さ20センチほどの茎を直立させ、穂状に白い花を咲かせる。
実に可憐だ。
名前の由来は静御前から付いたそうな。
確かに吉野の山で義経と別れた静御前、それ以降一人となった。
そんなヒロインをイメージさせる花なのだ。
では、この「一人静」を季語にして、俳句/和歌でもあるのかなと調べてみたが見つからない。
これはひょっとすると、「一人静」を使えば、大穴俳句になるかもと一句詠んでみた。
いずこにか 香りほのかに 一人静(ひとりしずか)
めちゃくちゃ下手だけど、これぞ世界初の季語「一人静」の俳句だぞ。
と、騒ぐのは【静】に失礼かな。
29−(5) 【兆】
【兆】、亀の甲を灼いて占う時、左右にひび割れた形が表れる。その象形だそうな。
占うから「きざし」となるとか。
そして数字の世界では【兆】(ちょう)、最近馴染み深い。
1,000,000,000,000と10の12乗、1億の1万倍だ。
最近の米国、金融緩和の縮小を目論んでいるが、なかなか踏み切れない。
縮小したとしても日本円で毎月8兆円、1年で100兆円分のドル紙幣を増やし続けている。
1兆円は日本人の人口が1億人としたら、100兆円は一人当たり100万円の規模だ。
これを続ければバブル、きっとバブルへの道を突き進んでいるのだろう。
話題は飛ぶが、
北斗七星のしっぽの先から二番目の星・ミザール、その傍にアルコルという変光星(明るさが変化する星)がある。
別名「死兆星」と呼ばれている。伝説の不吉な星だ。
昔、この星が見えるかどうか、兵士の視力検査に使われた。
この死兆星、今ではゲームの中によく現れ、ゲーム好きにはお馴染みのようだ。
こんな【兆】もあるが、やっぱり願いたいのは「吉兆」しかない。
29−(6) 【窓】
【窓】、元の字は「窗」、ウ冠の屋根に「まど」を開けた形だとか。
そんな【窓】に、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案した割れ窓理論がある。
割れてる窓を放置しておくと、その内誰も気を遣わなくなり、やがて他の窓もすべて割れてしまう、というものだ。
つまりちょっとしたことであっても、すぐに対策を取らないと住民のモラルは低下し、軽犯罪が増える。
そして凶悪犯罪が起こる。
アメリカの都市はこの理論に従い、軽微な秩序違反を取り締まり、成果を上げているとか。
この割れ窓理論、なにも犯罪撲滅だけのためではない。
東京ディズニーランドでは、清掃や修繕、そして保全を徹底的に行い、従業員や来客のマナーを向上させることに成功しているとか。
他にはこんな【窓】もある。
「essere amato amando」
ペンリン城の一室の窓に書かれてある落書きだ。
ラテン語と思われていたが、実はイタリア語、意味は「愛する限り愛されたい」ということ。
一体誰がこんな熱い想いを書いたのだろうか?
さらに調査すれば、1880年頃、実業家の娘・アリスがこの城に住んでいた。
アリスは庭師の男性と恋に落ち、父にこの部屋に幽閉された。そして男と別れさせられた。
まさに悲恋だ。
しかし、アリスはその思いを【窓】に、「愛する限り愛されたい」と走り書きした。
乙女の恋のせつなさが150年の時を超えて伝わってくる。
そんなあれやこれやの【窓】、近年になってからは「Microsoft Windows」になったりで、古今東西大活躍の漢字なのだ。