1. トップページ
  2. ON THE ROAD ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

性別 男性
将来の夢 この世で最も面白い物語を見つけ出したい。
座右の銘 Do what you enjoy, enjoy what you do.

投稿済みの作品

3

ON THE ROAD ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

14/06/09 コンテスト(テーマ):第五十九回 時空モノガタリ文学賞【 ON THE ROAD 】 コメント:6件 鮎風 遊 閲覧数:2143

この作品を評価する

 今が とてつもなく 悲しくっても
 勇気を出して 一歩を踏み出そう
 ON THE ROAD
 未来への旅の途中だから

「これって、私たちのデビュー曲だったでしょ。だけど、あなたの未来への旅はここで終わるのよ」
 青酸カリ入りのワインを飲み、いまわの際にあるミライに、古都が冷たく囁いた。
「仲直りしようと、古都を誘ったのに、なぜ?」
 7年前の大文字の夜に、ずっと一緒に唄って行こうと誓い合った二人。しかし古都はミライの断末魔の叫びを聞き流し、憎悪の言葉を浴びせる。
「往生際の悪い女ね。3年前にコンビを解消してから、あなたは私が書いた歌を盗んで、まるで才能があるかのように振る舞ってきたわ。あなたは人気を独り占めし、私は仕事を失い、極貧生活よ。その上、私の妹の彼氏まで強奪したわよね。もう許せないから、あの世へ行ってもらいます」

 大文字、今年も8月16日午後8時丁度に点火された。点々としていた炎が5分後には繋がり、赤々と燃え盛る大の字を夜空に浮かび上がらせる。
 そんな夜にミライはホテルの一室で絶命した。古都はその冷たい亡骸越しに、霊(くし)びな情景にしばらく見入っていたが、後は指紋を拭き取り、すべてを背にして部屋から出て行った。

――ミライ、新時代を切り開くアバンギャルドなシンガーが毒殺される――
 翌日、こんな号外が街で配られた。
 澄んだ声で、語り掛けるように唄うミライ、抜群の歌唱力の持ち主だ。コンビ解消後はソロ活動をし、ファンを増やしてきた。そんな歌姫が昨夜殺害されたという。人々は仰天した。
 即刻捜査一課にチームが結成され、百目鬼刑事も招集された。そして不仲だと噂がある古都に、事情聴取の要請が掛かるのにそう時間を要しなかった。

 その古都の主張とは…
 私は車の運転が大好きで、8月16日は愛車を走らせ、翌日のライブに参加するため一人東京から京都の手前にある大津へと向かっていました。その行程は新東名、新名神、そして名神と高速道路の下り線です。
 もちろん安全運転で、午後4時頃静岡のSAで休憩を取ったりして、夜の9時過ぎに大津の出口を通過しました。
 その時、うっかりETCでなく一般ゲートに進入してしまい、困っていたら係員が現れ、助けてくれました。
 高速道路の一人での移動です。だから車を放ってどこかへ行くことはできませんし、京都でミライが殺された午後8時過ぎは――まさにON THE ROADだったわけです。

 早速この供述の裏は取られた。確かにその通りで、これにより古都のアリバイが成立した。
 しかし、百目鬼はどうも収まりが悪い。デスクで腕を組んだまま微動だにしない。部下の芹凛(せりりん)こと芹川凛子刑事も頭を抱えてる。だが、これでは埒があかず、芹凛が百目鬼の顔を覗き込む。その瞬間、百目鬼はカッと目を見開き、「単独犯でないと仮定し、走行中の高速道路から京都のホテルに行く方法はないか調べてくれ」と。芹凛はオヤジの意図が理解でき、後は黙々とネット内で検索するのだった。
「コーヒーでも入れましょか」
 1時間後芹凛が席を立った。百目鬼はわかってる、芹凛が推理を組み立て終えたのだと。コーヒーを受け取りながら「お嬢、話してくれ」と促すと、芹凛は辻褄を崩さないよう慎重に語り始める。

 犯行は――古都と幇助者A/Bの計3人。車は2台、つまり古都は愛車で、A/Bは車Xで、静岡SAで合流した。
 古都はAにキーを渡し、歩いて隣接のパークへと抜け、タクシーで新幹線静岡駅へと。17時11分発のひかりに乗車し、18時47分に京都駅に到着。そこからホテルへと向かい、20時過ぎにミライを毒殺した。
 一方古都に変装したAは古都の愛車を運転し、途中のSAで目撃者を作りながら西へと。Bは車Xで、Aが運転する古都の愛車と併走した。そして大津の手前の瀬田東よりバイパスを通り、京都の先の名神大山崎へと。ここで下り線から名神上り線へと乗り移ることが可能。
 古都はミライを殺害後ホテルから出て、名神上りのバスストップへと行き、指定していた時間に入って来た愛車に舞い戻る。この時、AはBが運転する車Xへと乗り換える。これで静岡SAでの元の状態に戻る。
 その後、古都は一人運転し、大津で東から来たように高速から下りた。またAとBは車Xで東へと去った。
 これにより古都がずっと高速道路を一人ドライブして来たことが偽装され、ミライの殺害現場には絶対行けないアリバイを作った。

 ここまでを終えた芹凛、「この古都の頑強なアリバイを、どう崩したらよいの」と自信がない。そんな芹凛に百目鬼はギョロッと目を剥いた。
「確か古都にはよく似た妹がいたな。さっ芹凛、古都のアリバイをぶっ壊しに行くぞ。Aは妹、姉の愛車で同時刻、ON THE ROADだったと証明すればよいのだ!」


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

14/06/10 草愛やし美

鮎風遊様、拝読しました。

今回もせりりんさん冴えてますね〜。まるで、時刻表サスペンス王者の「西村京太郎」ばりの推理ですね。高速道路は降りられないけど、接触地点はあるから、うまく使えればですね、だけど、かなり、知ってないとこの推理できないです。私は運転しないので、想像だけでした、映像になればいいと思います。2千文字の推理小説って大変だと思います。
連載期待してます、頑張ってくださいね。

14/06/10 泡沫恋歌

鮎風 遊 様、拝読しました。

なるほど、今回も緻密なアリバイ工作ですね。
京都や滋賀県の大津辺りはよく出掛ける場所なので既視感があります。

すっかり、芹凛の推理が事件の解決の糸口になってる百目鬼刑事ですが、
この二人は良いコンビですね。

14/06/10 そらの珊瑚

鮎風さん、拝読しました。

なるほど〜「妹の彼氏まで強奪した」ってところは伏線でもあったのですね。
ON THE ROADの使い方が決まってました!

14/06/11 鮎風 遊

草藍さん

コメントありがとうございます。
今回のお話しは3人と車2台、これにより完璧なアリバイを偽装しました。
芹凛は見事見破ったのですが、その先の突破口が見つかりません。
そこで燻し銀の百目鬼登場、Aは妹だと。
そのアリバイを破る策、外堀から埋めて行けということでしょうか。

二人とも頑張っておりますので、これからもよろしく。


14/06/11 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

コメントありがとうございます。

今回のアリバイ、結構行けてるかなと勝手に思ってます。
ミソは名神、一般道に下りずとも下りから上り線に乗り換えられることかな。

これをもっと発展させて、さらに完璧なアリバイで、
百目鬼と芹凛に再度挑戦してもらいます。

よろしく。

14/06/11 鮎風 遊

そらの珊瑚さん

コメントありがとうございます。

伏線まで読み解いて頂いて、まことに嬉しいです。
そうなんです、
古都がミライを殺害した一つの理由が「私の妹の彼氏まで強奪したわよね」なんです。

百目鬼はこの言葉を聞いてはいませんが、
古都によく似た妹がいることは、調査で早く知っていたのでしょう。
だから、単独犯でないケースで、芹凛に推理を依頼したのかな。

ということで、よろしく。

ログイン