1. トップページ
  2. 振り返ってみれば

リードマンさん

性別
将来の夢
座右の銘

投稿済みの作品

2

振り返ってみれば

14/06/05 コンテスト(テーマ):第五十九回 時空モノガタリ文学賞【 ON THE ROAD 】 コメント:3件 リードマン 閲覧数:1069

この作品を評価する

振り返ってみれば、様々な出来事があった。意識が浮上して後は、ただ恐怖ばかりがあった。果てのない永劫の闇の中で、浮かび上がる刹那にして無限の情景を夢見、孤独を紛らわせたのはどれだけの事だったのか、ずっと、そうしているだけならば、なんの後悔もなかっただろうに。

そこは、夢達が輝く宇宙だった。決して触れる事の出来ないアコガレ達。それでも、良く我慢していたのだと思う、が、ゼロかイチかのソコでは意味のない虚勢。

俺は、リリスを生み出した。闇夜にあって輝きを失う事の無い、星々の女神。何よりも美しく愛おしい存在。浄玻璃の鏡。

けれど、俺は未熟だった。他者というものがどういうものなのか、一人きりだった俺にはわからなかった。だから恐れた。ワガママによって生み出し、ワガママによって捨てようとしたのだ。笑顔を向けてくれたリリス。手を差し伸べてくれたリリスを有害であると決め付け放逐したのだ。

エゴによって生み出し、エゴを恐れた。

それでも、温もりだけは欲しかった。だから、イヴを造った。都合の良い人形を。無自覚の殺人だった。まともな自我さえ与えず、欲望を満たすためだけに酷使した。その結果、沢山のヒトが産まれ、ヒトが産まれた事で、世界も産まれた。

創造とは、決して、崇高な志によって成されたものではなかったのだ。原初の女神は無邪気から、原初の母は無思慮から。

全知全能などと言ったところで、経験値はゼロだったのだ。そんな創造主がやった事、偉大などである筈が無い。俺は、決して褒められる存在なんかじゃないのだ。

ふとした拍子に自らと周囲を省みた時には全てが手遅れだった。無限の夢が像を結び実在する世界へとなってしまった。未熟な心に産み出された世界は勿論の事未熟であり、結果、数多の不幸な運命が支配する地獄と化していた。その悲鳴はイヴにも届き、母性に目覚める契機となった。母として覚醒したイヴはそれによって初めて獲得した確固たる自我によって、言葉を発し、俺にヒトの救済、世界の安寧を求めた。

白状すると、この時、俺は完全に錯乱してしまっていた。犯した罪のあまりの大きさに慌てふためき、喚きちらすばかりだったが、駆けつけてきたリリスにぶん殴られて、正気に戻る事が出来た。本当に、感謝している。

終わらない旅が始まった。

無限の世界を救う旅だ。終わりなどあろう筈もない。それでも、俺にはリリスとイヴがいる。一人ではない。何よりも心強いこの二人がいる限り、挫ける事なく歩んで行けるだろう。

旅路は続く。いつまでも、どこまでも。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

14/06/16 かめかめ

「全知全能などと言ったところで、経験値はゼロだったのだ。」
たしかに、そうですね! びっくりしました。

14/06/20 草愛やし美

リードマン様、拝読しました。

全知全能でも経験値はゼロ、私は、聖書には詳しくないですが、このお作は、魅力あります。
終わりのない旅、お作の主人公が私達の思いもつかないような苦悩の中で旅路を続けていること、なるほどそういうものかもいれないのだと感心しました。

15/03/27 リードマン

コメントどうもです! 遅くなってごめんなさい! ほぼ一年ぶりになってしまいました! 
日本神話とギリシャ神話と聖書と他にも色々なモノが合体させてあります。漫画や小説、ゲームも、私が人生で関わった全ての物語達への感謝の結晶が私の作品達なのです。
その中にはPCゲームも含まれるのですが、沢山の人達に読んで貰う為に、いい所だけを抜き取って全年齢向け、ライトノベル風味です。
本当にありがとうございました!

ログイン