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鮎風 遊さん

訪問していただき、ありがとうございます。 この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 このためひとり脳内で反応を起こし、投稿させてもらってます。 されど作品は次のシリーズものに偏ってしまってます。。。 ツイスミ不動産。。。 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)。。。 未確認生物。。。 ここからの脱出、時には単品ものも投稿したいと思っております。気が向いた時にでも読んでいただければ嬉しいです。    

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魔九志夢(まくしむ)のアド・ミス物語  第1話 転がる石のように

14/06/03 コンテスト(テーマ):第五十八回 時空モノガタリ文学賞【 転がる石のように 】  コメント:6件 鮎風 遊 閲覧数:1472

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「楼恋巣(ろうれんす)。人は信じないだろう、だけどあるんだよ、摩訶不思議な世界って」
 夏休みに帰郷した私に、祖父の妖風魔九志夢(ようふうまくしむ)が優しい眼差しで、こう切り出しました。それから私の手を握り締め、「お前に話しておきたいんだ。幼稚園からずっと一緒だったヤンチャ坊主の安渡玲(あんどれ)と剣斗(けんと)、おしゃまな織美亜(おりびあ)と伽沙凛(きゃさりん)、それに麻里鈴(まりりん)、彼らと体験してきた世界を」と。
 私は祖父からの語り掛けに別段興味を示さず、「ふうん」と軽く返しました。祖父はその他人事のような応答にがっかりしたのでしょう、老いた瞼を一度閉じ、それから穏やかな口調で話しました。
「お前は物書き志望なんだろ、だからいつの日か、私のアドベンチャー エンド ミステリー物語を書いて欲しいのだけどな」と。
 私はそんな祖父がどことなくいじらしくて、笑顔を作り、「おじいちゃん、きっと書くから」と返しました。それからのことです、祖父は堰を切ったかのように、幼い時から体験してきた実に変ちくりんな物語を語ってくれたのです。

 あれから40年の歳月が流れました。
 その後、私は卒業し、作家生活に自信が持てず、サラリーマンになりました。物書きになる夢は封印し、多忙の中で白駒隙を過ぐが如く年を重ねてしまいました。そして還暦を迎え、時間の余裕もできました。
 当然私を可愛がってくれた祖父はもうこの世にはいません。それでも一念発起、祖父との男の約束を果たそうと。つまり『魔九志夢のアド・ミス物語』を書こうと思い立ったわけです。
 その第1話は――魔九志夢が小学1年生、そこまで時を遡ります。
 さっ、始まり、始まり!


「みなさん、お弁当食べたから、遊んでいいよ」
 先生がピカピカの1年生に告げました。児童たちはワァーと大きな声を上げて、森林公園の広場へと走りました。今日は楽しい遠足です。その中に仲の良い6人の子供たちがいました。
「みんな、こんな所に抜け穴があるわ」
 広場の縁を歩いてた織美亜が手招きをしてます。これに真九志夢(まくしむ)たちが駆け寄ると、雑木の中に50センチくらいの穴がぽっかり開いていました。
「向こうへ行ってみよう」
 ガキ大将の真九志夢が提案すると、元気の良い織美亜(おりびあ)と安渡玲(あんどれ)は「うん」と二つ返事です。しかし伽沙凛(きゃさりん)と剣斗(けんと)は「先生に叱られるよ」と身体をモジモジさせています。そして泣き虫の麻里鈴(まりりん)は「ママ」とぐずりだしました。魔九志夢は「僕がいるから大丈夫だよ」と麻里鈴の手を取り、「さっ、冒険だ」と穴に身を潜らせました。
 10mほど進んだでしょうか、そこに出口があり、全員抜け出すと、目の前に新緑萌える世界が広がっていました。目を懲らすと、大きな木の下に、鹿さん、兎さん、熊さんなど森のありとあらゆる動物たちが集まっていました。どうも集会をやってるようです。

「人間界では、ツチノコさんに賞金1億円のWANTED! 森を守る資金確保のため、役立たずのツチノコさんを人間界につき出したらどうでしょうか?」
 議長の熊さんが賛否を問うていました。
「犠牲になれってことですか、カンニンしてくださいよ」
 ツチノコさんにとっては一大事、必死のパッチで訴えますが、「賛成!」の拍手が鳴り止みません。
 この様子を見ていた伽沙凛、もうじっとしてられません。「もしツチノコさんが人間界に来たら、死んでしまうわ」と飛び出して行きました。突然現れた人間の女の子に動物たちは大仰天。それでも熊さんは落ち着いて、「ツチノコさんは何の取り得もなく、尊敬できません。だから犠牲になって、一度は役立って欲しいのです」と。これを耳にした運動大好きな剣斗が「ツチノコさん、得意の100m走を見せてよ」と促しました。するとツチノコさんは「ヨッシャー!」と答え、森の奥へと消えて行きました。
 それから暫く経って、みんなの前を、丸くなったツチノコさんが…まるでロケットのように、紫電一閃に転がって行きました。
「ただ今の100m走のタイムは2.9秒でした」
 算数大好きな安渡玲が発表しました。すると動物たちから「チーターより速い地球記録更新だ」と大きな拍手があり、「こんな素晴らしいツチノコさんを人間界に渡してはならない」と歓喜の声が上がりました。

「命拾いさせてもらったよ、ありがとう」
 ツチノコさんがお礼を言ってきました。そこで魔九志夢が「速く走るコツって、なんなの?」と訊きますと、ツチノコさんは言い放ったのです。
「Like a Rolling Stone」
 これに英語大好きな麻里鈴が「転がる石のように、ってことね。今度の運動会、ツチノコさんのように走れたら、1等賞だわ」とみんなにニコリと笑ったのでした。


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このストーリーに関するコメント

14/06/03 鮎風 遊

みな様へ

今回、ぼちぼちとなりますが、連載のアド・ミス物語を立ち上げさせてもらいました。
小学1年生から始まった摩訶不思議な世界、魔九志夢たち6人の成長と合わせて、それぞれの年代で楽しんで頂ければ嬉しいです。

2年かかるシリーズですので、気長によろしくお願いします。


14/06/05 泡沫恋歌

鮎風 遊 様、拝読しました。

これは新シリーズですね!
ファンタジーの世界で、かわいい子供たちと動物が触れ合うようなストーリーでしょうか?

まだ、始まったばかりですが「アド・ミス物語」が、かの指輪物語のような
壮大なストーリーへと向かっていく予感がします。

是非、これからも読ませていただきたいと思っています。

2年も掛かる連載の応援します、どうか頑張ってください!

14/06/05 草愛やし美

鮎風遊様、拝読しました。

シリーズなのですか、ほほぅ、森のお話だけだと童話ですね。ツチノコさんは、結局どうなったのかしらと気になりました。

アド・ミス物語は、時空のテーマに沿って投稿されていく設定なのかな? 二年かかるとは壮大ですね、まずは、今回は自己紹介ってとこだなあと勝手に判断しました。苦笑

14/06/06 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

コメントありがとうございます。

書いてみたかった世界、
1話読み切りで、ゆっくりとなりますが、
続けたいと思いますので、よろしくお願いします。

14/06/06 鮎風 遊

草藍さん

コメントありがとうございます。

草藍さんの得意分野、童話っぽいところもありますが、
これも魔九志夢の成長とともに変わって行きます。

第1話はツチノコさん、今はその孫たちが元気にやってるそうです。
また再会できるかも。
よろしく。

14/06/17 そらの珊瑚

鮎風遊さん、拝読しました。

かわいいファンタジーですね!
ツチノコさん、走るというより転がっていたのですね。
次はネッシーさんとか雪男さんとかでしょうか?
楽しみにしています。

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