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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

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芹凛の本音 ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

14/05/26 コンテスト(テーマ):第五十八回 時空モノガタリ文学賞【 転がる石のように 】  コメント:4件 鮎風 遊 閲覧数:2286

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 現代ファションは氷河期、その原因はデジタル依存の若者たちの感性の欠落にあります。
 アパレル会社社長の江黒竜也がTV出演し、居丈高に世相を評する。まさに鼻持ちならぬ態度だ。

 そんな映像を背に、一人の男が「私が募武(ボブ)です」と自己紹介した。そして「転がる」と言い足す。
 これに美形の、されどもやつれた女が「石の」と続け、頭を下げた。それを確認し、この世のすべての不運を背負った風体の男が「ように」と締め括った。
 こんな奇妙な会話の後に、募武は一拍の間を取り、「この三人の出会いの合い言葉は――転がる石のように。もう後戻りはできませんよ」と相手を窺う。男と女は拳を握り締めたまま深く頷く。これに歪んだ笑みを浮かべ、「さっ仕事を始めましょ」と募武が地図を広げるのだった。

 武を募る意味の募武、こんな危険なハンドル名で、ブログ『Like A Rolling Stone?』をネット内で走らせてる。
 そして今回、多くの人を蹴落としてきた、それでも傲慢不遜に生きる江黒竜也に対し、『復讐』というスレッドを立てた。するとどうだろうか、恨みを晴らしたいと男と女がレスポンスしてきた。
 かって江黒の愛人だったこの女、モデルとして派手に暮らしてた。しかし、江黒に持つ物すべてを奪われ、捨てられたのだ。一方男は江黒の下で働き、むごいパワハラにあって、心身ズタズタにされたと思われる。
 募武にはこの二人の深い恨みが理解できる。なぜなら、江黒の汚いやる口で、自分の会社を乗っ取られてしまったからだ。
 それ故に、ここで三人が協力し、自分たちが住む『Like A Rolling Stone?』の世界に江黒をご招待したい。これが目的であり、復讐だ。
「江黒を地獄に落とすための作戦、まず放蕩息子の真九(マック)、次は妻、この順番で実行しましょう」
 募武は身じろぎもせず本題へと入った。


 浅間山を望む車坂峠、晴れた日には富士山が眺望できる。そして眼下には白樺の森が広がり、夜には星がキラキラと降る。
 そんな聖地に江黒の別荘がある。されども真九は時々悪友を集め、不遜この上ないパーティを開いていた。
 そして、それは天の川がドッカと宙に横たわる夜のことだった。別荘に真っ赤な火柱が立った。
 元々良からぬ連中の集まり、この場にいること自体がヤバイ。まるで蜘蛛の子を散らすように不逞の輩たちは闇の中へと逃げて行った。

 朝となり、江黒氏の別荘が全焼したと大々的に報じられた。
 さらに子息の真九が崖から転落した車の運転席から死体で発見された。さらに驚愕な事実として、若い女性がトランク内で死亡していた、と。
 当局の見解では、乱痴気パーティ時に出火。真九は現場から逃げ、飲酒運転でハンドル操作をし、誤って転落死。またトランク内の女性は、真九たちにより拉致されていた可能性があると。
 こんな報道により、江黒への親の責任を追及する集中砲火が始まった。

 それから1週間後のことだった。江黒の妻が白樺の森で自殺した。遺書には、息子が死亡した車は夫のもので、夫がそこに女性を監禁した。これは一族の恥、よって首を吊ってお詫びしたいとあった。だが鑑識は、一旦首が絞められ、そこへロープを掛けて吊り下げられた偽装と結論付けた。
 これで別荘放火からの連続殺人事件となった。

 急遽担当となった百目鬼刑事、現場から戻ってきて、「How does it feel. Like a rolling stone?」としゃがれ声で口ずさんでる。これを耳にした部下の芹凛(せりりん)こと芹川凛子刑事、「大丈夫ですか?」とちょっと心配だ。だが百目鬼はそれを無視し、「江黒への憎悪に燃える者たちが、もし三人寄れば、放火し、火事から逃げる真九を捕まえて、トランク内の女性と共に車で転落死させる。さらに首吊り自殺の偽装も。この一連の犯行は計画的になされたのだろう」と。
 こんな百目鬼の推理に芹凛は敬意を表するしかない。そのためか「きっとその三人はネット内で知り合ったのよ」とリアクションする。
 ネット? 百目鬼はこの分野が不得手だ。「調べてくれ」と頼むしかない。これに芹凛は目をぎらつかせて言い放つのだ。「次は江黒が殺される番ね。その前に解決してしまいましょ」と。

 芹凛が前のめってる。そんな部下に百目鬼は静かに語り掛ける。
「これは俺の勘だが、とんでもなく憎いヤツがいるとする。そいつを追い込んで、最後に『Like a rolling stone?』、今は転がる石のようですか? って訊いてみたいよな。犯人は江黒の人生を破滅させ、その生き地獄を高見の見物するつもりなんだよ。さあ芹凛、この事件の解決は手こずるぞ」
 この燻し銀のオヤジの推理に、芹凛は少し身震いし、本音をポロリと漏らすのだった。
「だけど、面白そう」


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このストーリーに関するコメント

14/05/29 泡沫恋歌

鮎風 遊 様、拝読しました。

芹凛の本音、「だけど、面白そう」

なんだかポロリと言っちゃいましたね(笑)

百目鬼刑事の下で血生臭い事件ばかりみている内に
何を見ても平気、むしろ楽しむ余裕ができたのでしょうか?

頼もしい女刑事ですね!

14/05/31 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

コメントありがとうございます。

はい、出ちゃいましたね、本音が。
事件解決、せりりん、結構楽しんでるみたいです。

14/06/01 草愛やし美

鮎風遊様、推理がどんどん冴えていかれますね。

今回のお作、ネットで復讐。どこかリアリティある話ですよ。芹凜さんも冴えてますが、今回は百目鬼の目の付け所が解決への糸口ですか。解決するのには、ITに長けている部署の助けも必要でしょう。
現実に、今の世は、ネットに詳しい者がいないと犯罪に対処できなくなりました。犯罪者のほうが、どんどん上手をいく時代、怖いですよねえ。この間の、『遠隔操作事件』など、何もしていない者がちょっとPCを離れご飯食べている時間にも、犯罪者にされてしまうかもしれないということなのですから、うかうか飯も食ってられませんよ。
芹凜さんの本音少しわかったわよ〜苦笑 面白かったです、連載期待しています。

14/06/02 鮎風 遊

草藍さん

コメントありがとうございます。

そうですね、ITに長けている部署の助けがなければ事件は解決できませんね。
されど、それを上回る百目鬼のオヤジの勘。
そして、それを上回るのが芹凛の、女刑事の本音、しぶといですわ。

これからも二人は頑張りますので、よろしく。

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