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aspemanさん

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アディームとイブ子

14/05/11 コンテスト(テーマ):第五十六回 時空モノガタリ文学賞【 結婚 】 コメント:1件 aspeman 閲覧数:960

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 その昔、旧約聖書の創世記によると、神様は泥をこねてアディームという男性をおつくりになったらしい。神様はアディームを非常に精巧におつくりになった。人間の体の仕組みは現代科学をもってしてもなかなかわからないほどに精巧を極めたものだが、これはアディームが非常に精巧に作られたことが原因だろう。
 しかし神様は、体は非常にうまく作ったが、頭だけは非常に悪くおつくりになった。アディームが知恵をつけすぎると、万物の長者みたいなツラをしてエデンの覇者となるだろう。それでは他の動物がおもしろくなかろう。だからアディームを非常にバカにおつくりになった。
 アディームには知恵がない。言葉といえばヨホホイしかしゃべれず、神様が観察しているとエデンの園をうろうろと歩きまわり、なにか食べ物を見るけるととりあえず拾い食い。お腹がいっぱいになったら寝る。
 エデンには食べ物が落ちたり木の実がなっていたりするから、狩りの必要がない。人間にとっては安息の地だ。しかし食う・寝るを繰り返した結果、まもなくアディームはひどい肥満になった。
 神様はお考えになった。知恵をつけさせてはいけないし、かといってバカのままじゃ太る一方だ。そのとき、神様はひとつ妙計をお考えになった。
 
 ある日、神様はアディームがエデンの園をうろうろしているところ、声をおかけになった。
「可愛いアディームや、私と一緒においで。楽しく遊ぼう。綺麗な花も咲いて、黄金の衣装もたくさんある」
アディームは言葉を必死に理解しようとしている。
「素敵なアディームよ、私と一緒においで。私の娘が君の面倒を見よう、歌や踊りも披露させよう」
「ヨホホホイ!」
アディームは女性と会わせてもらえると聞いて喜んだ。
その刹那、アディームの目の前に神様が突如姿を現した。アディームは突然のことにびっくりし、野生の自己防衛本能を発揮して神様に渾身の右フックを叩きこんだ。
しかし神様なのだから、そんな攻撃が通用するわけはない。神様は身をかがめてアディームのフックをかわし、アディームの浮遊肋骨の真下に諸手突きをくらわした。そしてアバラを2本、抜き取った。
アディームは気を失った。

その夜、神様はその肋骨を元にして、女性を作った。名をイブ子といった。
イブ子にも知能は持たせなかった。体の構造は精巧に、しかし知能はひくく、これがエデン経営のコツだ。
翌日、イブ子という女性の存在をアディームは心から喜んだ。そしてメスの気を引くオスの本能として、アディームは猛烈なダイエットを始めた。1ヶ月もすると、元の精悍な体つきのアディームへと戻っていた。
オスとメスが互いに1匹しかいないのだから、二人は間もなく恋に落ちた。
神様は二人の恋を祝福し、夫婦とするために結婚式まで取り行った。
エデンの様々な動物たちから祝福を受け、アディームとイブ子は幸せの絶頂であった。

旧約聖書によると、この後ヘビがイブ子をそそのかしてリンゴを食べさせると、イブ子は知恵をつけ、神様は怒ってエデンの園から追放したという。イブ子に言われてアディームも食べたので、二人まとめて追放となった。
しかしアディームとイブ子は後悔や反省をすることはなかった。
「食べちゃだめなら、リンゴの木とか植えとかなきゃいいじゃん」
非は神にあり、いつしかそう思うようになり、仕返しをしたいと思ったアディームは、あるとき
「倍返しだ!」
と言ったという。近年この言葉が流行したが、実は旧約聖書の中の言葉だとする説がある。

聖書やギリシャ神話を見ると、人間と神様の利益は常に相反していることが分かる。
旧約聖書のなかでは人間の文明があまりに発達したのをみて、神様は大洪水を起こしていったんリセットしているし、人間の建築技術があまりにも進んだことをお怒りになって言葉をめちゃくちゃにしたりしている。
また、ギリシャ神話でも天界の火を盗んで人間に与えたプロメテウスは、ゼウスの怒りに触れて磔にされている。便利な火を人間が獲得することを神は喜ばなかったのだ。
このように、西洋の宗教では神と人の利害が相反している。アディームとイブ子が知恵をつけることを拒んだのも同じである。

こうして人間の男は労働の苦しみを、女は出産の苦しみを与えられたらしい。なんとまぁ、理不尽な仕打ちだろうかと思うのは私だけだろうか。


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このストーリーに関するコメント

14/05/13 gokui

 読ませていただきました。
 イブ子って、間抜けな名前だねえ。絶対旧約聖書には出てこない名前だね。それに引き換え、倍返しだ!は出てきそう。ところで、結構勉強になる話なのに、ぜんぜんそんな風に見えないのはなぜ?

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