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堀田実さん

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永遠の結婚

14/05/09 コンテスト(テーマ):第五十六回 時空モノガタリ文学賞【 結婚 】 コメント:2件 堀田実 閲覧数:1144

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彼女と出会ったのはほんの少し前のことでした。彼女はブランコでひとり寂しそうにしていました。


『A子は結婚し、死にました。B子も結婚し、死にました。C子は結婚せずに、死にました。人間の一生はだいたいこのようにして流れていきます』

絵本を読んでいると、タマミは尋ねてきました。

「結婚をして死んだら二人はどうなるの?お別れするの?」

「うーん、そうだねぇ。よくわからないけど、一緒にいたりいなかったり、結婚をあげる時の誓いにもよるんじゃないかなぁ?」

「誓い?」

「そう。例えば財産目当てで結婚した場合は、新婦は死んだ後も一緒になりたいだなんて思ってないよね。だって死後に財産なんてないんだから」

「ふーん。そういう人がたくさんいるの?」

「それはどうだろう。でも結婚したあとに離婚する人もたくさんいるからね。3組に1組が離婚してるっていうんだから、結局はそういう深い誓いを立てる人なんて少ないのかもしれないね。そもそも死後も一緒になりたいなんて考えてないかもしれない」

しばらくの間沈黙が続きました。タマミは何か考えているようだったがしばらく何も言いわませんでした。

「じゃあ、どうして結婚するの?一緒にいて幸せだから結婚するんだよね?幸せなら死んだあとも一緒にいたいと思うんじゃないの?」

「そうだねぇ。人の心っていうのは移り変わっていっちゃうから、最初は愛していたのに、次第に一緒にいたいと思わなくなっちゃうのかもしれないね。だんだんお互いの嫌なところが目についたり、子育てに追われてお互いに対する気持ちが変わっちゃうのかもね」

「じゃあ、嘘なんだ」

「え?」
彼は思わず聞き返してしまいました。

「だって神父さんは『永遠に愛することを誓いますか?』って聞くんだよね。タマミ知ってるもん」

「まぁ、確かにそうだけど」

「嘘はついちゃいけないんだよ。嘘をついたらエンマ様に舌を引っこ抜かれちゃうから」

「そうかもしれないね」

再び沈黙が続きました。しかし先ほどの沈黙とは違い今度は何か決心しようと考えているようで、時々目を宙に向けては意味もなく頷いていました。

「タマミ、決めた!」

「えっ、何を?」
絵本のことはすっかり忘れ去られていたので、一段落つき、ゆっくりミルクでも飲もうとしていたところでした。

「タマミ、永遠に結婚をする人のところに生まれてくる!」

「永遠に結婚をするところ?」

「そう。だって今タマミが一人なのも、たぶんお父さんとお母さんが離婚しちゃったからなんだ」

「うん」
彼はひとまず頷きました。

「もう一人でいるのは嫌だもん。だからずっと家族でいられるところに生まれたい!ずっとずっとみんな一緒に仲良く過ごせるところに行きたい!」

彼は何も言うことができませんでした。今の時代、本当にそんな結婚をする人がいるのかわかりませんでした。そもそも永遠に結婚をするところに生まれてくるということの意味もよくわかっていませんでした。良いアドバイスができたらと考えましたがまるで雲をつかむようですべての答えは曖昧なまま消えてしまいました。

再びタマミが答えました。彼女の表情に先ほどまでの鬱屈した表情はなく、とても晴れやかで透き通っているようでした。

「どうもありがとう!タマミこれで決心がついたよ!」

すると突然空が明るくなりました。驚いて宙を眺めると、なんとそこに佇んでいるのはUFOでした。彼はしばらくあっけにとられていましたが、思い切って彼女に尋ねてみました。

「えーと。これはいったい…。君は何者なんだい?君は宇宙から来たっていうのかい?」

「うん、宇宙から来たんだよ。これからどこに生まれようか考えていたところだったの。でもおかげで決心がついた。タマミ、この地球に生まれてくる!」

この時彼女は今までに見たことのない、輝くような笑顔をしていたので思わずうっとりとしてしまいました。他に質問することを忘れていると、彼女は笑顔で手を振りながら光に導かれるように昇っていきます。

「イヌさんありがとう!生まれてきたらまた会おうね!」

そう聞こえるやいなや、あっという間に光は小さくなり、雷のように消えていってしまいました。

もうあとには何もありません。いつもの通り赤い夕焼けが街並みを照らしています。どうやらいつの間にか夕暮れになっていたようでした。

「なんだかなぁ」

彼は呟きました。この時はじめて自分がイヌであることに気づいたのでした。

「どおりで俺の部屋だけ小さいわけだ」

庭の隅にぽつんと立つ犬小屋を眺めながら、思わずため息をもらしました。


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このストーリーに関するコメント

14/05/13 gokui

 読ませていただきました。
 なんだか意表突かれすぎで最後は分けわかんなくなっちゃいましたけど、面白かったです。宇宙人と犬の会話だったんだ、これ。

14/05/15 堀田実

>gokuiさん
コメントありがとうございます。はい、宇宙人と犬の話しです。確かに唐突だったかもしれませんね。生まれ変わりの要素を入れようと思ったんですけど、それをどう盛り込むかで迷いました。天界の話でも良かったんですけどね。

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