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地ー3さん

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理不尽な神様

14/04/20 コンテスト(テーマ):第五十四回 時空モノガタリ文学賞【 激しい雨がふる 】 コメント:1件 地ー3 閲覧数:1307

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 目が覚めると同時に、激しい痛みが体を走り回った。あまりの痛みのために体を動かすことが出来ない。
目の前に広がるのは木々。降りしきるは大雨。手には抜かるんだ土の感触。
 激しい雨が私の顔を叩く中、記憶を遡り、なんとなく今の状況に見当をつけることが出来た。
 
 朝、雲一つない晴天を見上げた私は山に行こうと思ったのだ。理由はない。ただ気分の赴くままに準備をし、近くの山へと出発した。その時、私は天気予報を見てなかったのが災いした。
 一時間ほど山中を歩いていると突然雨が降り出したのだ。大した時間を要さずに勢いを増した雨に焦った私は雨宿りができる場所探し求めて、駆け出した。
 それが不味かった。
 ぬかるみ始めた山道に足を取られて、バランスを崩した。不運なことにバランスを崩した方向が私の体を崖下へと誘う方向であった。落下する私は咄嗟に何かに掴まろうと手を伸ばしたが、虚しく空を掴むのみ。
 そこで私の記憶は途切れる。

 状況を把握した私は大きく落胆した。
 どれだけ滑り落ちたのかは分からないが体を動かせないほどの痛みがあるのだ、けっこうな距離なのだろう。それに、こんな大雨の中、山へ歩きに行こうと思う奇特な人間はそうそういない。
 助けは来ないものと考えたほうがよい。
 降りしきる雨が徐々に体温を奪っていく。今はまだ春先であるためそうそう死にはしないと思うが衰弱を加速させるには十分効果があるだろう。人は雨が降っているだけで気が滅入ることもある。こんな状況ならなおさらだ。
 雨は神様の涙とか聞いたことがあるけど、泣きたいのはこっちだよ、神様。
「おーい! 大丈夫かー!」
 神様への泣き言を心中で吐露していたその時だ。頭上より男性の声が響いた。
 誰かが落下する私を見ていたのか、はたまた偶然発見したのかはわからないが、助けがきたのには変わらない。この時ばかりはロクに信じてもいない神様に感謝した。
 激痛をこらえ、無理やり右腕を動かして生存していることを伝える。
「待ってろ! 今そっちに行く!」
 生存の意思を読み取った男性はロープを伝い、慎重に降下する。男性が手を伸ばし、私が横たわる足場に降り立った。
 だが、神様は上げて落とすのが好きらしい。
 突然、足場が崩れだしたのだ。私がいたあの足場は、私の体重を支えるので精いっぱいだったのだろう。そこに男性が降りてきたことで足場は崩壊したのだ。
 皮肉にも救助に来た男性が崩壊の引き金を引くことになってしまったのだ。
 男性はロープを握っているため地面に叩きつけられることはないだろう。だが、私の体を固定するものは何もなく、ただ重力に引かれて落ちるのみだ。
 まったく、神様というのは理不尽なものらしい。
 衝撃とともに私の意識は闇落ちていった。


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このストーリーに関するコメント

14/04/21 gokui

 読ませていただきました。
 神様って、実はあんまり助けてくれないんですよね。どちらかというと試練ばかり与えます。この作品の神様はさらにたちが悪そうなので、死に神ってところでしょうかね。主人公の絶望感が伝わってきました。

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