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ゆえさん

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性別 女性
将来の夢
座右の銘 袖触れ合うも多少の縁

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ハッピー・バレンタイン

14/03/21 コンテスト(テーマ):第五十二回 時空モノガタリ文学賞【 勇気 】  コメント:0件 ゆえ 閲覧数:1122

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「敦子!おはよ!」と声と共に背中をどつかれて危うく転びそうになった。慌てて抱えていたカバンを抱きしめる。
「・・健司、おはよ。」低血圧の敦子の返答はいつもこれで精一杯だった。「ど〜したんだよ?こんなに晴れていい天気じゃないか?」と上機嫌の健司。
「・・そうだね。さぞかし、健司君には今日は楽しい日でしょうよ。今年は何個チョコもらう気?」
「俺?去年は12個もらったから今年は上回るといいけどねw」と自慢気に返す。
バスケ部の健司は後輩・先輩かかわらずに人気があった。
それが、敦子の悩みの種だ。入学してからいつの間にか仲良くなった二人。周りからは付き合ってるでしょ?と聞かれるが、「ちょっと、勘弁してよ〜。」とお互いに笑いながら言い合う仲だが、敦子はその返しを聞くたびに心が少しだけ、チクッと痛んだ。

「・・・あたしとじゃ嫌なんだ・・・」

今日はバレンタインデー。少しだけいつもと雰囲気が違う校内。落ち着かない男子・タイミングを見計らう女子。敦子もそんなタイミングを見計らう内の一人だった。
授業が終わるチャイムが鳴って、隣の席の健司に話かけようとする度に「健司くーん、ちょっといい?」と教室の外から呼び出しがかかり、廊下に出ていく健司。
完全にタイミングを無くした敦子は鞄の中に健司へのチョコを持ったままだった。
「今年も、渡せれないのかな・・・。」と呟いた。ふと、空になった隣の席を見ると机を少し撫でた。「あれ?敦子まだいたの?」とチョコを持った健司が教室に入ってきた。
「いちゃわるい訳?ってゆーか、健司は何してるの?さっき後輩に呼び出されてなかった?」と聞くと、「ああ・・。まぁね。」と濁された。いつもなら「そうなの。俺ってもてるからね。」と笑顔で返ってくるはずが真面目な顔だった。心臓が高鳴る。自分の口から出てきそうだった。「・・告白とかされたんじゃないの〜?」といつものように返す。

違うよね?これで付き合ったって返事なんて聞きたくないよ?と心の声を押し殺す。

「・・ああ。されたよ。」と綺麗にラッピングされたチョコを持って健司が笑った。
「・・・嘘。」「いや、マジで。」「え?返事は?」「いや、断った。」
「あ、そ・・・。」思わず笑顔になった。真面目な顔の健司と目が合う。
体が熱くなる。顔もきっと赤い。ってゆーか、熱い。
「あのっ」「あのさ」二人の声が重なった。「なに?」「あ、いや、敦子からで・・・」とお互い、微妙な空気が漂う。
「じゃぁ、俺から。敦子は俺にはくれない訳?」と言う。その視線はいつものふざけている視線より、かなり真剣で。見つめられて自分の目の奥が熱くなるのが分かった。やばい。あたし、泣きそう。
「あ、あるよ。ここに・・」と鞄の中からチョコを出す。健司に渡す為に作ったチョコ。
甘い物とナッツが好きって言ってたから、頑張ってつくったチョコ・ブラウニー。
青い色が好きってのも知ってるから青いリボンのラッピングもして、素直な気持ちを書いた一行の手紙「ずっと、好きでした。付き合って下さい」あたしのありったけの勇気を入れた手紙入り。昨日はこの一言を書くだけで一時間過ぎた。そのチョコを鞄から出して渡そうとした時だった。
「よかった。敦子ので13個目。これで俺、バスケ部の奴らに奢らなくて済むわ。」
「え?」渡そうと思った手が止まる。
「いや、俺ね。みんなに今年13個もらえなかったらラーメン奢るって約束したんだよね。危なかった〜。ありがとう、敦子。」満面の笑みで言う健司。
凄く、凄くショックだった。あたしの、このチョコに込めた気持ちが踏みにじられた感じがした。そんな気持ちはお構いなしに「お!俺の好きな色じゃん!」というとラッピングを開ける。手紙を見つけると中を見て、顔が赤くなった。「・・マジか。」と敦子を見て固まった。敦子は泣いていた。「け、け、健司のバカ!その沢山もらったチョコ渡してくれた人の気持ちも、あたしのチョコに込めた思いを返せ!!」とだけ言って走って教室を出た。「待って、敦子!」後ろから走ってくる音が聞こえる。さすがにバスケ部の体力には勝てない。漫画だったら走り去れるけど、アッサリ捕まった。手を捕まれる。
「敦子、ちょい聞いて」
「そ・・んな、くだらない、賭けに使わないで・・。」と走ってか泣いてかわらない上がった息で健司の言葉を遮る。

「だから、聞け!俺にチョコくれたは女バスのメンバー。俺に奢らせないようにしてくれた訳。俺は敦子からのチョコを待ってたんだって!」と言う。力が抜けたのか、健司に手を取られたまま、力が抜けてしゃがみ込む敦子。「・・健司はどう思ってるの?」と敦子からの不安げな顔を見て健司は言った。

「チョコ、すっげぇ嬉しい。明日から俺の彼女な。」と笑って大きな手で敦子を抱きしめた。


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