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ナツさん

昼ドラ系も、ほっこり系も、大好きです。 拙い文章ですが、読んでいただければありがたき幸せ… ぜひ、ご賞味ください・Д・ノ

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聞いてください、小さな命の叫びを。

14/03/03 コンテスト(テーマ): 第二十六回 【 自由投稿スペース 】  コメント:3件 ナツ 閲覧数:1403

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   いつものように散歩に出かける時間になったから僕はカゴに入った。ご主人様は公園までこうして運んでくれ、そこでいつも放してくれた。
「ソータ!行くよ!」
ご主人様の美香ちゃんは小学2年の女の子でいつも遊んでくれた。美香ちゃんには兄弟はいないから僕らはまるで兄弟のようだった。

珍しく美香ちゃんのお父さんが運転する車で出かけた。新しい服でも買ってくれるのかな?ペットカフェにでも行くのかな?…もしかしてお医者さんだったらいやだなぁ。そんな事を考えていると車は止まった。
『あれ…ここどこ?』匂いを嗅いでみた。
そこはショッピングセンターでも病院でもなく白い建物だった。美香ちゃんもここがどこかわからないみたいだった。

「ではお預かりいたします。」「お願いします。」
建物から人が出てきて、お父さんがその人に僕をカゴごと渡した。
キャンキャン!キャン!
何だか怖くなっていっぱい吠えた。ペットホテルじゃない…どうして僕を渡すの?
「お父さん!ソータは…。嫌だよ嫌だよ!」
「もう決めたことだ。ソータのためだからな。」
美香ちゃんは何かわかったみたいで泣いていた。僕もここから出たいと必死に吠えたけど、美香ちゃんはお父さんに連れられて車に乗せられて、僕も建物の中に運ばれた。カゴの網に顔がめり込むくらい引っ付けてずっと吠えた。美香ちゃんは振り向き際に小さく
「ごめんね」と言っていた。

長い廊下はとても冷たかった。左右両側にある部屋からは色々の動物の悲しい鳴き声が聞こえたけど、ここがどういう所か全然わからなかった。
ある部屋の中に入れられた僕は空いているゲージの中に詰め込まれるように入れられた。するとその人はすぐに部屋から出て行った。ドアが閉まる音が響く。
「よう新人!名前は?」
静かだった部屋で誰かが話しかけてきた。
「ソータ…です。あの…」
「ここが何処かって?…そのうち嫌という程わかるさ。俺の名前はジョージ。あ、猿じゃねぇよ?」
見るとダックスフンドが陽気に笑っていた。しかし、それはあまりに不自然な笑い方だった。

しばらくして人間が餌を運んできた。水と少なくて不味いドックフード。
「あの…あの方は?」
目線に入った老犬について尋ねた。彼は水すら飲めない位に弱々しかった。
「太郎?もうだいぶいたからなぁ…俺らももうだなぁ。」
ジョージが太郎と呼んだ犬に話しかけてみた。
「太郎…さん。これから何があるんですか。」
「新人か…お前も災難だな。こんなとこに入れられて。まぁワシが言えたタチじゃないがな。」
災難とは何のことなのか…尋ねようとした時またあの思いドアが開き、人間が入ってきた。そして太郎をまるでもののように掴み部屋にある通路に押し込んだ。彼は弱々しくウウと吠えるとそのまま押し込まれるように中へと入っていった。
「あの、太郎さんは?」
「殺処分だよ…安楽死だなんて嘘に決まってらァ…」
「サツショブン?何ですかそれ。」
「ここはな、保健所だ。いらなくなったペットを飼い主が世話に困り処分するために連れてくる…」
「え…。待って下さい!そんなの嘘ですよ!絶対に美香ちゃんは迎えに来てくれますから。」
ここは安いペットホテルなんだ、だから扱いが良くないんだ。絶対に迎えに来てくれる。ソータ遊ぼ!ってまた笑ってくれる…ねぇそうでしょ?

いつの間にか泣き疲れて寝てしまっていた。部屋の電気はチカチカと鬱陶しいし、別の部屋のキャンキャンなく小型犬がうるさい。
「まだかなぁ美香ちゃん…」
「こねぇよ。所詮人間はペットなんて要らなくなったらポイだよ。そんなもんだって。」
「美香ちゃんはそんなことしない!」
「じゃあなんでお前はここに居んだよ!それが証拠じゃねぇか!捨てたんだよお前のご主人様も他の奴らと同じ。世話が出来なくなると手放すんだ!」
    言い争いになる…違う…本当はだんだんそうかもって思ってきている。でも認めたくない…認めたら美香ちゃんを裏切ることになる。だって別れた時のあの涙は偽物じゃないってわかるから。
「でも!でも美香ちゃんを悪く言わないで!多分お父さんが決めたんだよ…だからお願い…」
「それは悪かったな。でもな、彼女も同じことをするかもしれないぜ?子は親を見て育つっつうしな。」
言い返せない。ジョージは僕よりもずっと大人な犬で、きっと色々見てきた日がいない。これが現実なのか…ここからもう出ることは出来なくて死ぬしかないの…?
「お前は俺より可哀想かもな。持ち込みの犬は即日処分だから…俺や太郎は野良だったから…それでも今日だろうなぁ」「ソクジツショブン?それって…」
そんな残酷なこと…まだ死にたくない…死にたくないよ…ねぇ神様。僕悪いことしましたか…。
「…し、死にたくないよぉ…」
耳をつんざくような犬や猫の鳴き声は恐怖をかきたてる。逃げられない牢屋の中で死を待つことしか出来ないのか。

美香ちゃん…もう一度会いたかった。キャッチボールもしたかった。撫でてもらいたかったよ…。
うとうとしているとドアが開き、表情のない人間が入ってきた。
「お前、生まれ変わったら何になりたい?」
ジョージが尋ねてきた。
「僕は…僕は。……やっぱり犬だよ。で、また美香ちゃんに会いたい。」
言い終わる同時にゲージが開けられ、僕の体は持ち上がった。ああ走馬灯のように思い出が駆け巡る…。
    さっき太郎さんが入って行った通路へと運ばれる。その壁には逃れられない運命から必死に逃げようとした爪痕が痛々しく残っていた。後ろからは機械が近づいてきて僕の体を奥へどんどん押し込んだ。
「嫌だ…」吠えても無駄だってわかってる。それでも吠えるんだ。
     奥の部屋には3匹犬がいた。年老いたのか2匹と若そうなのが1匹。彼は僕より大きな声で叫んでいた。「出せよ!何でこんなとこ!くそっ。」
彼の首には首輪があった。あとの2匹は着いておらず野良だったようだ。
「お前名前は。」
吠えていた彼が僕の方を向いて聞いてきたので、ソータだと言った。
「ソータ、お前も飼い犬だったんだろ。俺は飼ってた奴らを絶対に恨んでやるんだ。お前は?」
「いろいろ事情があったんだ。僕は美香ちゃんを絶対に恨まないよ。」
「俺は人間の事情なんて知ったこっちゃねぇけどな。」
彼は吐き捨てるように言った。

プシューと音がして得体の知れない空気が入ってきた。苦しい。息ができなくて、吸っても吸っても苦しい。
2匹の老犬はしゃがみこんだまま1分もしないうちに動かなくなった。彼らは特に苦しむ様子もうかがえなかったがもう一匹の彼は、なおも吠え続けていたがその声はさっきまでの勢いもなく苦しく嘆いていた。僕もフラフラと歩いてみるも足はもつれてきてヘタとしゃがみこんでしまった。
   目をつぶる寸前、最後に見たのはあの彼が苦しそうに悶えているところだった。もしかしたら元気なのほど苦しいのかもしれない…
「み、かちゃん…」

    

    しばらくして職員たちは犬の死体を焼却室へと運んだ。燃え盛る炎はゴーッという音のみを立て、そこにある体の主たちの声はもうなかった。
そうして彼らは小さくなった。再びの幸せを掴むことを夢見て。

    


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このストーリーに関するコメント

14/03/03 ナツ

ネットからの浅い情報から書いたので、間違っていることもあると思います。その道の専門家でもないのに首を突っ込んでしまいすみません。
でも私はこの話を聞いた時、ショックを受けました。私自身ペットは飼っていませんが、このことを知らない人も多いと聞き、
ここで軽く知ってもらって興味を持ってもらって専門家の資料などを見られる方がいればいいなと思ったので書きました。

14/03/05 草愛やし美

智夏様、拝読しました。

ペットを飼う人にも様々な事情はあるでしょうが、この処分を決める人間の成すことは、自分勝手だと思います。でも、飼えなくなったら捨てればいいという人がいるのも事実です。
私のすぐ上の姉は犬の生まれかわりかというほど、無類の動物好きです。姉は、きっと犬語を話すのではというほどの人です。2年ほど前に、捨てられていたミニチアダックスを拾いました。アパートで飼えないので、飼ってくれる人を探し、ちゃんとその犬は最後まで、その方が看取ったそうです。
もし、人が犬語がわかればと切に思いました。
OHIMEさんのコメントにあるように、保健所の方々もお仕事ですが辛いことだと思います。
実家で姪の飼っていた雑種が人に噛みつき怪我を負わせたため、やむなく処分としたそうです。このことなどから見て、安易なペットとしての考えでは、駄目だと思います。
私ごときが偉そうに言うことではないと思いますが、将来的にみて、飼うからには、まず、飼う人が犬の扱いや躾、そして飼い方など、学習しなければいけないのではと思います。商品としての扱いでなく、生きているものとしての扱いを法的に決めるべきではないかと強く思いました。

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