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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

性別 男性
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歴詩 (連載5) 「ガラシャ、時知りてこそ」

14/03/01 コンテスト(テーマ): 第二十六回 【 自由投稿スペース 】  コメント:4件 鮎風 遊 閲覧数:1532

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歴詩
 鮎風遊がこのジャンルを開拓させてもらいました。
 要は歴史を彩った男や女の熱い思いを、詩に。

 この〈自由投稿スペース〉での連載5は、戦国の世を、父の汚名を背負い悲しくも、されど激しく逝った細川ガラシャがテーマです。

少々の解説を
 永禄6年(1563年)、珠(たま)は明智光秀と妻・煕子(ひろこ)の三女と生まれる。15歳となった美姫の珠は織田信長の仲介で細川忠興(ただおき)に嫁ぐ。
 忠興は細川輝経の養子だが、実父は戦国時代に織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑に仕え、そして生き抜いた細川藤孝(幽斎)。忠興は父同様文化人であり武人であった。

 忠興と珠は仲の良い夫婦で穏やかに暮らしていた。しかし世は戦国、幸せはそう長くは続かなかった。
 結婚4年後の天正10年(1582年)6月に本能寺の変が勃発。父、明智光秀が織田信長を討ったのだ。光秀は羽柴秀吉の備中大返しで、山崎の戦いに敗れ、小栗栖(おぐるす)の竹藪で討たれた。

 これにより珠は「逆臣の娘」となった。そして、夫、忠興は珠を丹後の味土野(みどの)へと隔離、幽閉する。
 余談になるが、味土野は丹後半島の山深い中にあり、冬は豪雪で、珠はこんな鄙びた所で暮らしていたのかと驚きを禁じ得ない。

 それから2年の歳月が流れた。天下人となった豊臣秀吉は珠を細川家の大坂屋敷へと呼び戻した。それでも監視は厳しいものだった。
 失意の中にある珠、その後、生まれた子供も病弱であったことも重なり、心が癒やされることはない。こんな苦しみの救いを求め、忠興の九州征伐(1587年)時に、身を隠し教会へと行った。その時面会したコスメ修道士は珠について述べている。「これほど明晰で、果敢な判断ができる日本の女性と話したことはなかった」と。
 珠はその時洗礼を望んだが、それは叶わず、後日自邸で密かに受ける。その洗礼名がガラシャ(神の恵み)。

 そして慶長3年8月18日(1598年)、豊臣秀吉没す。これ以降、慶長5年(1600年)の石田三成を中心した西軍と徳川家康の東軍との関ヶ原の合戦へと突き進む。
 これに際し、忠興は徳川家康に従った。そして上杉征伐に出陣する。
 これを嫌った石田三成はガラシャを人質に取ろうとした。しかし、ガラシャはこれを強く拒否。そして三成は実力行使で、屋敷を兵で囲わせた。

 これによりガラシャは覚悟を決めた、自害することを。
 しかし、宗教上それは許されない。ガラシャは家老の小笠原秀清に命じた。

 部屋の外から襖越しに槍で胸を突け!
 その後は遺体が残らぬよう、屋敷に火を放て! と。
 そして、辞世の句を詠んだ。

── 散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ ──

 美しき姫が駆け抜けた戦国の世、それは儚くも激しいものだった。



『ガラシャ、時知りてこそ』

 父が本能寺で謀反
 逆臣の娘となった

 夫が上杉討伐
 徳川方に与(くみ)する妻となった

 しかれども
 決して、決して……
 石田の思い通りにはさせぬ

 この珠(たま)を 人質にと
 それは淀殿の指図か?
 それとも……、其方(そち)一人の浅知恵か?

 石田!
 答えらっしゃい!

 豊臣と徳川
 すぐに 天下を分ける大戦(おおいくさ)が
 起ころうぞ

 その奸計(かんけい)か?
 この珠を 人質に取ってしまえとは

 挙げ句 この大坂の細川屋敷を
 兵で かようにも囲んでしまうとは

 光成 許せぬ!

 イエズスの グレゴリオ神父に導かれ
 すでに洗礼を授かった
 このガラシャの 精白な心身

 下賤(げせん)な其方(そち)には 渡さぬ
 絶対に!


 丹後の味土野(みどの)の山中
 辛苦をなめた幽閉暮らし

 太閤さまが 呼び戻してくださった
 病んだ心は キリストの教えで 立ち直れた

 それを 今
 この珠を 人質にと
 兵で 屋敷を囲むとは


 小笠原秀清 許せ
 家老には 罪がない

 教えで 自死はできぬ
 故(ゆえ)に 頼む

 部屋の外から 槍で一突き
 このガラシャを 殺せ!

 そして屋敷に 火を放て!

 今は神の子
 この純潔な ガラシャの身
 渡さぬ 絶対に
 石田三成に

 散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ

 ここに 槍一突き
 殺(あや)められ

 父光秀、母煕子(ひろこ)の元へ
 珠は 逝くぞ

 さあ!



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このストーリーに関するコメント

14/03/01 草愛やし美

鮎風遊様、拝読しました。

細川ガラシャ、悲しい運命を背負った人ですね。自害は許されぬ宗教ですから、そうなんですね。命を受けそれを全うした家老の方の想いはいかほどかと思いました。歴詩これからも、頑張ってください、楽しみにしています。ありがとうございました。

14/03/02 鮎風 遊

草藍さん

コメントありがとうございます。

仰る通りです。
家老の心の痛みはどれほどのものであったか、
それでも槍で突いた。

それが仕えるということだったのでしょうね。
されど家老には妻も子供もいて、まさに人間模様です。


14/03/06 泡沫恋歌

鮎風さん、拝読しました。

これは歴史を知る上で良い詩ですね。

悲劇の麗人、細川ガラシャの生涯を知ることが出来ました。

14/03/07 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

コメントありがとうございます。

次の創作へのヒントがあれば良いのですが。

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