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泡沫恋歌さん

泡沫恋歌(うたかた れんか)と申します。

性別 女性
将来の夢 いろいろ有りますが、声優ソムリエになりたいかも。
座右の銘 楽しんで創作をすること。

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【 閲覧注意 】全国不幸自慢大会

14/02/10 コンテスト(テーマ):第四十九回 時空モノガタリ文学賞【 絶望 】 コメント:18件 泡沫恋歌 閲覧数:4475

時空モノガタリからの選評

全体的に軽快なテンポで、ブラック過ぎる設定にもかかわらず楽しめる作品だったと思います。恋人に逃げられ、借金まで背負わされ子供も作れない女性に「まだ臓器まで売られないだけマシ」とは確かにきつ過ぎるアドバイスですが、あながち的外れではない気もします。物事のマシな面を見ないと前には進めませんから‥…。また、もしかしたら物語全体を一種の葛藤劇としてとらえ、相談者、回答者、観客を、自分を笑い飛ばし絶望の淵から這い上がろうとする心理を人格化したものと見ることも可能かもと思いました。自分を笑って客観視することは絶望から抜け出す手段の一ではないでしょうか。ただ一歩間違えると、最後の挑戦者のように自分自身と周りを「道づれに」してしまう可能性も秘めているので、気をつけないといけませんけどね。

時空モノガタリK

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「みなさん、こんにちは。全国不幸自慢大会の時間でございます」
 市民会館の大ホール、観客席ほぼ満員である。
 七三に分けワックスで固めた頭に、今どき流行らない赤い蝶ネクタイ、黒いロイド眼鏡をかけたアナウンサーは胡散臭い男だ。
「では、本日の審査員をご紹介します。絶望の魔女と呼ばれる超辛口人生相談カウンセラーのクリスティーン・佐渡先生でーす!」
「ハーイ! クリスティーン・佐渡よ。私のいうことを聞かないと地獄に堕ちるわよん」
 体重150キロは有りそうな大女が、ケバイ化粧とド派手な衣装を着て、ドスの利いた声でオネエ言葉で話す。彼女は人生相談の回答者だが、余りに辛辣なアドバイスに、今まで何人もの相談者が自殺したと言われている。
「人の不幸は蜜の味、川に落ちた犬は棒で叩け、死人に鞭打つなど。古今東西、不幸な人間を卑しめるコトワザは数知れずあります。何んといっても人の不幸はお笑いのネタなのです。みなさんのNHH(日本変態放送)では、優越感の笑いを視聴者の皆さんにお届けします」
 アナウンサーの声に観客席からどよめき沸き起こった。ここに居る観客は人の不幸を笑いにきた人たちなのだ。

「エントリー1番、埼玉県K市からお越しになった。中村芳恵さん35歳、飲食店従業員。曲は中島みゆき『うらみ・ます』さあ、音楽をバックに貴女の不幸を語ってください!」
 舞台の袖から暗い表情の女が出てきて、マイクを片手に話し始めた。
「皆さん! 私の話を聞いてください。10年間貢いできた男に捨てられました。私が深夜の仕事から帰ったら彼は家に居ません。おまけに出て行く時に貯金通帳とカードまで持って行かれました。先日、カードの請求が200万もきました。今まで彼の子どもを5回も中絶しました。医師にもう産めない身体だと言われた。結婚も出来ない! 子どもも産めない! 酷い男を恨みます!」
 そう言って女は大声で泣き出した。
 その声に観客席から、涙、いや違った笑い声が聴こえてくる。カーンと鐘が1つ鳴った。
「おや、残念でしたね。では審査員のクリスティーン・佐渡先生に訊いてみましょう」
「あんた! 甘いわよ。そんなの全然不幸じゃないし、あんたが馬鹿なだけなの。まだ臓器まで売られないだけマシじゃん。馬鹿は地獄に堕ちなっ!」
 その言葉に女は号泣しながら舞台の袖に消えていった。

「では、エントリー2番、横浜市からお越しの鈴木実さん42歳、無職。曲はさだまさし『関白失脚』でお贈りします」
 薄汚いコートを着た、貧相な中年男が舞台に現れた。
「俺の話を聞いてくれい! 半年前に20年勤めた会社をリストラされた。毎日ハローワークに通ってるけど……50回以上面接を受けたが不採用ばかり。俺が失業してから家族の態度が冷たい。女房は飯も作ってくれないし、俺のものだけ洗濯しない。子どもたちの前で「お父さんみたいな屑になっちゃダメよ」と悪口ばかり言いやがる。子どもまで俺を軽蔑し切った目で見るんだ。そして、ついに俺に保険を掛けて殺す計画をしているのを聴いてしまった。ああ―――このままでは俺は家族に殺される!」
 男は頭を掻きむしって悶絶絶叫した。館内からは嘲笑が聴こえてきた。そこで鐘がカーンとひとつ。
「ああ、残念でした」
「何言ってんの! 仕事もしないで家にいる生ゴミを抹殺したいと思うのが当然よ。どーせ家族のお荷物なんだから、さっさと地獄に堕ちなっ!」
 冷酷無比な言葉に打ちのめされて男は消え入るように去っていった。

「はい次は、エントリー3番、名古屋からお越しの高橋由佳さん17歳、高校生。曲は杉本雄治『100回泣くこと』どうぞ!」
 点滴のスタンドを押して、痩せ細った少女がヨロヨロしながら舞台に立った。
「皆さん、さようなら。17歳になったばかりなのに癌のせいで余命3ヶ月だと、私は医者に宣告されました」
 その声に館内は一瞬、シーンと静まり返ったが……どっと爆笑の嵐になった。
 鐘が三つ打ち鳴らされた。
「おめでとう! クリスティーン先生ご感想を」
「結構やるわね! その年で余命3ヶ月とは絶望過ぎるけど、まあ、ベッドの上で死ねるだけ幸せだと思いなさい。もっと悲惨な死に様する人間もいるんだから、いずれ地獄に堕ちるのよ」

「いよいよ最後の挑戦者です! 大阪からお越しの山田喬さん25歳、フリーター。曲はレッドツェッペリン『天国への階段』でーす!」
 紹介と同時に舞台の中央にオタク風の男が立っていた。
「みんなに話がある。世の中が嫌になったので俺は死ぬことにする。だが、一人で死ぬのは寂しいので、みんなを道連れにすることにした。後1分で会場に仕掛けた時限爆弾が爆発する」
 その話に館内は爆笑の渦と化した、誰も信じていないのだ。

『絶望万歳!』

 男の声と同時に会場は閃光と爆音に包まれた。


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このストーリーに関するコメント

14/02/10 辛楽

題名が気になって読んでみたところ、出だしからすっと引き込まれるようなとても面白い話でした。
個性的なキャラクターと分かりやすい描写、そして私個人の感覚として、ギャグな雰囲気がことさら話の不気味さを引き立てていると思いました。
他人の不幸は蜜の味、誰しもが持っている汚く、醜く、人間らしい心です。
しかしそれをドロドロとでなく、あっさりと、そして愉快にまとめられた泡沫さんの魅力に惹き付けられました。

14/02/10 泡沫恋歌

【 閲覧注意 】

実に酷い話ですが、あくまでギャグとして受け止めてください。
決して、弱者を卑しめるつもりで書いた訳ではありません。

絶望を突き詰めると、もう笑うしかない!

そう思ったら、こんな話が浮かんできて・・・あっという間に書けてしまったのです。

不愉快だと思われた皆さん、どうかお許しください(o_ _)o))ゴメン


画像は有名なムンクの叫びです。


参考音楽

中島みゆき「うらみ・ます」http://www.youtube.com/watch?v=-apnKHCgCZE

さだまさし「関白失脚」http://www.youtube.com/watch?v=0NlA7R0p5PA

杉本雄治「100回泣くこと」http://www.youtube.com/watch?v=0mz9NYI7BTk

レッドツェッペリン「天国への階段」http://www.youtube.com/watch?v=R294kdq_rZU

14/02/11 そらの珊瑚

恋歌さん、拝読しました。

突き抜けたブラックユーモアというものは、人の中にある
悪魔性を試すものではないかと常々思っていますので、このインパクトたるやすごい。
M・デラックスさんをも凌ぐクリスティーンの毒舌キャラ、ひどいんだけど面白いと笑ってしまったことをここに白状いたします。
ああ、でもこの救いようのないオチ。
やはり人の不幸を笑うのはやめようと思いました。

14/02/11 泡沫恋歌

辛楽 様
コメントありがとうございます。

初めまして、泡沫恋歌と申します。
作品を読んでいただき感謝いたします。

ブラックなお話ですが、これもギャグと笑って許してください。
内容の辛辣さの割には、サラッ流していけて良かったと思っています。

どうぞ、今後共よろしくお願い致しますO┓ペコリ

14/02/11 泡沫恋歌

そらの珊瑚 様
コメントありがとうございます。

いや〜こんなブラックなお話書いちゃって・・・珊瑚さんに怒られるんじゃないかと、ヒヤヒヤしてました。
「絶望」という状況を打開するには、結局、ヤケクソになるしかないと思うんです。
自分の中の鬱積した感情をぶつけたら、なんだか、スラスラとこの作品が完成しました。

やっぱり、ちょっと壊れかけた人間かも知れないわσ(´∀` )ァタシ

14/02/11 gokui

 読ませていただきました。
 こんな番組実現出来ませんって。参加者やコメンテーターは現実に出てきそうな気がするけど。そして最後の巻き添え自殺……これが一番現実味があるのはなぜ?

14/02/12 朔良

泡沫恋歌さん、こんばんは。
拝読いたしました。

これはw(^m^) NHH(日本変態放送)で、ツボに入って、
その後の不幸を、クリスティーン・佐渡先生の見事な審査も含めて思わず笑ってしまったことを白状いたします。
楽しい作品でしたと言ったら罰が当たってしまいそうですが、恋歌さんの突き抜けたブラックジョーク、さすがです!

14/02/12 泡沫恋歌

gokui 様
コメントありがとうございます。

これは言うまでもなく、フィックションですからね。
こんなブラックな番組はとても放送できないでしょう(笑)

14/02/12 泡沫恋歌

れたすたれす 様
コメントありがとうございます。

確かに、現実にこんな番組があったら・・・結構、視聴率稼げるかもです 壁]ω・)ニャ

そうそう、人が美味しい物食べてる番組なんて面白くなーいよ。

14/02/12 泡沫恋歌

朔良 様
コメントありがとうございます。

NHH(日本変態放送)は某国営放送のギャグですが、壁]ωΦ)ニャ
クリスティーン・佐渡先生は某タレントをイメージして、この作品のために作った
キャラですが、実は私自身、この毒舌キャラがたいそう気に入ってしまいました(笑)

あははっとブラックユーモアとして笑ってくださいね。

14/02/13 草愛やし美

泡沫恋歌様、拝読しました。

ブラックの中のブラック! まさに、人の不幸は蜜の味ろいう作品ですね。

オチである最後が、現実的で、しかも最高の蜜だと思いました。人の不幸を笑った全てのこの物語の登場人物たち(観客もろもろ)が、道連れされるという不幸を読んでいる読者が、一番の蜜を味わうというオチ設定ですものねえ イヤハヤ ハイナ(。´ФДФ)

14/02/15 鮎風 遊

太っちょの審査員、こいつが一番幸せになってる。
気に食わないヤツですね。

それでも、なにかスカッとしましたよ。
これが蜜の味なんですかね。

14/02/15 泡沫恋歌

OHIME 様
コメントありがとうございます。

クリスティーン・佐渡って、自分で書いてて、なんか違和感なく動かせた
キャラなんですが、たぶん自分の分身なのでしょうか。
潜在意識に潜むダークな自分自身なんだと思う(笑)

この話は正直書いてて楽しかった。
テーマ【 絶望 】なんだけれど、ここまでやったらギャグですよね。

OHIMEちゃん、就職活動大変だけどめげずに頑張ってね!
応援してるよ(っ`・ω・´)っフレーフレー!!!

14/02/15 泡沫恋歌

草藍 様
コメントありがとうございます。

まさに「他人の不幸は蜜の味」というコトワザをベースに考えたストーリーです。
不謹慎ですが、ブラックユーモアなので勘弁してください。

最後は人の不幸を笑った人たちを道ずれに爆発します。
密を舐めた奴らには、因果応報ってヤツですよ(笑)

14/02/15 泡沫恋歌

鮎風 遊 様
コメントありがとうございます。

クリスティーン・佐渡は「他人の不幸」という密を舐め過ぎて、
糖分の取り過ぎで肥ってしまったみたいですよ。

このままではきっと糖尿病になってしまうことでしょう(笑)

最後はみんなで爆発! 
なんかスカッとしたでしょう?

14/03/10 泡沫恋歌

時空モノガタリK 様へ

この度は名誉な時空モノガタリ賞をいただきましてありがとうございます。

この作品は日曜日のお昼にラーメン屋でチャーシューメンと焼き飯セットを食べている時に、
店内のテレビから、NHKの「全国素人のど自慢大会」の音が流れてきました。
私はテレビに背を向ける位置に座っていたので映像は見えません。
ただ、こんな番組がまだ続いていたことに対する驚きと出場者と司会者のやり取りを聴いていて、
ピーン! と閃いたのです。
音楽に合わせて自分の不幸を観客の前で自慢する大会があったらどうだろう。
さっそく、家に帰ってパソコンの前で思い付くまま書き上げましたが・・・。
ここに来て、冷静に考えて、こんな人の不幸をギャグにしてもいいものだろうか?
人間としてどうよ? これじゃあ人非人じゃん! さすがに投稿するのに躊躇しました。

そこで、娘に「こんな作品が書けてしまったけど、これを投稿してもいいかなあ?」
相談して、この作品を読んで貰いました。
すると、娘が「これはフィックションだから、いいんじゃないの」
あっさり言われて時空モノガタリの【 絶望 】に投稿させて貰いました。

その【 閲覧注意 】全国不幸自慢大会で、時空モノガタリ賞をいただけたということは、
新しいギャグの扉を開けたような気がして大変嬉しく思っています。

本当にありがとうございましたo( _ _ )o

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