1. トップページ
  2. 一人酒

ゆえさん

思いつくままに書いてますので、もし宜しければ感想お願いします!!

性別 女性
将来の夢
座右の銘 袖触れ合うも多少の縁

投稿済みの作品

2

一人酒

14/02/01 コンテスト(テーマ):第二回OC【 馬 】  コメント:4件 ゆえ 閲覧数:1315

この作品を評価する

「っかぁ〜、この日本酒たまんない。また店長が作る揚出サイコー!これにはやっぱり日本酒だよね。」真美はカウンターで仕事帰りの安らぎの時間を味わっていた。
一日、仕事で追われている真美にとってはこの居酒屋のカウンターで過ごす時間が何よりも幸福な時間。アツアツの揚出を口に頬張って日本酒を煽る。
口の中に広がるスッキリとした味わいの中から生み出される揚出とのコラボレーション。
一人でそのコラボを楽しんでいるとカウンターの中から冷たい視線を感じた。
「・・・真美、お前モテないだろ」呆れ顔で店長の明が串物の仕込みをしながら真美を冷たい目で見ている。
「・・・店長、失礼にもほどがあるよ。あたしはゆっくり味わいたいの。」とグイっと飲み干す。「俺は、本当に悲しいよ。年頃の女が一人で飲んでる姿を見ると。お洒落なバーとかならともかく、ここ居酒屋のカウンターだぜ?しかも、お前今飲んでるの何?」
「え?久保田だけど?」なんで今更、とキョトンとした顔の真美。
「そこ!そこだよ!女が飲むにしてはいかつい酒だ?もっと可愛らしくカシスオレンジとかファジーネーブルとかあるだろ?!」
真美は聞く耳もたずと言ったようで「あ、から揚げと・・生!」とバイトの純に笑顔で注文をした。「おい、聞けよ。」と明が言うと「じゃぁ、何かい?この出汁の味をさっき言ってた可愛いカクテルの味で台無しにしろと?それこそ、酒とツマミに対する冒涜だよ。第一、その類のカクテル頼む輩はこんな居酒屋こないし。」とバッサリ明に返すと純が持ってきた生を一口飲んだ。「あ〜、たまんない。こののど越しがやっぱりいいね!」と唇に泡をつけて言う。
「・・・お前、泡ついてんぞ。ほい、から揚げ。」とカウンター越しに揚げたてのから揚げを出す。ここの店のから揚げはニンニクが結構きいていて、衣もサックリしているタイプだ。「おお〜、きたきたぁ〜。」と満足気な笑みを浮かべて箸でつかむとザクッと噛む。口に広がるニンニクの主張をビールで流す。堪らない。
「・・・お前、本当にのんべぇの食べ方だよな。店的には味がわかってんだなって思えて嬉しいけど。そういえば、この前の商社マンの彼はどうなった?」串の仕込みは終わったらしく純にもうあがっていいと伝える。閉店時間も近く、お客は真美だけだったからだ。真美はビールを一口飲むと搾り出すように言った。
「・・・ご飯の時には酒飲まないタイプなんだと。」
「あ〜、腹を満たしてから飲みたいタイプね。ってお前まさか初めての一緒の飯でそのザルっぷり発揮したの?」
「うん。だって繕ってもいつかばれるし。仕事終わりでイタリアンに行ったら、普通前菜とそのメニューに合わせたワインでしょ?なのに、俺ウーロン茶って言うから前菜にあった白ワイン頼んだよ。ハーフボトルで。」明は笑いを我慢しながら聞く。
「前菜でハーフボトルを飲み干して、メインがお肉だったからグラスの赤飲んでってやってたら、呼び名がちゃんからさんにかわり、帰り際には苗字に代わってたよね。まぁ、いいんじゃない。あそこのお店美味しかったからさ。」明はもう我慢できずに腹をかかえて笑っていた。
「・・・なんで先に相手が酒飲むとか調べない訳?話しを聞いてるとお前の選ぶヤツって大体飲めないか、飯の後に飲むやつじゃん。」
「だって!しょうがないじゃん!なんでかそんなヤツを好きになるんだもん!」
ちょっとお酒が回ったのか真美の声が少し大きくなった。
「わかった、わかったから。これ新鮮なヤツ入ったから、やるよ。サービスだ。」
カウンターに突っ伏している真美の前に赤い生肉が置かれた。「・・・これ何?」
「熊本産の馬刺し。本当は俺の今夜の肴。これには何があうと思う?」とニヤっと笑いながら明が言う。「勿論、薩摩の文蔵でしょ!!」と真美はさっきまで泣きそうになっていた顔が輝いた。「そ、正解。」笑いながら明が文蔵を差し出す。
「ま、これ食って飲んで素敵な白馬に乗った王子様とやらを見つけてくれや。ちなみに、俺はお前みたいなのんべぇの女、嫌いじゃねぇよ。」と笑いかけた。
「え?」と明を見ると「さて、暖簾しまうかな!」と大きな手で真美の頭をガシガシ撫でて暖簾を下げに店の外に出ていった。
「子供じゃないし!」と言うと一気に酒が回ったのか顔が赤くなる。
今まで明の笑顔は沢山見てきたが、そんな風に優しくみられたのは初めてだった。
心臓が高鳴る。明に対してなのか、目の前にある素敵な馬刺しと焼酎になのか、真美はわからないが、今はこの素敵な時間をもう少し楽しもうと思って文蔵を一口すする。
店の外に出て行く明の姿を見た時に頭に巻いたタオルから出ている耳が赤くなっているのが見えた。
「・・白馬に乗った王子様っていうか、乗ってる馬を馬刺しにして、一升瓶担いでる王子様だけどね。」と呟くと、馬刺しを口に運んだ。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

14/02/02 石蕗亮

ゆえ様
初めまして。拝読いたしました。
居酒屋ロマンスいいですね!っていうか酒と料理知らないとかけない文章ですよね。
思わず飲みたくなりながら読み進めていってオチのラブコメでニヤっとしてしまいました。やられました!
酒の肴の馬刺しと恋愛の白馬の王子の2本使いに脱帽です。
読みやすく面白い作品でした!

14/02/03 そらの珊瑚

ゆえさん、拝読しました。

私はお酒に弱いので揚げ出しには久保田とか馬刺しに薩摩の文蔵と言ってみたいーと激しく思いました。
現実にはほんとのビール(?)も発泡酒の違いもまったくわかりません。
なんだか人生の何分の一かは損してるかも…読み終わったあとふと思ってしまいました。
うらやましいキャラクターの女の子ですね。
白馬の王子様はどっかから来るんではなくてそばにいたんですね〜♪
面白かったです。

14/03/21 ゆえ

石蕗亮さん

コメントありがとうございます。
居酒屋ロマンス。←この言い方、しびれました(笑)
結構、食べ物とお酒の飲み合わせを考えるのは好きです。
楽しんで頂けたのなら幸いです。

14/03/21 ゆえ

そらの珊瑚さん

コメント有難うございます。

実際、真美はお店側から見たら愛されるキャラクターだと思います。
馴染みの店に通ってた事を思い出しながら書きました(笑)
楽しんで頂けてよかったです。

ログイン