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しーぷさん

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とある猫のお話3

13/12/14 コンテスト(テーマ):第一回OC 【 猫とアオゾラ 】  コメント:4件 しーぷ 閲覧数:1164

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 僕は猫である。

 飼い猫なので名前はもちろんある。

 僕には好きな人がいる。猫ではなく。人。人間であるご主人様だ。
 僕を可愛がってくれる、時には怒ってくれる、時には泣いてくれる。そんなご主人様。
 僕は猫だから、ご主人様の側にいることしかできないけれど、それだけで満足だった。

「ずっと一緒にいてね」

 ご主人様は僕を抱き締めそうささやいた。

 でも、そんなご主人様も、僕のように恋をした。僕ではなく、猫ではなく、人間に。
人間と人間。それが普通、それが当たり前、それが道理。
 その人がご主人様とどれだけの付き合いなのかは知らない。けど、毎日顔を合わせて、毎日一緒にご飯を食べて、毎日同じ布団で寝てる。それだけの密度の時間を過ごしてきた僕がいるのに、ご主人様は他の人が好きだと言う。
 僕は猫だから……。

 僕が人間なら、今すぐにご主人様にこの気持ちを伝えたい。人間の耳には、僕らの声は「にゃあにゃあ」と聞こえるだけ。甘えてみても、頭を撫でられるだけ。
 打つ手なし……。


 雪が降った日のこと、好きな人に告白するとご主人様は言った。
 それから、毎日のように携帯電話を手に持って唸るご主人様を見ていると、なんだか……辛かった。

 わかってる。

 わかってる。

 わかってる。

 全部。
 僕じゃダメなんだ。


 ご主人様が携帯電話の画面を指でつつき始めた。
 今までは唸るだけだったのに。

 嫌だ。

 頬を赤くして携帯電話を耳にあてるご主人様に突進した。突進のつもりだった。ご主人様の膝の上に着地した僕を、ご主人様は笑って撫でた。


 電話が終わると、ご主人様は立ち上がり着替え始めた。

 遠いよ……。

「ちょっと行ってくるね」
 ご主人様は、僕にそう告げて玄関に向かった。

 人間と猫。
 初めからそこに溝があった。
 越えられない。
 深くて広い。

 ガチャン。
 なんの音だろう。一瞬だけ、そう思ってしまった。
 扉が閉まり、ご主人様の姿が見えなくなった。

 頭を撫でてくれた。
 抱き締めてくれた。
 ずっと一緒にいようと言ってくれた。

 なのに、
 ご主人様はずっと遠くへ行こうとしてる。

 僕の手には届かないところへ行こうとしてる。
 なのに、一緒にいようと言う。
 なんて仕打ちだろう。動物愛護団体に言ってやろうか。

 ご主人様が出ていった扉に背を向け、ベランダへと続く窓ガラスに歩み寄る。
 空は雲ひとつないアオゾラで。キラキラと笑うように光っていて。

 こんなソラ、いっそのこと曇ってほしい。

「だいきらい……」
 初めて言った言葉。

 僕はアオゾラを見つめ、鳴いた。


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このストーリーに関するコメント

13/12/14 猫兵器

はじめまして。猫兵器と申します。

うちの猫もこれくらいいじらしいと良いな、などと思ってしまいました。
可愛らしいじゃないですか。
猫はもっとツンケンしているイメージがあったので、新鮮でした。

13/12/27 しーぷ

猫兵器様へ
何も思いつかず、こんなものを投稿してしまいすみません
実際の猫様たちはどうなんですかね

テーマに二つのモノが入っているというのは新鮮で難しかったのですが
考えるのは楽しかったです
ありがとうございました

14/03/21 リードマン

拝読しました!
なんの音だろう・・・のあたりからの表現が好きです

14/03/24 しーぷ

リードマンさんへ

ありがとうございます
表現が下手くそなので、そのように言ってもらえることはまれで、とても嬉しいです(*´∀`)

ありがとうございました〜

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