1. トップページ
  2. Cigarette with illegal OIL

Closedさん

LOVE Green,Chemical,Electro,Traditional and lady.

性別 男性
将来の夢 no future
座右の銘 too late

投稿済みの作品

1

Cigarette with illegal OIL

13/12/02 コンテスト(テーマ):第四十四回 時空モノガタリ文学賞【 復讐 】 コメント:1件 Closed 閲覧数:1090

この作品を評価する

翔子は一生懸命話している。

彼女の背後に立ち込めた煙に焦点が定まって意識も一緒に宙を舞っている。意識が散らかっていくのを精一杯押さえ込もうとするがどうすることも出来ない。

今朝、葉っぱからオイルを抽出したものを煙草の先につけて吸った。葉っぱとはクサのことでありガンジャことでありマリファナ。当たり前だが大麻の事だ。いつもならこれ位の量は調子よく作用するのだけど、あのオイルはどうやらよっぽど成分が上等らしい。

そういえば、この店は禁煙なのだから眼前のそれはタバコの煙ではないんじゃない気がしてきた。眩い朝日が店内に差し込んでいるのだから、光がもたらした店内の塵か。いままで塵を気になったことがあっただろうか。普段は夜しか訪れない洒落たカフェバーも、陽光に掛かればその不衛生さを容赦なく暴く。

意識を引き戻し、ずれた焦点を翔子に合わせ肝心の事を聞く。

「結局亮平とはどうすんだ?」
「結婚は、するよ。私はそれでも彼が好きだし、もう、後には引けないもの」
「それじゃあ、その女は?」

店内に流れるクールストラッティン。ジャズのまとめ音楽でも流しているのだろう。

2ch然りCD然り最近はなにもかも”まとめ”でうんざりする。情報が溢れる今だから取捨選択を自身で行うことは困難なのだろう。ただ、全ての情報をまとめていったその先には退屈しかないってことは俺にも分かる。

右へならえのエンターテインメントが蔓延した怠惰で淡々とした日々、腐っている。トんだ意識の中で、思いを陰鬱な未来に馳せようとしたが、翔子の話から過激な言葉が飛び出して現実に引き戻される。

「・・・から、なんとか自殺を装って殺して欲しいの」
「え、今、なんて言った?」

そこそこ大きい音の音楽に助けられ、過激な話題がかき消されている。しかし翔子のただならぬオーラが空気を伝ったのか、店員の女性が一人こちらを振り返った。

「結局あいつが死なない限り、亮平は私の前から居なくなってしまうと思うの」
「何も殺す必要はないだろ。っていうかそんなことできねーよ」

翔子のメガネに反射した光が狂気じみた色に変色している。メガネの奥は見えないが、その光の反射に焦点が移り、あまりの美しさに視線を動かす事が出来なくなって目の横がビリビリする。

「だって亮平の浮気相手は現役アイドルなのよ。おっぱいも大きいし顔もかわいいし」
「アイドルなら恋愛禁止だろ?スキャンダルにすればいいじゃねぇか?」
「ざまぁないんだけど、地下アイドルなのよ。だからスキャンダルにもなりゃしないっていうか。それよりアイドルを辞めたら絶対亮平とくっつくに決まってる」

地下アイドルという響きが唐突だった。存在自体がアンダーグラウンドでサブカルっぽくて少し惹かれてしまう。

翔子には付き合ってもうすぐ2年の亮平という彼氏がいる。俺の友人だ。一方翔子の容姿も恵まれていた。うっすらと茶色く染めたロングの髪にぱっちりとした目、しかしなんといってもプルンとした唇が彼女の妖艶さを象徴していた。

だから地下アイドルに寝取られたのがプライドを傷つけられて我慢ならないのかもしれない。

「でも、殺したいほど憎いなら俺なんかより闇サイトにでも頼めよ」
「忘れたの?瞬が元カノにやったこと」

そうだった、俺には凶暴じみた一面があった。それはそう、ジョジョにでてくるフーゴと、そのスタンド”パープルヘイズ”がふさわしい。初めてフーゴの存在を漫画で知った時、これは俺だと確信した。

「あぁ元カノを風呂に沈めたときの事か、そういやそんなこともしたな」

俺は浮気性の亮平をそれでも愛する翔子が理解できなかったが、少し飲み易く冷めてきたホットチョコレートを飲みながら、少し考えた。そうして特に苦労する事も無く然るべき打撃を与える妙案を思いついたのだった。俺の考えた作戦は実にシンプルなものであり、3日後には作戦は拍子抜けするほど簡単にうまくいっていた。

「瞬!最近亮平が私に優しくなったの、ありがとう!大成功よ」
「そりゃ良かった。それじゃあ約束どおり来て貰おうか」

俺は笑みがこぼれてしまう。

俺がした事、それはアイドルの女をおれ自身が口説き俺のものにしただけだ。アイドルを手なずけて亮平とは縁を切るように言わせた。

勿論、俺のことは伏せてだ。

そして、俺が翔子から得る報酬は、翔子の体を貰う事。笑いが止まらない。俺の中の僅かな良心が、亮平には一度に二人も女を奪って悪いと感じている。

でもあいつは俺が去年貸したカラオケ代三千円をまだ返してないしな。

「お前ら一人ずつ、千五百円ってとこだから丁度いいな。復讐は終わりだ」

ホテルに向かうその道すがら我慢できずタバコの先にオイルを塗って火を点けた。

後はどうやってアイドルを殺すかってことだけだった。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

14/03/12 リードマン

拝読しました!
安っ!

ログイン