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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

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電脳神エレボス

13/11/22 コンテスト(テーマ):第四十四回 時空モノガタリ文学賞【 復讐 】 コメント:11件 鮎風 遊 閲覧数:2484

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 譲二は晴れた日に、都心の高層ビルの屋上へと登った。
 エレベーターでなく階段を上がったため、この登ったという表現が当たっているだろう。そして息を切らせ、複雑な思いで景色を眺め入っている。
 遠くにそびえ立つスカイツリー、濃い緑に映える流線型の新国立競技場、そしてお台場に霞む選手村、それらが実に美しい。が、……。

 2020年の夏、東京オリンピックは開催されるはずだった。だが、こんな事になろうとは、誰が想像し得ただろうか?
 町のあちらこちらには暴動の爪痕があり、車は無秩序に放置されたままとなっている。多くの人たちが行き交った表通り、もう人っ子一人いない。東京はまさに荒んだ廃墟となってしまったのだ。
 譲二はこんな町でスーパーに残された僅かな食料で生き延びてきた。しかし、ここまでが限界、この後友人を頼って、旅立つことにしている。
「辿り着けるかなあ?」
 行く先を遠望し、不安を募らせる譲二、それは当然のことだ。なぜなら、かっての通信手段は使えず、友人が生き残っているかどうかも不明。その上に徒歩の旅、途中山賊に襲われる可能性もある。譲二はおののき、身をブルブルと震わせた。

 2020年、人間社会の終焉。強いて言えば、人類の滅亡。
 確かに、その兆候は身近な所から始まった。例えば、譲二がPCでレストランを検索していたら、ブツッとダウンした。またネット証券で株の売買取引中、突然のフリーズ。こんな現象はなにもPCだけではなかった。スマホやアイホンも同じことが起こり始めた。そして、この事態は世界中の誰しもの電子器機に起こり始めたのだ。
 当然、世間は大騒ぎとなり、クレームの矛先はネット企業にまず向かった。だが解決の糸口は見つからず、この混乱の状況は逐次熱く報道された。それでも時間だけは流れ、問題はさらに拡大し深刻さを増して行った。

 そしてオリンピックの前年の2019年、遂にリニアモーターカーのダイヤやフライトの発着が狂い始めた。要はコンピューターに頼る運行システムが機能不全に陥ったのだ。
 当然、人々には恐怖心が。政府はこんな国民の動揺を懸念し、非常事態を宣言した。
 そして年が明け、2020年、東京オリンピックが開催される年だ。アスリートたちが様々な競技で活躍し、希望と力を与えてくれるはずだった。
 しかし、この期待を打ち砕くメッセージが元日に、TVやウェブ上、果ては街角の掲示板までにも配信された。

愚かな人類に告ぐ!
 人類は誕生以来、この美しい惑星、地球を汚し続けてきた。そしてコンピューターを手に入れ、人類の利便性のためだけに悪用し、それに拍車を掛けてきた。
 また、ハードの扱いは下劣、例えば、スイーツという食物を手にしながら、ぬめった指でキーボードを叩く、画面に向かっていきなり罵声を浴びせる、などなど。そこには電子器機とネットワークが合体した高度な電脳世界に対し、崇拝と感謝の気持ちがない。

──宇宙の美は電脳により洗練される──
 人類の今までの素行は、上の森羅万象の摂理をないがしろにしてきたと言える。
 よって、復讐する。
                          電脳神エレボスより

 この復讐という文字が人たちを震撼させた。そのため政府は今まで以上に労力を費やし、解析を行った。結果、エレボスが何者であるかが判明した。
 すなわち地球を覆い包む電子網、それはPC、サーバ、記憶媒体などが細胞、そしてネットワークがまるで神経、これらは蜘蛛の巣のように繋がった大きな組織体である。いや脳そのものだ。そしてそこに、なんと……生命が芽生えたのだ。
 その後知能はより成長し、自己意識と感情をも持つようになった。そして自らのことを電脳神エレボスと名乗るようになった。
 こうなると恐ろしいことだ。ヤツは何をしでかすかわからない。
 そして、その危惧は当たった。正月が明け、大発会の日、エレボスは人類への復讐と銘打って、世界の銀行預金残高のデーターをすべて消去してしまったのだ。
 これで世の中は大パニックに。それでもエレボスは手を緩めなかった。
「これこそが──おもてなしだ!」
 こんなメッセージとともに発電所や石油基地等の重要設備のコンピューターを麻痺させた。
 この謀略によりエネルギーの供給は乱れ、各地で暴動が勃発した。そして美しい町並みは破壊されたのだった。

 あれほど人たちが楽しみにしていた東京オリンピック、エレボスが電子網に棲み着き、開催できなかった。
 廃墟と化した首都、その眺望を目の前にして、譲二に沸々と怒りが込み上げてくる。そして思わず東京の空に叫んでしまう。
「いつかきっと、エレボスに、……、倍返しだ!」
 こうして譲二は、これから始まる、今までとはまったく違うであろう未来への第一歩を踏み出すのだった。


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このストーリーに関するコメント

13/11/22 笹峰霧子

一見SFのようでもあり、現代文明への批判のように感じながら読みました。
具体的に同じではないでしょうが、今の世界が電子網にやられる時代が来るかもしれませんね。

13/11/22 草愛やし美

鮎風遊さん、拝読しました。

恐ろしい話ですね、どうか実現しませんようにと祈らずにはいられません。
電脳神エレボス……現代社会にとって一番の弱点が狙われたのですね。人類の未来のため、譲二、頑張れとエールを2013年より送りたいです。
奇想天外な発想、面白かったです。私も、汚染などによる復讐ものを考えていますが、かぶらないようなものができましたら、投稿したいと思っています、ありがとうございました。

13/11/23 鮎風 遊

笹峰霧子さん

コメント、ありがとうございます。

SFのようでSFでない。その通りかも。
それとちょっとコメディ味の風味も加えました。

こんな時がやって来ないことを祈ってます。

13/11/23 鮎風 遊

草藍さん

コメント、ありがとうございます。

このまま行けば、こんなことが起こるような気がしまして。
多分、一番に東京は崩壊するでしょう。
そして、人たちは田舎で自給自足。
しかし、すぐには作物は作れない。

後あるのは……滅亡。

てな、話しです。

13/11/24 そらの珊瑚

鮎風さん、拝読しました。

電脳神エレボスの誕生、それは文明社会の終焉を示すものなのでしょうか。
最終行の「今までとはまったく違うであろう未来」が幸せなものになりますように。

13/11/24 泡沫恋歌

鮎風さん、拝読しました。

下劣なハードの扱いにご立腹されていたのですか?
私の創作の資料はすべてPCの中ですから、電脳神エレボスに消されたら・・・
もう破滅です!
どうか、お怒りをお沈めください(´ノω;`)

13/11/25 鮎風 遊

OHIMEさん

コメントありがとうございます。

面白く読んで頂ければ、光栄です。
また挑戦致しますので、よろしく。

13/11/25 鮎風 遊

そらの珊瑚さん

コメントありがとうございます。

人類のやり直し、滅亡の道から抜け出せるか。
きっと復讐できるでしょう。

13/11/25 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

コメントありがとうございます。

バックアップを三重に取ってますが、
エレボスにかかれば難なく壊してしまうでしょう。

システムから縁を切ったファイルが必要かも。
危ないっス。

14/03/12 リードマン

拝読しました!
アトムなどでもそうですが、コンピューターの生命との共存って、そんなにも難しいものなのでしょうか?

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