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B.Dさん

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完全主義者選手権

13/11/11 コンテスト(テーマ): 第二十回 【 自由投稿スペース 】 コメント:0件 B.D 閲覧数:1337

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ただ今より、完全主義者選手権決勝戦を行います!決勝戦の種目は粘土細工であります”
 定時きっかりにアナウンスが流れると、美しい白磁のツボが運ばれて来て、寸分の違いもない位置に置かれた。
「この美しい白磁のツボに寸分違わぬ形をした粘土細工を作っていただきます!制限時間は3時間!それでは参ります!5,4,3,2,1,0!」
「どぅうううーん」とドラの音がならされて競技は始まった。
 開始直後だというのに、一人の男性が競技をやめている。女子アナがインタビューを試みると、涙にくれているではないか。
 しばらくしてインタビューを再び試みた。
「どうしてやめたんですか?」
「ドラの音に少し遅れたんです・・・・。他の人たちはみんなドラの音きっちりにはじめてる。遅れたことも死ぬほど許せないし、そんな僕が勝てるわけないからやめたんです。あぁぁぁぁぁ・・・・」
彼はそれっきり頭を抱えて悶絶を繰り返すだけだった。
 競技開始から一時間半になると、今度はせっかく作ったものをつぶして競技をやめるものが出てきた。
 競技をやめてしまった女性に女子アナがインタビューを試みた。
「どうしてつぶされたんですか?完成間近だったのに?」
「完成間近?何言ってんの?ツボの注ぎ口に小指が引っ掛かってへこみができたのよ。この日のために爪も切ってきたのに!」
「直せばいいじゃないですか」
「直す?直すという言葉は私の辞書にないの。それに、ミスをしてケチがついたものなんて見たくもないわ」
 こういう事で脱落者が出て、競技開始から二時間五十分経って参加者は10人から2人になっていた。
 そのうちの一人の男性のは完成に近づいている。手本のツボと全く持って寸分たがわぬ作品が出来上がりつつある。
 もう一方の女性は作品を作っていない。ずっと誰かと話し込んでいる。
「どぅうううーん」と再びドラがなって終了した。
 男性はモデルの白磁のツボと寸分違わぬ作品を作り上げた。見事な瓜ふたつな形で、シルエットだとどちらがどちらか全く見分けがつかない。
 一方の女性は作品がない!
 大会委員長が「どういう事だ!」と尋ねると、
「私、形だけ似せるのでは満足できませんの。この美しい白磁のツボに寸分違わぬ、色、光り具合、土、形などを再現したくなりましたの。そのためには陶芸家にならないといけません。なので、今から陶芸家修行の旅に出ることにしましたの。さっきまでそのための打ち合わせをじいやとしていましたの」
「なんと!感動した!!あなたが優勝だ!!」
 会場が拍手喝采となった。
 会場の端で男性が打ちひしがれていた。


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