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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

性別 男性
将来の夢 この世で最も面白い物語を見つけ出したい。
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地下都市の国家機密

13/10/21 コンテスト(テーマ):第四十二回 時空モノガタリ文学賞【 都市伝説 】 コメント:12件 鮎風 遊 閲覧数:2504

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 ある企業のコンピューター室に勤務する藍染夏樹、上司から告げられた。社長が面談したいと。
 こうしてその夜、夏樹は高級料亭で社長と向き合うこととなった。単なる専門職にとって、こんな事態なんて考えられないこと、だが現実に。
「さっ、遠慮なく」
 社長が緊張する夏樹を気遣って気軽に声を掛けた。これに「はい」としか返せなかった夏樹に、今度は「まあ、一杯」と社長が大吟醸を奨める。そして「君はずっと一人だったそうだね」と。「そうです」と夏樹は正直に答えた。
 事実、夏樹は孤児院で育った。孤独な境遇であったが、先生の指導を得て、コンピューターの勉学に励んだ。その甲斐あってか、この会社に入社できた。いや、拾ってくれたと思ってる。その恩返しにと、現在まで仕事に精魂を傾けてきた。

 それにしても、今夜のこの会席、理由がわからない。しかし、社長は機を見て、あまりにもさらりと言い渡す。
「君に、たっての願いなのだが……、潜ってくれないか?」
 潜る? 夏樹には意味不明。即座に「どこへですか?」と聞き返すと、社長は一献の酒をふるまい、「地下都市へだよ」と囁く。後は四の五の言わさぬ眼差しに。
 地下都市と突然言われても……、ハトが豆鉄砲を食らったような顔の夏樹に、社長が付け加える。
「国家機密で私もよく知らないが、地下に、頑強な壁で守られた、そう、葡萄のように一粒一粒繋がった町の集合体がある。そこにはスーパーコンピューター京の1万倍の計算能力を持つ垓(がい)があり、世界に13しかないDNSサーバの次世代型などがあるようだ。要は日本の心臓部だな」
 夏樹はその都市伝説を耳にしたことがあり、軽く頷いた。しかし、それを無視して社長が続ける。
「国家チームから一人者の君に白羽の矢が立った。端的に言えば、そこへ潜って欲しい。日本のため、国の基軸コンピューターを守る、その任務を引き受けてもらいたい」
 社長はここまで一気に喋り、頭を下げた。
 夏樹にとって、社長から直々の要請、満更でもない。しかし、現プロジェクトが佳境にあり、どうしたものかと心が揺れる。それを見通してか、社長がポイントを変えてくる。
「先に話しておこう。一旦地下都市に潜ると、いいか、機密保持のため二度と地上には戻れない。だが、今は環境も整い、緑が溢れ、スーパーも学校も病院もあるそうな。それに若くて美しい独身女性たちが多く住んでるらしい。もちろん、そこで恋が芽生えれば、君も所帯が持てるぞ」
 所帯、一人で生きてきた夏樹にとって、それはドリーム。その蜜がほろ酔いに結合し、「お受けします」と、ポロリと返事をしてしまう。
「ありがとう、君の勇断に感謝する。それでは善は急げだ、今から行ってくれ」
「えっ、今からって?」
 あまりにも突然で、夏樹は目をパチクリとさせる。その瞬間だった、襖がさっと開き、現れ出た男に有無を言わさず目隠しされた。後は料亭から某所へと移動し、高速下降エレベーターに乗せられた。それから数回の引き渡しがあり、やっと目隠しが外された。
「ようこそ、藍染夏樹さん、もう地上に昇ることは二度とありません。日本のために業務に励み、またこの町で地下ライフをエンジョイしてください」
 こうして地下都市での夏樹の暮らしがスタートしたのだった。

 烏兎匆々(うとそうそう)、あれから5年の歳月が流れた。夏樹にとって葡萄市の生活は快適だった。その上に一人の女性、陽菜と恋に落ち、憧れだった所帯が持てた。そして長男が生まれ、すべてが──バッチグー。
 そんなある日、陽菜が話してきた。
「今日公民館の掲示板で見たのだけど、この葡萄市って、文学的な創作活動がないでしょ。それで地上から、作家さんを連れてくるらしいよ」
「確かに、文学的な潤いはないよな。それで、どんな作家さんを?」と夏樹は興味津々。これに陽菜は「地上に小説投稿サイト・タイムスカイがあるでしょ。そこのお題が今回『都市伝説』だって。どうも、そこの投稿者の中から選ぶようよ」とどことなく嬉しそう。
 そう言えば、タイムスカイ、夏樹は地上時代、風遊鮎のペンネームで投稿したことがある。懐かしい。
 そして陽菜は「私、タイムスカイのファンだったの。だから、作家○X△さんが適任だと思うわ」と言う。
「そうだな、○X△さんなら最適だね。今度市長に推薦しておくよ」と、夏樹は約束するのだった。

 これは都市伝説、地下に葡萄市という町がある。
 そして今、文化的な町作りのために作家さんを探している。

 これは偶然か、それとも必然か?
 小説サイト・タイムスカイがテーマ『都市伝説』でただ今作品公募中。
 噂によれば、地下都市へと潜ることとなる作家さんはここから選ばれるらしい。
 そして本命は[○X△さん]だとか。
 ただし、実名の公開は国家機密のため、不可となっている。


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このストーリーに関するコメント

13/10/21 泡沫恋歌

鮎風さん、拝読しました。

そうですか?
憧れの地下都市で作家さん募集中ですか。
私なんぞは力不足なので[○■△さん]と[○X◆さん]を推薦します。

国家機密なので本人が承諾するまでは実名は伏せて置きましょう(笑)

シィィィィッ!!d(≧ε≦。)ノ゛))ナイショダョ

13/10/21 光石七

拝読しました。
このサイトも国家機密が絡んでいたとは……(苦笑)
楽しく読ませていただきましたが、案外実話じゃないかという思いも拭い切れません(笑)

13/10/21 草愛やし美

鮎風遊さん、Σ( ̄。 ̄ノ)ノ地下都市にいらっしゃったのですか? 違うんですか。( ̄0 ̄;アッ、風遊鮎さんでしたわ。
(”ロ”;)ゲゲッ!!誰かもう葡萄市とやらへ、逝かれるお方決まっているのですか。誰なの? えええ〜〜((ヽ(゚〇゚;)オロオロ(;゚〇゚)ノ))

タイムスカイなるほど、感心しながら読み終えました。英語だとそうなるのですか、(; ̄ー ̄)...ン?なんか変? 単純な私です。とっても面白かったですありがとうございました。

13/10/22 リードマン

はじめまして、リードマンです。

超の付く新参者ですのでコメントは極力控えたいと愚考していますのに皆様の書く物語が面白過ぎるのがそもそもの現況です。お礼だけでも、言わせて下さい。楽しかったです。

ありがとうございました。・・・東京アンダーグラウンド?w

13/10/22 リードマン

国家機密・・・禁忌の言葉ですね。一度でも触れてしまえば・・・ブルブル・・・

13/10/25 そらの珊瑚

鮎風さん 拝読しました。

そんな壮大なプロジェクトに参加していいものだろうか?
…あっまだ書いてなかったっけ。
面白かったです。

13/10/27 リードマン

まずは近代的な企業の在り方の構築から始めるべきかとw

13/10/27 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

[○■△さん]と[○X◆さん]さんですか。
確かに。

さてさて、どうなるか、高見の見物で。

13/10/27 鮎風 遊

光石七さん

コメント、ありがとうございます。
私もかなり実話に近いのじゃないかと思ってます。

13/10/27 鮎風 遊

草藍さん

英語でタイムスカイ、なんだか変。
この奇妙な味わい、結構気に入ってます。

風遊鮎が草藍さんによろしくと言ってるようですよ。

13/10/27 鮎風 遊

リードマンさん

コメント、ありがとうございます。

東京アンダーグラウンド、いろいろな面白い、いや恐い物語が眠ってそうです。
人たちはそれでも掘り返したくなるようですね。

13/10/27 鮎風 遊

そらの珊瑚さん

事実は小説より奇なり、ありそうな話しかも。
さてさて、どういう結末になるのか、見守りましょう。

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