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傘教育

12/05/13 コンテスト(テーマ):第四回 時空モノガタリ文学賞【 傘 】 コメント:0件 mokugyo 閲覧数:1865

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学校の教室。男の教師が黒板に『傘』という字を書いている。生徒の田上が一人、黒板を見ている。
「はい、皆さん黒板を見て下さい。この通り、傘という字は人が中に四人入ってますね。ひとつの傘の中に四人入れるということなのです。だから皆さん、傘は四人で一つです。くれぐれも独り占めしないように」
「先生、この大きさでは四人入れない上に、そもそも隕石を防げません。絶対体に当たります。というか、そもそも傘で隕石を防御という発想が無理過ぎませんか?」
「田上君、空を見なさい。あの真赤な空を!終末の天気予報が隕石の雨あられだということは知ってますよね?先生方はですね、モンスターなペアレンツな方々にどうにかしろと迫られて、わざわざこの特殊な傘を取りよせたんですよ!」
「いや先生方の都合は知りませんよ!ってか、傘の字の中に人が四人とか、嘘つかないで下さいよ!この漢字は傘の形を表してるっていうの、自分調べたんで!」
「田上君、余計なことを言ってくれますね。教育とは大人の都合で変わるものなんです!覚えておくがいい!」
「ほら、そういう余計なこと言ってる間に八郎が傘持って校庭行っちまいましたよ」
「なに?あの野球野郎、団体の輪を乱しやがって!教育現場で一番困るんだよね、ああいうの!」
「いや、先生、校庭見て下さい。八郎が傘で隕石打ち返してます」
「なにィ〜!?…あ、ほんとだあ…。すげえ打ってる、すっげ打ってるわ。傘で隕石ライト前飛ばしてるわ…うん。オホン!そう、ああやって使うんだよね、あの傘」
「何ごまかしてるんスか!ってか、先生いつもそうじゃないですか!適当にごまかして嘘ついて!みんな呆れてるんスよ!ほら、俺らがこんなくだらねえやり取りしてる間に皆どっか避難しちまったし!」
「傘にかけやがって…ちょうどいい、お前とは教師と生徒の間を越えてでも、決着つけなきゃならねえからな」
「嵩にかけるでしょ。教師のくせに漢字間違えないで下さい。声に出すとわかんねえからって間違えないで下さい」
「初めて会った時もお前はそうやって俺をバカにしてくれてよな。ASKAが『はじまりはいつも雨』を歌うように、田上、お前と俺がはじめて出会った時も今日のような雨の日だった…。教師と生徒という関係を超え、今日こそ決着つけさせてもらおう…」
「何わけ分かんねーこと言ってんスか!今それどころじゃないッスよ!井上陽水みたく『傘がない』!隕石防ぐ傘がもうこの教室にないじゃないッスか!俺、避難できないじゃないッスか!」
「避難の必要はない!お前はここで死ぬ!」
「教師が生徒に言うセリフじゃねえー!あ、こんなくだらねえやりとりしてる間に八郎が戻ってきた!」
 坊主頭の野球部員、八郎が教室の中に入ってくる。
「おつかれッス!今、こっち日本方面に降ってきた隕石はすべてカッ飛ばしておきました。先生、もう安心するよう他の生徒にも伝えて下さい」
「お、おおう、八郎。お前な、勝手に傘持ち出して勝手に隕石打ち返すなよな?おま、死ぬところだったよ、マジで」
「いや、俺丈夫なんで。俺、地蔵星人なんで」
「へ、何言ってんの?八郎、頭おかしくなった?隕石に打たれた?」
「いや、地蔵星人だってバレないように野球部入ってたんで。アンゴルモアの親分にはうちの星の頭が話しつけてくれたんで。もう大丈夫です、日本は。うちの先祖が大昔に日本人のじいさんに世話になったってことがあって、うちら日本びいきなんスよ。雪の中、自分の笠を道端の地蔵の頭に乗っけてくれるなんて、めっちゃ良い人ですよ。あの時、うちらの先祖は漂流してて、あの笠がなければ死んでましたよ。だから、あれうちらの星では伝説なんスよ。マジ日本人の親切心半端ねえ。だから俺はこの終末にそなえて傘がこの学校に届くように根回ししといたんスよ。先生にはマジ感謝してるッス。俺みたいな地蔵頭の怪しい奴をさも普通の生徒であるかのように扱ってくれて」
「え、いやあ…あれ、え、君って普通の生徒じゃなかったの?なんか顔色悪い灰色気味な坊主の生徒じゃなかったの?」
「またまたトボけちゃって〜!先生が俺を普通の生徒として扱ってくれたかた今回の潜入と対策がうまく出来たんスよ。もう日本は地蔵星人傘下ッスから。じゃ、俺はこれから星に帰るんで!お疲れッス!また会いましょう!」
八郎が教室を出ていく。再び教室は教師と田上だけになる。
「空晴れましたね…。八郎が言ってたことマジなんですかね」
「うん…。まあ、あれだよね、先生の教え子だからね、八郎も。うん、八郎ならやってくれると思ったよ。これが教育の力ってもんだよ」
「また適当なこと言って…」
「雨ふって自固まる、っていうね」
「地固まる、ですよね。先生、わざと間違えないで下さい]


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