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泡沫恋歌さん

泡沫恋歌(うたかた れんか)と申します。

性別 女性
将来の夢 いろいろ有りますが、声優ソムリエになりたいかも。
座右の銘 楽しんで創作をすること。

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略奪恋愛ゲーム

13/10/09 コンテスト(テーマ):第四十一回 時空モノガタリ文学賞【 恋愛 】 コメント:22件 泡沫恋歌 閲覧数:3318

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 私にとって恋愛はゲームと同じだった。
 たとえば素敵な彼氏を連れた女がいるとすれば、その男に近づいて、誘惑して“略奪愛”で自分の彼氏にする。だが、奪ってしまえば熱は冷める。結局、男は捨ててしまうだけだった……それでも略奪恋愛ゲームは止められない。
 なぜかって? 恋の勝者である自分に酔い。人の男を振り向かせることで自分の価値が確認できる。恋人を盗られた女の悔しがる顔が見たい……この腹黒い性格に反して、私の容姿は美しく、顔も声もとても優しげだった。こんな私に男たちはコロリと騙されて恋人を捨てて、私になびいた。

 浅井真由(あさい まゆ)の件もそんな恋愛ゲームのひとつだった。
 高校の同級生だった真由と、レストランの駐車場で偶然に出会った。そこは郊外にある高級フレンチのお店で、飽きた男を私はそこに捨ててきたばかりだった。
 学生時代の真由は地味で目立たない子だったが、久しぶりに会った彼女はキレイになっていた。左の薬指にダイヤを光らせて、来年結婚するのと幸せそうに話した。
 そこへ婚約者の男性が現れて、私たちは挨拶をして軽く自己紹介をした。真由の婚約者は良い大学を出て、一流企業に勤めていた。容姿も悪くない。――いつもの癖で私の食指が動いた。
 真由の婚約者織田智也(おだ ともや)のことを調べて、偶然を装って彼と出会うようにセッテングした。不自然な偶然が何度も重なり智也と会う内に、お酒に誘い酔い潰れた彼をホテルへと誘惑した。
 そういう既成事実を作って、智也と深い関係になったから真由に彼と別れて欲しいと言いにいった。その時の彼女の顔といったら……これ以上の絶望はないといった表情だった。
 数日後、真由はビルの屋上から飛び降りた。まさか自殺するとは思わなかったが、死んだのは彼女の弱さのせいにして、忘れることにした。
 さすがに智也とはいったん縁が切れた。

 その後もいろんな男を手玉に取っていたが、私はヘマをやった。
 高速道路で同乗中に別れ話がこじれて、相手の男に無理心中されたのだ。私たちが乗った車は中央分離帯に激突、男は死んだが、私は奇跡的に助かった。だが脊髄を損傷して一生車椅子生活を余儀なくされた。
「もうお終いだわ」不自由な身体になって病院で絶望していたら、智也がやってきて「自分と関わりのある女性がこれ以上不幸になるのは辛い。一生、君の面倒を看たい」と引き取って、周りの反対を押し切って結婚もしてくれた。――私は自分の悪運の強さを誇った。

 郊外に立派な屋敷を建てて、二人の結婚生活が始まった。
 不自由な身体の私に指一本触れようとしない夫だったが、私のために住込みの介護士を雇ってくれた。かなり高給だったので多くの人が面接に訪れたが、一番不細工な女を私は採用した。
 黒ぶちの太い眼鏡に引っつめ髪、小太りで、化粧っ気もなく、服のセンスは最悪。歳は二十八だというが十は老けて見える。オバサンみたいな山田久美だ。
 しかし久美の仕事ぶりは優秀だった。介護だけでなく、家事や掃除もやってくれるので助かった。昼間は久美とふたりで過ごすことも多く、よく車でデパートへ行き車椅子を押して貰ってお買い物を楽しんだ。
 不細工で従順で有能な久美が殊のほか気に入った。

 それが、突然辞めたいと言ってきた。理由を訊くと、
「妊娠しました」
 意外な理由に言葉を失った。こんなオバサンを妊娠させた男がいたなんて……。
「……いったい相手は誰なの?」
「旦那さまの子どもです」
 久美はキッパリと言った。
「まさか、嘘でしょう?」
 耳を疑う。
「不自由な身体の奥様を抱くことも出来ず、悶々としていた旦那さまを私が毎晩お慰めしました」
「許さない! おまえは私の夫を盗んだのね?」
「あーら、奥様人聞きの悪い。旦那さまは奥様よりも私が好きで抱いたんですわ」
「この泥棒猫! 私を騙したのね」
『奪い取った愛は、また奪い取られる運命なのです』
「えっ……?」
 久美は黒ぶち眼鏡を外し、髪をほどいて、妖艶な笑みを浮かべた。その顔は誰かに似ていた。――真由? 浅井真由に似ている。
「妹はあんたに婚約者を奪われて自殺したんだ。だから、今度は私があんたから夫を奪ってやったのさ!」
「ひ、ひどい……」
 悔し涙が零れた。
「いい気味さ! あっはっはっ」
 笑いながら久美は私の車椅子を三階の階段の踊り場まで運んだ。
「何をする気なの!?」
「あんたは、ここから車椅子に乗って奈落の底へ落ちるんだよ」
「やめて! 助けてー!」
 眼下に三階まで吹き抜けの長い々階段がある。久美は私の車椅子を躊躇なく押した。 
「ギャア――――!」
 絶叫しながら階段を落ちていく、その時――。
『ゲームオーバー』
 誰かの声がどこからか聴こえたようだった。バウンドしながら車椅子が地獄へ堕ちていった――。


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このストーリーに関するコメント

13/10/09 泡沫恋歌

写真は「愛を感じるカップルの画像集」からお借りしました。http://matome.naver.jp/odai/2128099344160793501

テーマ【 恋愛 】だと、純愛物が多い中で、
敢えて……
もの凄く、性格の悪い女を主人公に恋愛を描いてみました。

13/10/09 こぐまじゅんこ

泡沫恋歌さま。

面白いです。
結末が、すっきりしますね。って、私も悪女だからかしら?

13/10/09 草愛やし美

泡沫恋歌さん、拝読しました。

恋愛にも様々なパターンがあって当然だと思います。この女性が、どうしてこんな風になったのかをかってに想像しています。彼女は、こんなことをして幸せだったのかしら……。
でも、悪いことはできない、いい男性と知り合えたに、この結末ですから。

13/10/09 そらの珊瑚

恋歌さん、拝読しました。

略奪愛ゲーム依存症と呼んでもいいくらいの、同情の余地もない徹底した悪女ぶりですね。
だまされる男も悪いんだけど、やっぱり因果応報! そうでなくちゃ被害者は救われません。

13/10/09 yoshiki

読ませていただきました。

サスペンス劇場的なストーリー構成で面白く読ませていただきました。

どんな女、男の中にも悪女・悪男はいると思います。そこを抉ればスリリングな物語が出来そうで刺激になりました。いや創作は楽しい(^v^)ナイス(死語)m(__)m

13/10/09 泡沫恋歌

こぐまじゅんこ 様
コメントありがとうございます。

いやいや、こぐまじゅんこさんは悪女じゃないでしょう?
悪女があんな可愛いメルヘンをたぶん書かないと思います(笑)

13/10/09 泡沫恋歌

凪沙薫 様
コメントありがとうございます。

2000文字に入れるのちょっと苦労しましたが、この悪女の軌跡を描かないと
あのオチを付けることができないのでできるだけ、エピソードを詰め込みました。

身体が不自由な中で、自分のした事を思い知らせた方法ですが・・・
文字数がかかり過ぎるので、手っとり早く死んで頂きました(笑)

13/10/09 こぐまじゅんこ

泡沫恋歌さま。

あはっ。ありがとうございます。

13/10/10 泡沫恋歌

↑ こぐまじゅんこ様、感じたまでを書いただけですよ(○^o^○)ニコッ♪

13/10/10 泡沫恋歌

草藍さん、コメントありがとうございます。

彼女がどうしてこんな女になったのか?
ホントに気になるところですが、文字数の関係上あまり書けませんでした。
たぶん、生まれついての根性の悪さかも知れない。

いわゆる、サイコパスではないでしょうか?

13/10/10 泡沫恋歌

そらの珊瑚さん、コメントありがとうございます。

そうそう、こういう同情の余地のない悪い女を書いてみたかったのです。

人の心の苦しみや悲しみを知らない氷のような心の持ち主・・・
まさにサイコパスな女です。

最後も自業自得と言えましょう!

13/10/10 泡沫恋歌

yoshikiさま、コメントありがとうございます。

サスペンス劇場風のストーリー展開になりました。

ドラマ仕立てなので、読んでて退屈しないように多少アップテンポで
物語を展開させていきました。

いや〜♪ 創作ってホント楽しいですねヾ(〃^∇^)ノわぁい♪

13/10/11 鮎風 遊

凄まじい恋愛ですね。
案外人はこういう世界にあこがれもあるのかも知れません。

ゲームオーバーにならず、実は生き延びて、
また物語が始まって欲しいです。

13/10/11 泡沫恋歌

ハレコ 様、読んで頂き、コメントまでありがとうございます。

みなさんは、【 恋愛 】テーマだと、たぶんキレイな純愛とかお書きになるのでは
ないかと思って、敢えて、悪女の物語にしました(笑)

読みやすかったと言って頂き大変嬉しいです。

13/10/11 泡沫恋歌

鮎風 遊さん、コメントありがとうございます。

案外、悪女の話は読んでて面白いよね?
私はむしろ、悪い奴が主人公の話が好きなんですよ。

「羅刹丸」「隴を得て蜀を望む」の主人公たちも悪人ですから(笑)

生かして置いて、イビルという方法も文字数があれば書いてみたいですね。

13/10/11 murakami

女性の怖さがよくでていて、面白かったです。

智也の優しさで改心することなく、自分の強運を誇ってしまうところがすごいですね。やはり、ここまで徹底してこその悪女ですね。

13/10/13 泡沫恋歌

村上 様

読んで頂き、コメントまでありがとうございます。

恋愛といってもいろんなパターンがあると思うんですよ。
何も“ 純愛 ”だけが恋じゃないだろう?

という、天邪鬼根性で書いてみました。

悪女というのは自分に絶対的な自信がないと、たぶん成れないと思います。

13/10/13 かめかめ

殺す必要はないように思いました。

すばらしくおもしろかったのですが

13/10/17 泡沫恋歌

かめかめ 様

コメントありがとうございます。

そうなんですよ。
やっぱり殺すのはやり過ぎかも知れませんね(笑)

13/10/20 ドーナツ

拝読しました。


サスペンスが盛り上がって行って、2000字以上の作品を読んだ時のような満足感です。
因果応報というか、恨みはこわいね。

でも、今度は私があんたから夫を奪ってやったのさーーーこのセリフに、酢だよな、、なんて妙に納得してしまった私も性悪女かも。。

13/10/20 泡沫恋歌

ドーナツ 様

コメントありがとうございます。

悪女を主人公にしたドロドロの恋愛ストーリーでしたが、サスペンス風に楽しんで
貰えたようで良かったです(○^o^○)ニコッ♪

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