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扇樹さん

世界を創る魅力に囚われ、早幾年。 まぶたの裏に広がる世界を、拙い文章で排出し続けています。 時空モノガタリでは、数多くの作家様の作品から勉強させていただいております。 よろしくお願いします。

性別 女性
将来の夢
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カナリアの放課後

13/09/09 コンテスト(テーマ):第十六回 【 自由投稿スペース 】 コメント:1件 扇樹 閲覧数:1369

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夏休みが終わったとしても、夏は唐突に終わりを迎えるわけではない。

夏の日差しは容赦なく教室を照り付ける。
生徒は皆それぞれ、放課後に在るべき場所へと移動していく。
こんな蒸し暑い教室で、カバンを抱えたまま立ちすくんでいるのは私くらいだろう。
掃除の時間だって、とうの昔に終わってしまっているのだから。
ホウキを用具入れに戻してから、時計の長針は少なくとも6分の4周はしている。
そろそろ、行先を決める時間だ。
いや、本来ならばもう20分は前に行動していなければいけないのだけれども。
制服のポケットに入れた携帯がメール受信を知らせてきて、軽く飛び上がる。
画面を開くと、未読メール2件。
2件とも、思い当たる節がありすぎて嫌気がさした。
メールボックスを開こうか。しかし、開いてしまったら、返信しないのはバツが悪い。
もう少し私に悩む時間をください、ってことで。
私は、メールを読まれることを望んで赤く点滅する携帯をポケットに戻した。
と、そのタイミングで。
「あれ?ハシモト?」
「あ、キサラギくん…。」
教室の入り口、バスケのユニフォームに身をまとったクラスメイトが首をかしげていた。
男女問わず、クラスメイトから憎めないお調子者という称号を得ている彼。
ひょうきんな笑顔に少しだけ、心が和んだ。
もしかして、首から下げられた時代劇丸出しの手拭いのせいかもしれないけど。
「どうしたの?部活あるだろ、ハシモトんとこ。」
「……うん、そうなんだけどね。」
部活、という言葉にほんの一瞬心がすくんだ。
つつかれたら嫌だな、とか、触れないでほしいな、とか。
そんな本音が、こもった返事になってしまって内心肩をすくめる。
男子なんて無神経なんだから、濁したって無駄なのに。
けれども、キサラギくんの反応は、私が思ったものとは少し違っていた。
「ふーん、そっか。俺は忘れもの。」
「……忘れ物?」
「そ。図書室に返す本。今から返しに行くんだけど、ハシモトも行ってみる?図書室。」
額の汗を拭いながら、明るい笑顔を向けるキサラギくんは自分の机から一冊の本を取り出した。
彼のキャラクター性と読書があまりにかけ離れていたから、興味が湧いたのかもしれない。
それとも、行先を思いあぐねすぎた結果だったのかもしれない。
どちらにせよ、私はクラスメイトが突然提示した第三の放課後案に思わず頷いてしまっていた。



「あれ?第二図書室じゃないの?」
「うん。別に、参考書借りたわけじゃないし。」
ユニフォーム姿のクラスメイトの左隣を歩きながら、今更ながら戸惑っている自分。
そんな気持ちを隠すように、思いついたままの言葉で会話を重ねる。
取り繕うための会話だったけれども、口からでた言葉はそのまま疑問として脳内に残った。
一応進学校の端くれを誇る当校には、図書館が二つある。
参考書と過去問が揃えられて、自習室としてそれなりに繁盛している第二図書室。
それから、利用者は少なく校舎の奥、ほとんどの生徒の間では場所さえ定かでない幻の第一図書室。
昔、文学青年なんかが流行していた時代にはそれなりに蔵書もあって重宝されていたみたいだけれど。
だから、このバスケ少年が向かっているのもてっきり実用性ある第二図書室だと思っていた。
けれども彼は、第一図書室に向かうという。
そんな私の疑問を感じ取ったのか、キサラギくんは小さく笑った。
「俺、こう見えても図書委員なんだよ。」
「え?あ、そういえばそうだったよね。意外。」
「意外ってなに、意外って。」
図書委員、も図書館の数と同じ、二つにタイプがわかれる。
ほぼ過半数をしめる、自習がしたいガリ勉タイプ。
それから、純粋に本が好きだという少数派タイプ。
そもそも委員会なんて立候補で成り立っているのだから、クラスのほとんどは無所属だ。
バスケにしか目がないという風の、丸きりスポーツ少年にみえる彼が立候補したとき、クラスにちょっとしたざわめきが起きたのを思い出した。
「俺も別に、そんな本が好きだったわけじゃないんだけど。」
「じゃあなんで。」
思い切り訝しげに首をかしげると、キサラギくんは少し照れたように微笑んだ。
「いやぁ、入学式のときに第一図書室に迷い込んでさぁ。」
「……もしかして、美人な先輩がいたとか?」
「……はは。」
そうか、図星か。これだから男子って。
少し呆れながら横目で表情を伺えば、そこには思っていた下世話な顔はなかった。
柔らかい、同年代の男子にしては少し大人びた微笑み。
まるで、本当に恋しているような。
隠れて伺っていただけのはずなのに、いつの間にかその表情に目を奪われていた。
だから、いきなり彼の双眸が私に向いたとき、心臓が飛び出るかと思った。
「?どうした?食べられる寸前のカエルみたいな顔してるけど…」
「カエルって…。」
「あ、悪い!……先輩の毒舌が移ったかなぁー。」
「先輩って…その、美人な?」
「いや、そっちじゃなくて。」
キサラギくんが言いかけた言葉に被せるように、背後からハスキーボイスが飛んできた。
甘い、ラブソングなんか歌ったら一発で女の子の心を奪えるような。
「この図書室に、美人な先輩がいるなんて初耳だけど。」
「げっ!ムツキ先輩?!」
その声に、キサラギくんが飛び上がる。
恐る恐る振り返ると、まず目に入ったのは、柔らかそうな黒髪、妬むほど白いきれいな肌。
そして、女子であれば、まず間違いなく二度見してしまいそうな端正なお顔、だった。
「どうも。新しい利用者さん?美人かは置いといて、委員長が喜ぶよ。」
「は、はあ。」
ところどころ毒を感じる物言いは、やはり柔らかい声が作り出す。
そして、思わず後ずさりしたくなる微笑みで手を前に差し出した。
「どうぞ、お先に。」
「……はあ。」
気が付けば、私は幻の第一図書室へとたどり着いていたらしい。
「入らないなら、どいてくれない?」
笑顔のまま続けるムツキ先輩に気圧されるように。
私はキサラギくんを追いかけて、初めて第一図書室に足を踏み入れるのだった。



最初に感じたのは、どこか懐かしいような匂い。
それが古い紙の匂いだと気づいたのは、数歩中へ進んでからだった。
目に入るのは、日に灼けた背表紙たち。
古典文学だけがあるのかと思っていたけれども、ところどころ新しい背表紙も交じっているから、最近の本も蔵書されているのかもしれない。
そのままキサラギくんについていくと、図書室の奥にカウンターがあった。
学校の図書室らしい木製のカウンター。
その中に、一人の女生徒の姿が見えた。
鼻の中ごろで眼鏡をかけて、手元の本に視線を滑らせている。
肩のあたりまで伸ばした黒髪は艶やかに陽を弾いている。
大人しそうだけれども、よく見ると整った顔をしていた。
少なくとも雰囲気は大人びていて、大和撫子な先輩然り。
なるほど、これならば年下男子が一目惚れというのも納得できる。
そんなことを思っていると、ふいに彼女が目線を上げた。
ずれた眼鏡の上、黒目がちの瞳がきょとんと私を見つめる。

「チトセ先輩、どうも。」
「ああ、キサラギくん、こんにちは。今日は当番じゃないよね。図書返却?」
「そうです、先輩のおススメ、面白かったです。」
「よかった。」

にっこりと微笑みは陽だまりのようだ。
大人びているという第一印象からは、彼女がかけている眼鏡と同じ程度、ずれている。

「ところで、彼女は?……キサラギくんの、コレ?」
「いやいやいや、違います!クラスメイトです!」
「キサラギくんのクラスメイトのハシモトです。」

小指を立ててにこにこ笑う先輩。
誤解されては可哀想だ、とクラスメイト、に力をいれて自己紹介をすると、少しだけ残念そうに先輩は首をかしげた。
キサラギくん、どうやらこれは脈がなさそうだ。
心中の小さな呟きには気付くはずもなく、先輩は私に満面の笑みを向ける。
「そうなの?私は、図書委員長のチトセです。」
「はじめまして。」
「キサラギくんのクラスメイト?」
人懐こさを感じる声音でカウンターから身をのりだすチトセ先輩。
だけど、返事をしたのは私ではなかった。
「どうでもいいけど、委員長、和やか歓談ムードになるんならカウンターどいてくれない?」
「げっ、ムツキ…。」
一気に身を引くチトセ先輩。
どうやら、憶測ではあるもののムツキ先輩に相当の苦手意識があるようだ。
そんなチトセ先輩に更なるトドメを刺しにいくムツキ先輩。
結構愉しんでいる、というのは憶測ではないだろう。
彼の綺麗なお顔は、全く愉快、という色に染まっている。
「大体、小指立てるとか古さがにじみ出てるからやめてよね。一年違うだけでオバサンになってるの、居たたまれないんだけど。」
「な!お、おば!!」
にこにこと微笑みながら、表情とは全くかけ離れた言葉を放りだすムツキ先輩。
そうとう衝撃を受けたのだろう。
チトセ先輩はまともに言い返すことすらできずに、固まっている。
「ほら、後輩のもてなししたいオバサンはさっさとどいて。」
「ム、ムツキのアホナス!」
「はいはい。」
気が付けば、ムツキ先輩をカウンターに残して、私はカウンター奥、司書室と書かれた小さな部屋に通されていた。
……心折れて真っ白になったように見えるチトセ先輩によって。



「で?キサラギくん、部活に戻る前に何か私に言いたいことがあるんじゃない?」
「お見通しっすか、先輩。」
小さな部屋の真ん中には簡単なソファーといくつかの椅子、そして一つだけ長机が設置されていた。
思っていたよりも設備は充実しているようで、壁際には簡単な食器棚と冷蔵庫が備え付けられている。
冷蔵庫から出てきた麦茶は、グラスに入れられて、汗をかきながら私の前に置かれている。
それを飲もうか、と手を伸ばした矢先のこと。
ようやく復活したチトセ先輩が、麦茶を辞退したキサラギくんに尋ねた。
麦茶が苦手という先輩は、ティーパックから作ったアイスティーを口元に当てて、にこにこと微笑んでいる。
「まぁ、ちょっと、お願いします。」
「そういうことか。」
「ドッポ、1箱で!」
両手を顔の前で合わせるキサラギくんを一瞬眺めてから、先輩は笑みを深めた。
どうやらそれが了承の印らしい。
キサラギくんは少し安心したように笑ってから、部屋を出ていった。
ムツキ先輩と二、三言交わしたようだから、きっと忘れずに返却処理もしていったのだろう。
ドッポ、女子生徒に人気な筒状のクッキーにドッポリとチョコレートという謳い文句のお菓子。
それを代価に頼まれたのは、おそらく自分のことだろうと何となく察しはついている。
何を聞かれるのか、諭されるのか、とやや身構えた私に、先輩はなんの気負いもなく微笑んだ。
「麦茶、お替わりは?」
「いえ、大丈夫です。」
「そ?じゃ、私はアイスティー作ろっと。」
立ち上がり、これまた備え付けの湯沸かし器から再びティーポットにお湯を入れる。
しばらくすると、果物のような甘みを含んだ紅茶の香りが司書室に散りばめられた。
心がくすぐられる。
さっきは麦茶でいいと言ったけれども、アイスティーでも良かったかもしれない。
「さて、ハシモトカナコさん。」
「え、」
いきなりフルネームで呼ばれて、思わず先輩の背中を見つめた。
フルネームで自己紹介した覚えはなかったから。
ふと、先輩の背中が笑ったような気がした。
「図書室にずっといるとね、いろんな生徒の名前が飛び込んでくるんだ。1年1組でハシモトっていう苗字、女の子ではカナコさんだけだね。」
「全員、覚えているんですか?」
「まぁね。……第一図書室は暇だから。一日に二回はカードの整理してるんだ。」
なるほど、カード整理を繰り返すうちに名前を覚えてしまったということか。
種を明かされてみて、少しほっとする。
きっと妙に胸が騒いでしまったのは、小さな罪悪感で悪名高くなったのかと錯覚していたからだろう。
ティーポットの中身を2杯分、グラスに入れると先輩は、再び私の隣に腰かけた。
「で、ここからは私の当てずっぽうなんだけど。」
グラスの一つを私の前において先輩は首をかしげる。
「軽音部は今日も、文化祭に向けて練習があると思うんだけど、お休み?」
「……。」
いきなり、罪悪感のもとを突き付けられて、思わず目を見開く。
けれども、先輩は全く責める様子はなくアイスティーを一口すする。
置かれたカップに目線を落とすと、明るい赤茶の液体が揺れていた。
つられてアイスティーを一口喉に流し込む。
乾いた構内に沁み渡る、マスカットによく似た豊満な香り。
ああ、これはアールグレイか。
少しだけ落ち着きを取り戻して、先輩に視線を戻す。
そんな私を穏やかに見つめ返して先輩は続ける。
「ハシモトカナコ、ギターボーカル担当。甘い歌声が売りの、軽音部の期待の星。ま、ミーハーなクラスメイトの受け売りなんだけど。」
「……私、全然そんなんじゃないです。」
先輩の口調が、ひどくさっぱりしていたからか、つい。
普段は曖昧な笑顔で流してしまう言葉の羅列を、本音が否定した。
「そうなの?」
「はい。……ギターだって、うまくないし。文化祭の練習だってたくさんしないと。」
「そうなんだ。」
「でも、」
冷たくはない、けれども妙に親身なわけでもない声のトーンにつられて。
つい、言葉を重ねてしまった。
ポケットの、存在を無視している二通のメール。
その重圧が弾けたみたいだった。
「親は、反対してて。進学校に行かせた意味がないって。……でも、私、今のバンド好きだから。先輩も、本気でデビューも目指そうって言ってくれてて。」
「うん。」
「だけど、私そんなに才能ないし…、だから練習しなきゃいけないのに。邪魔ばっかりされてる。それが悔しくて、でも…どうしても、親の言うこと全部反論する勇気なくて。」
「うん。」
「……最近、部活行っても行かなくても何にも集中できなくて、適当に誤魔化してばっかりいるんです。」
「そっか。」
一気に言い終わると、少しだけ心が軽くなった気がした。
先輩は、何のアドバイスを押し付けることもなく、私を輝いた目で見た。
「ね、歌って。」
「え!?」
「フォークソング、好きなんだっけ?」
「なんで知ってるんですか?!」
「私、あの歌が好き。昔やった映画の主題歌。あの、田中邦衛さんと橋本功さんが出てたやつ。」
鼻歌でメロディーをなぞる先輩に、思わず頷いた。
「ああ、若者たち、ですね。」
「ね、歌って。」
ずっと落ちたままだった眼鏡をずり上げて先輩は私に接近した。
至近距離に少しのけぞりながら、思わず慌てる。
両手、頭を思いきり振って、ついでに浮かせた足もばたつかせて。
「と、図書室で音出しちゃまずいんじゃ!」
「……どうせムツキしかいないし?」
「でも、」
「若者たち、嫌い?」
好きですけど、と心の中で呟く。
言い訳を探しても、言葉は頭の中で散って消える。
先輩のキラキラした瞳が眩しすぎるせいだ。
小さくため息をついてから、先輩の肩を押して元の位置に戻す。
「…歌詞、途中までしかわからないですよ。」
「それでいいよ、十分。」
「ギター、部室なので…アカペラですよ。」
「うん、うん。」
何を言っても、先輩の強引なリクエストからは逃れられないらしい。
一つ深呼吸、心を落ち着かせてから目をつぶった。
若者たち、そういえば父親が好きな歌だったっけ。よく歌ってた。
そんなことを思いながら、のどを震わせた。
ろくな発声練習もしていないのに、声はするすると伸びていく。
歌の最後、歌詞を声でなぞりながら、心臓の奥がきゅう、と締め付けられる気がした。

意外にも歌詞に迷うことなく最後まで歌いきると、先輩は拍手を送ってくれた。
それから私の手を優しく握り、タンポポのように微笑む。
「ありがとう。感動しちゃった。」
「そんな、」
「歌うの、好きなんだね。」
その言葉に、きゅう、と締め付けられていた胸が一気に解かれた気がした。
突然、目の前が霞んで慌ててうつむく。
私の制止を全く無視して、膝へ、そして先輩に握られた手に、熱い雫が何滴も落ちた。
先輩は何も気づかないふりをして、小さく鼻歌を歌いだす。
あまり上手いとは言えない調子の、若者たち。
黙って耳を傾けながら、胸の塊が溶け出るのに任せた。
いつの間にか日差しは西へ傾き、室内を赤く染めている。
まるで、奮い立った心を優しく包んでくれているようだった。



どのくらい時間がたっただろう。
顔をあげると、飽きもせず鼻歌を歌っていた先輩と目が合った。
きっと真っ赤に目をはらしているだろう私を意に介せず、先輩はにっこりと笑った。
「アイスティーのお替わり、飲む?」
「お茶もいいけど、そろそろ閉館時間だよ、委員長。」
私が声を出す前に、背後から静かなハスキーボイスが遮った。
全く気配がなかったせいで、私もチトセ先輩も思い切り肩を驚かす羽目になった。
チトセ先輩は驚いた様子を必死に押し隠しながら、ムツキ先輩を睨む。
「部屋に入るときはノック!」
「はいはい。じゃ、俺は先に帰り支度するから。」
ムツキ先輩はひらひらと手を振って部屋をでる。
その寸前、私をみて一瞬立ち止まった。
「壁ってさー。」
「はい?」
「ぶち壊すためにあると思うんだよね。……ま、ぶち壊す向こう側に労力に見合う価値があるなら、だけど。」
「…はい。」
「じゃ。…本借りたかったら明日以降ね。」
それだけ言い残して、ムツキ先輩は今度こそ扉の向こうに消えた。
心の中で小さくお礼を言って、チトセ先輩に向き直る。
「先輩。」
「ん?」
「今度、本、借りに来ますね。ドッポ持って。」
少し身構えた表情だったチトセ先輩は、私の言葉を聞いてから小さく吹き出した。
「待ってる。ついでにギター持ってきてくれると嬉しいなぁ。」
「さ、さすがにそれは…。」
呟いてから、二人顔を見合わせて笑った。


今日は帰りに部室へ寄ろう。
無断欠席を謝らなくちゃ。
それで、ギターを持って帰ろう。
お父さんが好きだった歌を、一緒に歌ってみよう。
考えてみれば私、誰に対しても意志を伝えられていなかった。

ちゃんと、自分の気持ちを伝えよう。
居残り練習がだめなら、朝練をしよう。
苦しければ、苦しいだけ、きっと未来へ向かって力強く進める。


幻の図書室が、私に小さな勇気をくれたから。


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このストーリーに関するコメント

13/09/21 クナリ

独特の空気感のある群像劇、何かを変えるきっかけになった物語、とてもよかったです。
「…歌詞、途中までしかわからないですよ。」
「ギター、部室なので…アカペラですよ。」
と前置きするところでは、「そう、いけいけー」という気持ちになりました。




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