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tennさん

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思い出の足跡

13/09/02 コンテスト(テーマ):第三十八回 時空モノガタリ文学賞【 ライバル 】 コメント:1件 tenn 閲覧数:1181

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気が付いた時には君は傍にいたね。
初めて歩けるようになったときも、外で走り回るようになった時も。

桜の花びら舞う中の入学式。君が緊張のあまり震えていたのを僕は知っているよ。
同じように僕が震えていたことを君は知っていただろうか。

夏の海では砂浜を裸足で走り、あまりの暑さに踊るように飛び跳ねあったね。そして同じように黒く焼けていった。

秋には落ち葉を踏みしめ、舞い上がらせた。冬は滅多に降らない雪に興奮し、遊びすぎて霜焼けになってしまったね。

繰り返す季節の中で僕たちは大きくなった。

君は知っているだろうか。
あの頃、僕はいつも君よりも先に行こうと頑張っていたんだよ。

だけど僕の願いは叶わず、追い抜いたと思ってもすぐに君に抜かれる日々が続いた。
最終的に君が勝つことの方が多かってね。
運動会で最初にゴールラインを割るのもいつも君だった。

中学生になり、陸上部に入った僕たちは、ともに切磋琢磨する日々が続いた。
それでも僕は君を引き離すことはできず、初めに抜き出るのも最後にゴールするのも君だった。

僕が嫉妬で荒れていた時に君が怪我をした。
あれは僕のせいだ。
ちゃんとわかっていた。
本当にすまない。

何も言えなくなっている僕に君はごめんといったね。
悪いのは僕なのに、
痛く、つらいのは君なのに。

反省した僕は君を支えようとした。
寄り添い、ともに静かに暮らそうとした。

だが、僕がいくら傍にいても君は元気をなくしていったね。
励ましの言葉は空回りをし、
君の謝罪の言葉ばかりが増えていった。


僕らの関係はなんだろう。
ライバルだと思っていた僕のせいで君は怪我をしてしまった。
パートナーという君の言葉に従って傍にいても互いに苦しくなるだけだ。


傍にいることに耐えられなくなった僕は、君から逃げようと一歩踏み出した。
すると君は追いかけてきてくれた。

その時にわかったんだ。
僕たちは、両方正しかったのだ。
パートナーとしてお互いを気遣い合い、ライバルとして競い合いながら前へ進む。
それがあるべき姿なのだ。

それがわかってからの君と歩む人生は幸せだった。
どんな困難にあっても君の進む姿が僕を勇気づけ、僕も前に進むことができた。
僕が歩む姿が君の踏み出す力になることもわかっていた。

僕たちは互いに信頼できるパートナーであり、ライバルであり続けることができた。


今はその歩みを辞め、静かに横たわっている。
君には感謝の思いでいっぱいだ。

共に歩んでくれて、ありがとう。
支えてくれて、ありがとう
来世というものがあるのならまた君と歩みたいと思っているよ。

あぁ、でも今度は僕が右足になりたいな。
利き足というものになってみたいからね。


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このストーリーに関するコメント

13/09/10 tenn

コメントありがとうございます。

描写が美しいなどともったいないお言葉です。

情景が書けなくていつも困っています…。

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