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yoshikiさん

面白い作品を知り、自分でも書いて見たくなって何年も経ちました。よろしくお願いします。 2010年 小説現代S&Sコーナーに初めて送った作品が掲載されました。作品名『幽霊の見える眼鏡』 とにかく面白いものが書いていけるといいなと思っています。 イラストはエアブラシと面相筆で昔描いたものです。

性別 男性
将来の夢 楽隠居
座右の銘 不可思議はつねに美しい、どのような不可思議も美しい、それどころか不可思議のほかに美しいものはない。アンドレブルトン

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不思議な鍵

13/08/26 コンテスト(テーマ):第三十九回 時空モノガタリ文学賞【 待つ人 】 コメント:9件 yoshiki 閲覧数:2004

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 ある日、私は部屋の片隅で鍵を見つけた。まだ小学生の時だ。とても小さな、とても精巧な花の模様のある美しい鍵であった。

 いったい何の鍵だろうか? 両親に訊いても、祖父に訊いても知らないと言うし、心当たりも無論なかった。家中を探しても、学校を探してもその鍵はどこにも合わなかった。
 仕方がないのでキイホルダーにつけて遊んだりしていたが、ある時きれいだから欲しいと言うクラスの女の子にあげてしまった。やがて月日が流れ、その事はいつしか忘却のかなたに消え去ってしまった。

 成人した私はあるとき重い病に犯された。四肢は萎え、五体は重く、凄まじい頭痛に襲われた。私はたまらず医者に行った。都会の片隅にある開業医だ。

 年配の医者は丁寧に私を診察して、実に不思議そうな顔をした。

 数週間後には精密検査をしたが原因がよくわからないというのだ。

 私はとても不安になった。
 ――未知のウイルスにでも犯されてしまったのだろうか。医者はとても怪訝な顔をして検査の結果をこう付け加えた。

「実は、あなたの後頭部に小さな穴が見つかったんですよ」

「あな? ですか」

 私は嘘のような医師の言葉を無意識に繰り返していた。

「ええ、その穴はまるで鍵穴のようなのですよ。いったい何なのでしょうね」

 その声は密やかで、不思議なトーンをふくんでいた。

「もしかしたらあなた鍵をお持ちじゃありませんか?」

「……」

 唐突な質問であった。だが、その質問に遠い記憶が鮮明に蘇えるようであった。

 鍵……。もしかしたら、まさかあの時のあの鍵。
 
 
 私が絶句していると医者は胸のポケットから小さな鍵を取り出して見せた。そしてニヤリと笑うとそのカギを自分の後頭部に持っていき、カチャリと音をさせた。

 するとどうだろう。医者の頭が割れて中から白いハトが飛び出してきた。驚きを通り過ぎた私。それでも笑っている奇妙な医師。

 私は腰を抜かしそうになった。
 気を失いそうな私に医者は尚も驚くべき言葉を続けた。
「実は、あなたを待っていました。しかもかなり長い間です。私の娘が子供の時、ある人からきれいな鍵をもらった。わかりますよねえ」

 返す言葉もない私。

「あなたもわたしもある種の人間なのですよ。私はその為に医者になった」
 
 柔和は医師の微笑みが今も脳裏に焼き付いている。

 今の私は重い病から解放されて、とても幸福である。なぜなら私はその鍵で頭をカチャリとやったのだから。

 私はもう中年になったが若い時のまま長髪である。そして床屋は行きつけを決めている。
 理由はその床屋は寡黙で、決して後頭部の鍵穴の詮索をしないからに他ならない。


 私の頭からいったい何が飛び出したのか。申し訳ありませんが、それには触れずにおきます。


                        了




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このストーリーに関するコメント

13/08/26 クナリ

何かの暗喩なのだろうかと一通り考えましたが、もちろん自分ごときの頭では皆目わからず、開き直って単純にこの謎めいた物語を楽しむことにしました。
鍵と鍵穴の発想、すばらしいですね。
面白かったです。

13/08/26 草愛やし美

yoshikiさん、拝読しました。

頭の後ろに鍵穴ですか。この方、その鍵がなければ病気で死んでしまったのでしょうね。待っていてくださってよかったですが、何が飛び出たのか、気になって今夜、眠れなくなりそうです。どうしましょう? 私も鍵穴あるのか、誰かに見て貰わなくては……。

何が飛んだのかなあ、色々考えていてにやついてしまいました。やっぱ、あれがいいな〜〜〜。(* ̄ー ̄*)ニヤリッ 

13/08/27 yoshiki

凪沙薫さん。コメントありがとうございました。

なんじゃこりゃあ… は期待していた読者様の反応です。

奇抜なものが好きなもので、意味などほとんどありません。

シュールレアリズムの愛好者でありますが、アンドレブルトンのシュールレアリズム宣言は難しすぎて投げ出しました。ありがとうございました。

13/08/27 yoshiki

クナリさん。コメントありがとうございました。

これ、暗喩でも隠喩でもなくただの思い付きです。すいません。

もう少し詳細な表現とも思いましたがなかなかうまく書けませんでした。

発想をおほめいただけて、よかったです。安心しました(*^_^*)

13/08/27 yoshiki

草藍さん。コメントありがとうございました。

この世の中、我々と別の種がひそかに存在しているかもしれず…。

そんな発想です。私の頭から何が出たか、なんだわかってらっしゃるじゃありませんか。そう、あれです。あれ(*^_^*)ニヤリ

13/08/27 yoshiki

リョータさん。初めまして。コメントもらえて嬉しいです。

笑っていただいたみたいで、それもおおいに結構(*^_^*)

シュールな話に目がないもので。ありがとうございました!

13/09/02 泡沫恋歌

yoshikiさん、拝読しました。

頭の鍵ですか?

わたしの場合は、ネジが足りないと常々言われ続けて・・・6( ̄▽ ̄;)

13/09/02 yoshiki

泡沫恋歌さん。コメントありがとうございました。

心のぜんまいを巻ける鍵があったらいいでしょうね。

シャキッとできそうですし、創作バンバンできたりして(*^_^*)

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