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根岸 迷さん

二次元とニコニコ動画とアイドルと声優とロックが好きです。 書くのが遅いので嫌になりそうですが、頑張ります。

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あの傘この傘

12/05/06 コンテスト(テーマ):第四回 時空モノガタリ文学賞【 傘 】 コメント:0件 根岸 迷 閲覧数:2432

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「あれ?ない」
容疑者一人目、岸井律子。
「宮ちゃん、朝、私ここに傘かけたよね?」
「透明傘なんだし、取られて当たり前」
「えーっ。じゃあじゃあ、宮ちゃん、傘いれて」
「やだ」
律子は濡れちゃうだの、風邪ひいちゃうだのなんのうるさくて宮河千寿は彼女を怒鳴った。
すると、律子はいきなりこんな提案をした。
「じゃあじゃあ、宮ちゃん、犯人見つけてよ。それで傘取り戻して」
「は?無理。意味分かんない」
「あー!そうやって逃げるの?」
千寿は正義感が強く、逃げるなんて言葉が一番嫌いだ。律子に説得されたのがイライラするが、仕方なく傘泥棒の犯人を捜すことになった。帰って再放送のドラマでも観たいところだが、律子と相合い傘をするのを考えたらゾワッとしたので傘を捜すしかないのだ。
一方、ここ、三年四組の下の二年四組でも同じようなことが起こっていた。
「ない!ないよ、ない!傘ないよー!大雨だよー」
容疑者二人目、市井孝。
「坪内たちに取られたんじゃないの?アイツらならやりかねないじゃん?」
「キヨは黙ってて」
「は?彼女がせっかく良い助言を与えてやってんのに、その言いぐさはないよね。相合い傘して帰ろうか?とか言えないの?可愛くないやつ」
水瀬清香はふてくされた。孝はあまりイチャイチャするのが好きじゃなくて、清香に我慢ばかりさせているらしいが、今回ばかりは清香はイライラが押さえられなかった。
「いつもいつも、そうやって私を拒絶するのもいい加減にしてよね?」
「そんなことないよ。待ってて、傘見つかったら一緒に帰ろう?」
「私はそういう態度が嫌なの」
清香は強く言って教室を出て図書室に向かった。彼女は文学部だった。そして、その文学部でも傘が無くなるという事件が起こっていた。
「大変です、先輩!傘がないです!」
容疑者三人目、高井詩子。
「教室に忘れてきたんじゃないかい?まったく文学部の女子は騒がしいな…」
「はい?何ブツブツ言ってるんですか?私(わたくし)、高井詩子の傘は朝来て、図書室の廊下の引っ掛け棒にかけておいたんです。人通りの少ないこの辺で盗難なんてあり得ないです。これは事件です。ミステリアスデンジャラスクオリティーな事件ですってば、先輩!」
「はいはい、事件ね。水瀬、市井も盗まれたんだろ?じゃあ、市井が取って帰ったんじやないか?水瀬が来て大分たってから高井が来たってことだし」
「そうか!じゃあ、今日傘を盗まれた人は皆容疑者ってことですね?」
山那冬也は詩子の謎な推理に頭を抱えた。後に文学部全員が集まって、三年の岸井、二年の市井、一年の高井が傘を盗まれたことが分かった。
「容疑者三人が勢揃いって訳ですね、先輩!ってことは私も容疑者ですね」
何故か喜んでいる詩子をよそに傘の行方について話し合った。すると、盗まれた全員に共通点があることが分かった。それは名字にみんな「井」がついていることとみんな四組だということ、それから文学部であること。そして一番重要なことはみんな廊下に傘を置いていたということ。
千寿はだんだん謎が深まっていくことに対してイラついてしまって、ついに帰ろうと扉を開けた。
すると、廊下に傘を何本か持った浜井先生が歩いていた。皆は声を揃えて叫んだ。
『あ!』
先生は声に驚いてこちらを見た。どうしたのだとのんびりした声で聞かれたのでみんながキョトンとした。
「先生、その傘は?」
「あぁ、これは放課後まで残ってる傘を預かって忘れ物として事務室に預けるんだ。今週は我が校にいろんな学校の先生がくるから綺麗にしないとで、傘が残ってたらダメだって校長が」
「なんだ、そういうことか」
その後みんなは先生から傘を受け取り、無事に濡れることなく帰れた。
三年女子組は仲良く並んで帰り、二年カップルは清香の大きな傘で相合い傘をして帰った。
「傘って並んで歩くのも良いですけど、二人一緒の傘ってのも良いですね」
「は?なんだいきなり」
「先輩、今日傘ないでしょ?方向一緒だし、いれてあげますよ」
「生憎さま、俺は車なので結構」
「はぁ?乗っけててくださいよー。女の子を暗くて冷たい雨の中、一人で帰らせるつもりですか?」
「ふざけるな、嫌だ」
「事件も解決したんですから、お祝いに先輩の家でパーティーしましょうよ」
「二人じゃつまんないだろ?嫌だ」
「ケチ。あ、先輩!晴れてきましたよ。並んで歩いて帰りましょう!」
「仕方ないな」
ため息をつきながらも冬也は詩子と帰ることにした。
雨上がりの中、二人は虹を探しながら笑いあって帰宅したとさ、おしまい。


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