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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

性別 男性
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愛妻は…自己中の女神さま?

13/08/10 コンテスト(テーマ):第三十七回 時空モノガタリ文学賞【 神 】  コメント:4件 鮎風 遊 閲覧数:2740

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「あと一時間くれない?」
 大輝の愛妻、美月がねだってきた。
 たまの休日、二人でゆっくりと美術館巡りをするつもりだった。それが朝起きてみると、美月が急にデパートに行きたいと言う。
 こんな予定変更はいつものこと、大輝は慣れている。それにしても、デパート滞在一時間のつもりがさらに一時間追加、そしてプラス一時間、なんと三時間目に突入しつつある。
 最初美月のショッピングに付き合っていたが、途中「邪魔よ」と冷たく宣告され、そこから待ち合わせ時間だけを決め、別々の行動を取っている。
 大輝はデパートなんぞに興味はない。それに比べ美月は、デパートは魔法の館か、軍資金もないのに目を輝かせ、一人そそくさと。一体どうなってんだ、と家では決して見られないすばしっこさが理解できない。

 こんな自由奔放な美月と暮らし、早十年。振り返れば、奇妙な縁だった。
 そう、あれは同僚の送別会の帰りのこと。酔いもまわりフラフラしながらいつもの通勤バスに乗った。いや、そのつもりだった。
 その内バスの揺れで心地よくなり、ぐっすりと寝込んでしまった。気が付けば、終点。
 降車すると、そこは奥深い山の中。木々の合間から町の灯が遠くに見え、ホーホーとフクロウの鳴き声が聞こえてくる。
「ここは、一体どこですか?」と運転手に訊くと、「あんた、ここ初めてか? ということは……、人間?」、こんなちんぷんかんぷんな返事に、大輝はポカーン。
 さらに、運転手は「ここは八百万の神々が住む村だよ。今夜はもう帰れないから、ついてきな」と話し、さっさと歩き出した。
 ここで一人にされれば狼の餌食になりそう。大輝は無我夢中で後を追った。
 しばらく進むと、水面に蒼い月が映る泉が現れ、そのほとりに大きな屋敷があった。
「この男が、恐れ多くも、神の村に紛れ込んできました」
 運転手がほっぺの膨らんだ村長さんに紹介してくれた。
「お兄さん、わしぁ福の神じゃ。まあ、あがりんしゃい」と、ニコッと笑ってくれた。これこそ地獄に仏、いや地獄に神だけど、やっと生きた心地がした。
 それからのことだった、意外な展開になったのは。
 迷い込んできた人間が珍しかったのだろう、福の神からじきじきの飲めや歌えのお持てなし、大輝にとっては二次会となった。そんな宴もたけなわどき、一人のお嬢さんが現れた。だが大輝は彼女と目を合わせ、思わず盃をポトリと落としてしまった。
「なんで、こんな山奥に……美月が?」
 目を白黒させる大輝に、レディーは澄まして言う。「ここが私の故郷よ。週末には戻ってくるの」と。

 美月はバリバリの営業スタッフ。その垢抜けした振る舞いは都会の風景に似合っている。だが今、この山奥にいる。この落差に、大輝は再びポカーン。
 その代わりに村長が「この子はね、自己中の神の娘だよ」と口を挟んだ。
 何にせよ、大輝はトイレの神さまを知っていた。けれども自己中の神さまとは?
「どういう神さまですか?」と恐る恐る村長に尋ねてみた。すると横から美月が自信たっぷりに、「周りを幸せにする女神よ」と。
 大輝はここで、なぜかメッチャ自己中の上司を思い出し、「周りが幸せになるわけないだろ」と美月に突っ掛かってしまった。
「まあまあまあ、若いの。この娘が言う通りじゃ……と思うが、村長としては、美月の神力が本物かどうか確かめねばならぬ。そこで相談じゃが、美月を嫁にして確認してもらえぬか?」
「えっ、美月を──、ヨメに? それって、早い話が、自己中女の実験台になれってこと?」
 大輝は面食らってしまった。だが、それだけで終わらず、「従わなきゃ、一生貧乏神が張り付くかも」と脅しが入った。そのあと福の神からの口上が一つ。
「美月ヒメノミコトは自己中、じゃがアゲマンで、出世デキ──カシコミカシコミ、モヲース」
 えっ、アゲマンに出世、若い大輝にとって、なんちゃってもキラキラワード。あとは見事に舞い上がり、大声で念じてしまう。
「ミョウトになりた〜い!」

「あなた、お待たせ」
 デパート内で三時間も行方不明になっていた妻が現れた。だが手には大きな紙袋が。どこにそんな買い物をする金があったのか?
 大輝が首を傾げると、「これ、あなたのへそくりカードで買っちゃった」とあっさりしたもの。これにはちょっと大輝もムカッときた。そんな微妙な空気を読んだのだろう、美月は言い放つ。
「私は気ままな女神よ。そんな私を優しく見守る。それが男冥利に尽き、幸せ気分でしょ。これこそが自己中の神のご利益なの。おわかり?」
 こんな美月の言い分に、大輝はつくづく思うのだった。
「福の神に中間報告したいよ。美月は自己中の女神じゃなくって、こわ〜い女房、山の神になってしまいました」と。


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このストーリーに関するコメント

13/08/12 泡沫恋歌

鮎風さん、拝読しました。

自己中の女神はちょっと困り者のように思いますが、どんな御利益があったのでしょうか?

まあ、買い物が長いくらいは普通の自己中ですし、男は耐えるべし(笑)

きっと、大出世して運が開けるかも知れませんね。

13/08/14 そらの珊瑚

鮎風さん、拝読しました。

自己中の女神さまの振舞いを優しく見守ることができることこそ
男としての器も大きくなるというもの♪ですね!

13/08/21 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

男は耐えるべし、ヘッヘー、そうですね。
とにかく自己中の女神、恐ろしい神さんですわ。

13/08/21 鮎風 遊

そらの珊瑚さん

コメント、ありがとうございます。

器も大きくしたいですが、
見守るって難しい、いや見守りましょう。

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