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といさん

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とつとつ そのあいま

13/08/06 コンテスト(テーマ):第三十六回 時空モノガタリ文学賞【 無口な人 】 コメント:1件 とい 閲覧数:1315

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およそ2年の付き合いになるけど、喧嘩はない。
仲いいなあ、と羨ましがられると、ちょっと複雑だ。
道行くカップルが和気あいあいと話しているのを見ると、最近羨ましくなる。
手を繋いで遊園地の方へ向かうカップルの背中をこれ見よがしに見せつけられて、俺の心情はやや、やさぐれていた。
そのせいで、アプリゲームを開いていた携帯画面に彼女からのLINEが乱入していたことに気が付かないで、何の心の準備の無いまま、肩を叩かれるはめになる。


彼女は無表情に一礼をして、俺の様子を伺う。
「おう。じゃ、行くか」
言うが早いか歩き出す。やや後ろを彼女がついてくる。そのまましばらく歩いても彼女が隣に歩み寄ってきそうになく、遊園地に入ってから歩幅を緩めて彼女の隣に身を納めた。
本当に細かいところなんだけど、こいつ、俺のこと好きなのかなと、こういうところで自信がなくなる。


とりあえず飯を食べようと俺が言って、「何が食べたい?」と彼女に訊く。
予想通り、「特に、なんでも」とのお答えを頂く。俺も何でもいい。
とりあえず食べ物屋を回ってみる。らちがあかない。
「腹減ってる?ていうか」
と訊くと、彼女は透視でもするかのようにじっと俺のことを見つめてくる。お前の腹の調子は俺の顔にでも書いてあるのか。
「……うん」
「じゃ、何が食べたい? ……いや、だから俺の顔に書いてあんの?」
「………………さっきのハンバーガー」
「だいぶ前の店じゃねえか。その時に言えよ」
「…………うん、そうだね」
戻って、ハンバーガーを二人で食べる。だけど彼女は自分で食べたいと言った癖に半分も残した。だったらチュロスでもよかったんじゃないかと突っ込んでから、それだと俺の腹が満たされないことに気づいて一人ジレンマに陥る。
「……でも、アボカドバーガー。美味しかったよ」
「だったら全部食えよ」
「…………量がちょっと、多かったかな………」
彼女の残した半分を俺が処分する。


アトラクションを回る。
ジェットコースター待ちは、小さな遊園地だったお陰で夏休みのお盆時期にも関わらずそんなに苦にならなかった。
俺はアプリゲームを起動させて時間を潰す。傍ら、彼女はぼーっとして過ごしている。
「なんかしないの?」
「……………まあ、することないし」
「携帯にゲーム入れてないの?」
「………………まぁ、…………うん」
「ああ、今するなってこと?」
「……いや、したかったらしてもいいんじゃないかな」
携帯を一度ポケットにしまうものの、会話という会話は起こらず、結局アプリゲームを起動する。
彼女は何も言わず、ただぼーっと明後日の方向を向いていた。


午後3時半になって、乗れそうなものは全て周り終えてしまった。
「そろそろ帰るか」
遊園地を出て、駅の改札口で解散する。
「じゃ、また」
「……今日はありがとうございました。お疲れ様です」
彼女は一礼する。それからお互いに手を振ってから各々の方面のホームへと向かう。
駅のホームで、これから園内のビアガーデンに向かうカップルとすれ違った。
真夏で暑いのにも関わらず、体を密着させるように歩いているカップルに、嫉妬のようなものが湧かないでもない。
反対のホームでは、彼女が椅子に座って電車を待っていた。携帯を取り出して、画面を注視している。
瞬きもそう多くなく、動きも少ない。必要最小限と自分が思っている範疇でしか口を開かない。置物みたいな彼女だ。
そんな彼女と、さっきのカップルみたいになれるようには思えない。ちょっと泣きたくなってくる。
喋らない。甘えてこない。何を考えているのかさっぱり分からない。だから俺も甘えることができない。
今日だって何を話したよ? 思い返してみても、これといって思いつかない。一緒にいて自分が楽しめているのか、最近自信がない。
それよりも、彼女が俺と一緒にいて楽しいのかが分からない。それが怖い。辛い。
あれこれ考えながら彼女を眺めていたら、ふいに彼女が顔を上げて目が合った。
彼女は少し目が悪い。だから最初は俺が俺なのか、疑るように目を細めて見つめていた。やがて自分の彼氏だと確信が持てると、ふわりとはにかんだ。そして、小さく手を振る。


色々自信はないし、ベタベタくっつけるような種類の彼女じゃないけれど、回り回ってやっぱり彼女といたいと思ってしまう。
何を不安に思っていたのかが段々と曖昧になっていくのを感じつつ、彼女に手を振り返した。


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このストーリーに関するコメント

13/08/09 とい

凪沙薫さま

お読みくださりありがとうございます。
共感を頂くことができ、とても嬉しく思います。

米米CLUBのその曲のフレーズのように願ってしまいますね。

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