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染井 ヨシノさん

高校では美術部に所属しています。よく短文のポエムなどを考えて、自分で挿し絵を描いて楽しんでます♪短文では恋愛小説を書くのが一番書きやすいので、なかなか長文を書いたことがないし、続きません。私の通う高校が水産関係なので、学んだことを取り入れた小説が書けたらなぁ…って考えてます。最近は、猫にはまって写真をとっているので、動物視点の作品もおもしろいかも…と奮闘中です!初心者ですが、感想など頂けるとありがたいです!!暖かい心でよろしくお願いします!

性別 女性
将来の夢 まだ未定?
座右の銘 明日に期待するなら 今日を必死に生きなさい

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猫の物語

13/07/31 コンテスト(テーマ): 第十二回 【 自由投稿スペース 】  コメント:0件 染井 ヨシノ 閲覧数:1173

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誰も通らない狭い通路。

その場所で、白い猫はいつも鳴いていた。

黒猫は、そのことを不思議に思って聞いてみた。

「なんで、ずっと鳴いてるの?」

「まってるの。」

「誰を?」

「大切な…」

白い猫はそこまで話して、どこかへ行ってしまった。

黒猫は、白い猫が何をまってるのか気になった。


次の日、白い猫はまた鳴いていた。

黒猫は隣に座って、また聞いてみた。

「何をまってるの?」

「…大切な…」

「大切な…?」

「…」

白い猫は鳴くのを止めた。
うつむいて、何かを思い出しているようだ。
黒猫の方をじっと見つめる。

「…大切なひとをまってるの。」

微笑んでいるが、黒猫はにはなんだか悲しんでいるように見えた。
白い猫が鳴いているのは、声に気づいてほしいからだとわかった。

「…僕も一緒にまつよ。」

自然に、その言葉がでていた。

白い猫は驚いたみたいだけど、優しく微笑んで嬉しそうだった。

それから、黒猫も一緒に鳴くようになった。

毎日毎日、鳴き続けた。




ある雨の日、黒猫は白い猫をまっていた。

いつも白い猫がいるのに、なぜか今日はいない。

一時間まっても、白い猫は来ない。

二時間まっても、来ない。

三時間、四時間…

どれくらいたったか分からなくなった頃、遠くに白い猫の姿が見えた。

ヨロヨロと、こっちに歩いてくる。

黒猫はすぐに白い猫にかけよった。

綺麗な白い毛は、泥で汚れている。


「どうしたの?」

白い猫は、うつむいたまま黙っている。

ポツリと、何かを呟いた。

だけど、雨の音にかきけされて聞こえない。

もう一度聞こうとしたとき、黒猫は気づいた。

白い猫が、泣いていることに。


白い猫は、泣いていた。

雨ではなく、白い猫の瞳から涙の粒が落ちている。

「…どうして、泣いているの?」

そう、聞かずにはいられなかった。

ザアザアと雨音が響く中、白い猫は泣きながら言った。

「病院へ行って…大切な人が…」

それだけ言って、大声で泣き続けた。

こたえるように、雨もひどくなる。

なぜ病院へ行ったのか。

…それ以上、聞けなかった…。

ただ、泣き続ける白い猫の側に寄り添うことしか…


次の日、白い猫は来なかった。

その次の日も。

黒猫は、近くの病院へ行ってみることにした。

窓から、何度も部屋の中を覗いてみた。

何回か覗いた時、病室に飾られた写真が目にはいって、足を止める。

優しい笑顔をした女の子と…


女の子に抱き抱えられた、白い猫。

その女の子は細い管に繋がれて、ベッドに寝ている。

写真よりずいぶんやつれている女の子は、なんだか死んでいるように見えた。

黒猫は、少し開いていた窓から中に入った。

女の子の手に触れて、温かいことに安心した。


その時ー

「ねこちゃん…?」

女の子が、うっすらと目を開けて黒猫を見つめる。

声は細々として、消えそうなくらい小さい。

黒猫はあわてて逃げようとしたが、女の子は落ちついた様子で話しかけてくる。


「ねこちゃん…ごめんね…」


女の子の言葉に黒猫は反応して、逃げるのをやめた。


「元気になったら…またねこちゃんの所に行くって言ったのに…」


女の子は、白い猫と勘違いしているようだ。


「この前も来てくれたのに…ごめんね…」


女の子は、涙を流している。

何度も何度も、黒猫を優しくなでる。



「…私もう、死んじゃうんだって…」


「ごめんね…ごめんね……」


何度も謝って、何度も黒猫をなでてくれた。

女の子が眠ってから、病室から抜け出した。





「大切な人をまってるの」

「大切な人が…」


黒猫はやっと、白い猫の言ってたことを理解した。

そして、白い猫が泣いていた理由も。


気づけば、黒猫は泣いていた。

急いで、白い猫がまっていた場所へむかう。

泣きながら、鳴きながら白い猫を探す。

だけど、白い猫は見つからなかった。

次の日も。また次の日も…





黒猫は、いつも鳴いていた。




大切な誰かを、まち続けて…


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