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masahiroさん

★素人ですが、気が赴くままに作品を書いてみ ようと思います。 ★詩が好きです。特に歌詞です。文学的な歌詞 を書くアーティストは本当に凄いと思います。

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神の声

13/07/30 コンテスト(テーマ):第三十七回 時空モノガタリ文学賞【 神 】  コメント:0件 masahiro 閲覧数:1439

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 思い切って、飛び降りた。


 遥か下は駐車場だった。見事なネズミ色をしたコンクリの地面だ。なんの感情もない、
 いかにも固くて冷たそう。
 直前に自分自身に言い聞かせた。
 「結局、誰も止めに来たわけでもないのだから、これが正しい選択なのだ。すべてを終
 わらせるのが償いなのだ。」


 どんどんコンクリの地面に向かっていくのが分かった。ん?なんか遠くから聞こえる。

 「死にたくて飛び降りたんだよね?顔が笑ってないよね。これからやっと死ねるんだ
よ?嬉しくないの?」突然、声が聞こえた。

 「後悔してるの?もう遅い遅い。」これは神の声に違いない。でも、イメージと違った
のがちょっとショックだ。

 私 :「神様、お助け下さい!」
 神 :「その前にこっちの質問に答えてよ。なんで、笑顔じゃないの?笑いなよ。つー
    かっ、笑顔の奴みたことないんだよね。みんな、チョー悲壮な顔してんの。って
    いうか、神じゃねーし。」
 私 :「じゃあ、誰なの!」
謎の声:「だから、なんで笑顔じゃないのって。答えてよ。」

 はっきり言って、そんなこと言われても・・・である。答えようがない。声は段々、大
きくなってくる。

謎の声:「別に理由はどうでもいんだけどさー、あの顔、夢にでてくんの。トラウマなん
     だよね。今度はせめて笑顔でね。あ、今度はないのか。」
 私 :「お願いです!とにかく助けて!何でもします!」
謎の声:「つーかっ、こっちの気持ち、ちょっとは考えてよ。たまったもんじゃないんだ
     よね。35階建ての屋上だよ?何メートルあると思ってんの?落ちた後のこと考
     えればわかるっしょ?今年で4人目、ほんと勘弁してよ!飛び降りんのマジや
     めてくれ!」

 やっとわかった。声の主はコンクリの地面だったのだ。そして、終わった。

 今はコンクリの地面に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
 「飛び降りんのマジやめてくれ!」その声に最後の最後で救われた。世の中捨てたもの
ではなかったのだ。飛び降りたことをマジで後悔している。

 「捨てる神あれば拾う神あり」― 昔の人はうまいことを言うものだ。


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