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平塚ライジングバードさん

今生の私の実力では無理ですが、 来世かその次の来世においては、 物語で世界を変えたいと強く思っています! 制作者の皆さんが「こんな発想もあるのか…」と 目から鱗が落ちるような作品作りに努めます!!

性別 男性
将来の夢 将来の夢を堂々と語れるようになること
座右の銘 圧倒的物量は質を遥かに凌駕する

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君の知らない黒歴史

13/07/29 コンテスト(テーマ):第三十五回 時空モノガタリ文学賞【 無慈悲な人 】 コメント:10件 平塚ライジングバード 閲覧数:2835

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ああ、もう何でだろう。自分のことが嫌になる。軽蔑する。
僕の大大大好きな人が隣にいる。それなのに。それなのに。
「体調でも悪いの?」
心配してくれてる。
一言も喋れない僕に、彼女は優しい言葉を投げかけてくれてる。
でも、言えない。
「大腸が悪いんです。」なんて言えない。
「漏れそうなんです。」なんて絶対に言えない。
もう嫌だ。本当に嫌だ。帰る方向が真逆で、 しかも部活で忙しい彼女と一緒に帰れる機会なんて、卒業までにほとんどないのに。
あと5分がタイムリミットだ。
5分後に僕の体内で自爆テロが起こる。
主義も主張も無い衝動だけのテロリズムが、僕の下腹部で今か今かとその時を待っている。
駅まで最低10分はかかるだろう。走れば5分以内で着くかもしれないが、世界終焉はおそらく2分後に訪れる。
万事休すか。
「…ごめん。」
消え入りそうな声で謝ってみた。先立つ不幸をお許しくださいと心の中で呟く。
「全然大丈夫だよ。あんまり心配させないでね。」
そう言って彼女は顔を赤くした。
え?意識してるんじゃない。僕のこと意識してるんじゃない。
いけるよ。ピンチをチャンスに変えるんだ。閃け自分。
しかし、頭をフル回転させ始めた直後、圧倒的なインスピレーションが腹痛という形で訪れた。思わず顔をしかめる。そっちは閃かなくてもいいのになんて唸る。
もうダメだ。
このまま行くと、どう考えてもバッドエンドだって!
『好きな人の記憶の中に一生いられたら』と言ってた夢見がちなタケシ!
もうすぐお前の夢実現しちゃうよ。
『寝癖のままコンビニ行ったら好きな子に会って、超最悪』とか抜かしてたユタカ!
お前の超最悪なんて、僕にとってはただのおままごとなんだよ!
ああ、どうしよう。落ち着け自分。
そうだ。発想の転換だ。これから起こる大惨事を−100とするなら、+100を提供すれいいんだ。
鞄の中身をチラッと見る。 携帯、手帳、筆記用具、財布…
僕は急いで財布を取り出し、お札を数えた。
1枚、2枚、3枚…3千円か。
これから起こる惨劇に対する補償として適正な金額か分からないけど、とりあえず渡しておこうかなんて考える。
あるいは鞄ごと渡して、「僕の気持ちが詰まってるから、家に帰ってゆっくり見てね。」とか言ってダッシュで逃げようかな。
完全に意味不明だけど、もしかしたら奇跡が起こるかもしれない。
まぁ、変態と思われるだけだろうけど。
もうダメかな。ゲームオーバー。あきらめよっかな。
ふふ。思わず笑ってしまう。
…って、いやいやいや。笑えないし。全然笑えないし。
返せ。僕の2年間の純愛を返せ。やだやだ、絶対嫌だ。
いつか大人になって振り返った時、自分の高校時代のハイライトがこんなのなんてあんまりだ。何かやらなければ。今ここで踏ん張らなければ僕は必ず後悔する。
背水の陣。タイムリミットまで、あと、3分切っている。
何ができる。僕にいったい何ができる?
「…たんだ。」
「ん?」
「だから!…たんだ。」
「え?」
「もう!!……だ。」
「どうしたの。いったい何が」
「だーかーらー。お前のことがずっと好きだったって言ってるんだよ!この馬鹿!! 」
言ってやった。
振られても、3分後には逃れられない崩壊が待っている。だから、僕が彼女にとってノーマルな人間でいられる間に思いを伝えなければいけないって。そう感じたのだ。
でも、「この馬鹿」は余計だったかなって後悔しながら、自分の顔が凄く火照っているのがよく分かる。きっとこれが、彼女の前で見せる僕の最後の人間性だ。
これから僕に訪れるであろう惨劇のことを思うと気が重い。頭の中が一瞬にして負の想像で埋め尽くされていく。
だから聞こえなかった。彼女の答えが。
「え?」
「……の。」
「は?」
「私……たの。」
「何なんだよ!もっとはっきり」
「私もずっと君のことが気になってたの。何度も言わせないでよ!鈍いんだから!! 」
「それって…まさかOKってこと?」
「うん。私の方からいつか言おうと思ってたんだから。…あと、勢いで鈍いって言ってごめんね。」
…僕の方こそ馬鹿って言ってごめん。
しかし、感極まっていた僕の口からその言葉は出なかった。 代わりに大粒の涙が。そして、腹痛という悪夢が再び訪れた。
ありがとう。僕はお腹をさすりながら呟いた。最後に素晴らしい夢が見れたよ。
そっと目を閉じる。来世はきっと人々に安らぎを与える花になろう。
僕は覚悟を決めた。

「ねぇ、トイレ行ってきてもいい?色々緊張しちゃって。」
…え?
微笑みながら近くの公園を指差す姿は、僕の目には天使のように映った。彼女を好きになって良かったと心から思う。
「僕も行く。」
そう言って、高まった感情そのままに、跳ねるように彼女を追いかけた。

…そのアクティブな動きが失敗だった。


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このストーリーに関するコメント

13/07/29 平塚ライジングバード

こんな話ばかりですみません。この人はどこに向かっているんだろと思っていただけたら幸甚です(笑)。
コンテストは終了したのに僕はいまだ迷う人です。
さて、電波系男子、ディフェンス、黒歴史と平塚ライジングバードによる無慈悲三部作を書かせていただきました。笑っていただければ満足です。

なお、無慈悲な人であと二つほどネタがあったのですが、あまりに無慈悲(下ネタ)すぎたため自主規制しました♪

13/07/30 そらの珊瑚

平塚ライジングバード様、拝読いたしました。

誰しも身に覚えのあるあの切羽詰まったシーン。
他人事だと思えば可笑しすぎます。
この恋のゆくえはどうなったのでしょうか? 彼女が慈悲深い人であることをお祈りします♪

13/07/30 泡沫恋歌

ライジングバードさま、拝読いたしました。

これはもうどうしようもないことですが・・・この苦しみは無慈悲です!

どんなに頑張っても精神力だけでは乗り切れない窮地だもんね。

彼女も同じ気持ちだったのが救いですね(○^o^○)ニコッ♪

アクティブな動きはイケません! ヨチヨチと内股で歩けばギリセーフだったのに・・・(´ヘ`;)ハァ〜

13/07/31 平塚ライジングバード

OHIME様、コメントありがとうございます☆

どうしようもない話にお付き合いいただき、感謝です。
笑っていただけて、とても嬉しいです。

元々文章力と語彙力が皆無だったので、何とかその弱点をごまかそうと
辿り着いたのがこのスタイルです。自分にとっては苦肉の策だったので、
評価いただけるのであれば本当に嬉しいです☆
今後も読みやすい話、印象に残る話を意識して書きますので、
よろしくお願いいたします。

13/07/31 平塚ライジングバード

珊瑚様、コメントありがとうございます。

毎度のことながら変な話ばっかり書いてすみません(>_<)
本当にどうしようもない話を仰々しく書いてみよう
というところから着想しました。
読み返して、なんだこの話は( ̄▽ ̄;)と少し後悔してます。

タイトルが君の知らない黒歴史なので、何とかバレずにすんだ
んでしょうね(笑)。

13/07/31 平塚ライジングバード

恋歌様、コメントありがとうございます!!

こんな作品しか書けない作者にいつもコメントいただいて感無量です。
もっと無慈悲な作品にしようと思ったのですが、良心と倫理観で
大分マイルド!?な話になりました。
こんなアクティブな作品ではなく、ヨチヨチ歩きの堅実な話が書きたいです(笑)
次回は真面目なのを書きたいな〜と常に思ってはいます( ̄▽ ̄;)

13/07/31 平塚ライジングバード

凪沙薫様、コメントありがとうございます☆

凪沙さんの「夜」と同様に、事務局にどこまで許してもらえるかを
試そうとしましたが、中途半端な感じになってしまいました。
開始5行ぐらいで「無慈悲すぎる…」というような話が書けるように
なりたいですね(笑)
…ってもちろん冗談です( ̄▽ ̄;)

13/08/04 草愛やし美

平塚ライジングバードさん、なんて幸せな……いえ不幸なお二人なのでしょう。でも、同時だったなんて、やはり赤い糸の関係だったのですね。
一斉に走って、失敗だったのね…il||li _| ̄|● il||li どどどうしよぉ…
最後のオチが無慈悲、でも神様が無慈悲なのかしら? きっと彼女は許してくれて臭い仲に……。ごめんなさい、酷いコメントで。面白かったです、こういうシチュエーションわかります。うちの旦那さんなど、切実にわかる人ですよ。

13/08/05 平塚ライジングバード

草藍さま、コメントありがとうございます☆

相変わらず、地に足がかすりもしない話ですみません。
実は、「無慈悲」というテーマから最初に思いついたのが、
このシチュエーションでした(ーー;)
何とか形になって良かったと思う反面、投稿しなきゃ良かった
と思う気持ちもあります。
あらゆる意味で黒歴史な作品です(笑)。

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