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くにさきたすくさん

電子ショートショート作家  blog:http://taskuni.hatenablog.com/ twitter:https://twitter.com/taskuni

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罵詈雑言

13/07/18 コンテスト(テーマ):第三十五回 時空モノガタリ文学賞【 無慈悲な人 】 コメント:3件 くにさきたすく 閲覧数:1520

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 女は椅子に腰かけたまま怒鳴った。
「この無能が!」
 デスクを挟んだ向こう側に小太りの男。椅子は用意されているが座ることは出来ず、棒立ちのまま目線を落とし、震えている。
「そのたるんだ腹は何だ! 自己管理のできない奴に仕事なんかできるか!」
 女がだん!とデスクを叩く。その怒りの音に、男は大きな体をびくつかせる。
 女は席を立ちデスクの前にまわる。男の目の前で腕を組み仁王立ちになった。
 男はそのだらしない体を何とか小さくしようと縮こまっている。
「よく見たらお前は、部長にそっくりだなあ」
「はあ」
「お前も女子社員にセクハラしたりするんだろ」
「いいえ。そんなことは」
「いいや。するね! 顔を見ればわかる。お前はセクハラ顔だ! 毎日毎日、にやけ顔で近づいてきやがってこのセクハラ野郎!」
「それは私の事では……」
「うるさい!」
 男は言葉を飲み込んでただうつむくばかり。
 女は言った。
「お前、名前は?」
「え……。名前ですか?」
「質問に質問で返すんじゃないよ! 名前を言いな!」
 男は震え、汗をにじませながら答える。
「木村……拓郎です」
「なんだとお! お前。そのニアミスは何だ! かぶるならかぶる! 外すなら外す! どっちかにしろ!」
「……すいません」
「すいませんじゃない! す・み・ませんだ!」
「はい。すみません」
「声が小さい!」
「すびません!」
「おい! すみませんもろくに言えないのか! ど低能が!」
「すみません!」
 女はまだ容赦しない
「お前は彼女はいるのか?」
「……いえ。いません」
「だろうなあ! そんな見た目じゃなあ! あはははは!」
 女の高笑いが無機質な部屋に響いた。


 扉が開き部屋から女が出てくる。
「はあ、気持ちよかった!」
 制服を着た店員が出迎えた。
「ご満足いただけましたか?」
「うん。すごいスッキリしちゃった! これでまた明日からがんばれそう」
「それは良かったです。もしまたストレスがたまるようなことがございましたら、また当店のストレス発散リラクゼーションコースをご利用なさってください」
「そうさせてもらうわ。でも、あの男の人に謝っておいてくれない? 私ちょっとやりすぎちゃったかも」
「いえ、そのような心配は無用でございます。あの男性は別のコースをご利用のお客様ですから」
「別のコース?」
「ええ、プレッシャーダイエットコース、いわゆる加圧ダイエットコースのお客様でございます」


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このストーリーに関するコメント

13/08/02 くにさきたすく

>凪沙薫 様
コメントありがとうございます。m(_ _)m
スッキリしていただけましたでしょうか。
こういうコンパクトなネタを今後も作っていきたいです。(^^)/

13/09/27 つるばた

拝読しました。

オモロイです! SMみたいなものですかね。実際にあったら流行るかも……

これからもくにさきたすくさんの作品を、楽しみにしてます。

13/09/29 くにさきたすく

>つるばた 様
コメントありがとうございます。m(_ _)m
実際に街にある加圧なんとやらみたいな看板を見て思いついたお話でした。
本当に店内でこんな加圧が行われていたら、怖いですね。(笑)

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