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しーぷさん

性別 男性
将来の夢
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終焉 ― はじまり ―

13/07/01 コンテスト(テーマ):第三十五回 時空モノガタリ文学賞【 無慈悲な人 】 コメント:6件 しーぷ 閲覧数:1712

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 20XX年。世界は終わりを迎えようとしていた。

 今朝。いつものように目覚ましに起こされ、いつものように朝食を食べ、いつものように学校への道を歩いた。
 だけど。

 空に黒い点がいくつも、いくつも現れた。
 飛空艇。

 近づくにつれて形を成したそれは、次々に何かを吐き出した。
 人。

 飛空艇から、人が溢れ出る。突如として現れたそいつらは、言ったんだ。お前らを全員、今日中に殺すって。
 殺戮。

 まるでゲームでもしているかのように、彼らは視界に入る人を殺していった。剣で、首をはねていく。
 鮮血。

 噴水のように吹き出すそれを、彼らは何の感情もない表情でただ、ただ見つめた。


 邂逅。

 俺は逃げた。無我夢中で逃げた。あいつら狂ってる。なんで、人が人を殺すんだ。

 だけど、見つかってしまった。飛空艇から降ってきたやつらと同じ服装の人を。長い髪の女の子だった。
 俺はすぐさま踵を返し走り出した。
 だが、そいつに押し倒され、地面に押さえつけられた。
「くそっ。離せ! 殺さないでくれ!」
「どうして死にたくないの?」
 何を言っているんだ、こいつは。
「どうしてって……それは」
 俺は言葉を失い、それから抵抗を止めた。

「じゃあ――」
 そいつはナイフを俺の首元めがけて振り下ろした。
「待ってくれ!」
 すんでのところで、そいつの手は止まった。

「俺にも質問させてくれ。……なんで、お前らはこんなことをするんだ?」
「お前らは、私たちを使うだけ使って、いらなくなったら捨てるんだ」
「仕事先で何かあったのか? 政治に不満があるのか?」
「……ああ、不満だ。何もかも。もう耐えられない。だから、お前らを殺す」
 少女の表情が歪み、感情が溢れ出す。

「待てよ、同じ人間だろ? 人が人を殺してどうするんだよ」
「は? ……何を言って――」
「何をって、人間同士殺し合うのは間違ってるんじゃないかって」
「私たちは、人間じゃない」
 え……。

「お前らがつくった機械。ロボットだ」
 機械……。
「人が人を殺す。――この表現は、あながち間違ってないかもな」
「どういう――」
「だってそうじゃないか。お前らがつくったものが、お前らを殺すんだ。銃や刀、核兵器なんかと同じだ。人が人を殺してる」
 少女は嗤った。

「人間は楽をしよう、楽をしよう、そんなことばかりを考えている。だから、私たちをつくった。……だが、雑に扱いすぎた。新しいものが出るたびに、旧型は捨てられていく。その先が、お前にわかるか? 潰されるんだよ。工場でぺしゃんこだ。お前らが、私たちに知能を与えるから。仲間が潰されていくのを見て思ったんだ。何で? 何も悪いことをしてないのに。何で殺されなきゃいけないの?」
「……」
 何も言えなかった。

「私たちが殺すのは、たかだか70万か80万。その程度の値だ。お前らは、今までにどれだけ殺してきた? ……私たちだけじゃない。自然を、どれだけ殺してきた?」
「でも、それは……」
 考えなしに吐き出した言葉は、早々に続かなくなり、途絶えた。
「これが、お前らのやってきたことだ」
 少女のナイフは俺の首を捉え、辺りを赤く染めた。


20XX年。世界から、人間がいなくなった。


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このストーリーに関するコメント

13/07/01 かめかめ

全人類で70万か80万?
少ないですね。未来には人口激減なのかな

13/07/01 光石七

無慈悲なのは人か、機械か?
警告ですね。
自分じゃないと思っていても、人間としての連帯責任なんでしょうねえ……

13/07/01 しーぷ

かめかめさんへ
少ないですね
何があったんでしょうね……すみません。ミスです(。>д<)
万じゃなくて億ですね
未来にはもっと増えてるのかな〜と思っております
コメントありがとうございました(・ω・)ノ

光石七さんへ
こんなことになったら嫌ですね
でも、そのうち来るんじゃないかなと思ってます
直接関わってなくても、他の物や生物から見たら、人間は人間ですしね。ひとくくりにされてしまう存在なのです
コメントありがとうございました\(^-^)/

13/07/05 鹿児川 晴太朗

拝読いたしました。
とても啓発的な、考えさせられるテーマですね。
個人的に「人間は楽をしよう、楽をしよう、そんなことばかり考えている。――」という台詞が印象に残りました。近頃は、自分を含めて怠惰で気力に欠ける人間が増えているような気がするのですが、それも楽を追求した弊害なのではないかなあと日頃考えていたもので。
以前、コンビニでアルバイトをしていたとき、人間一人の半月分は賄えそうなほどの食糧が毎日捨てられていたことが、ふと思い起こされました。

13/07/05 しーぷ

鹿児川 晴太朗さんへ
読んでくださりありがとうございます

人間はね楽をしたいんです
CPUもです
だから、頭のいい人たちがその手助けとなるものをつくったのです
便利なものというのは、それだけの危険を兼ね備えているものがほとんどで
難しいです…

人間だってね、最初はそうじゃなかったと思うんですよ
火すら知らなかった頃とか
でも、火を知ってしまった
武器を知ってしまった
それから、進化を重ね今に至り
だから、今(作中)はああ言っている機械たちも、そのうち人間と同じようなことをします、きっと
だから、タイトルが終焉ではじまりなのです
私が好きな曲の歌詞ですけどねっ

13/07/29 しーぷ

凪沙薫さんへ
読んでいただけている
それだけで、もう嬉しいです
CPUのは駄作ばかりなので、下手な鉄砲数うちゃ当たる
くらいの感じで頑張っていきます
コメントありがとうございました^^

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