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しーぷさん

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探偵になった理由

13/06/18 コンテスト(テーマ):第三十四回 時空モノガタリ文学賞【 探偵 】 コメント:3件 しーぷ 閲覧数:1974

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「よしッ」
 私は、壁に真新しい木の看板を取りつけた。そこには黒く「宮田探偵事務所」と刻まれている。
 傾いてないか確認してから、隅を触ってちょっとだけ調整する。それから事務所の中に入った。
 新しい机、新しい椅子。何もかもが新しい。


 5年前、私が高校生だった時のこと
 私の初恋の人は、私の前からいなくなってしまった。
 ずっと好きだったのに。あいつは、いつも私の言うことに耳を傾けてくれて、いつも私を中心に動いてくれて、私のどんなわがままにも、嫌な顔こそすれど必ず応えてくれた。
 そいつは、交通事故で死んでしまったとか、親の転勤でどこかへ越していってしまったとか、そういうことではない。

 人を……教師を殺したのだ。

 そのとき、私の幼馴染みが容疑者にされてしまい、強引に初恋の人を捜査に巻き込んだ。
 そいつが犯人だと知らずに……。

 殺されたのは、担任のM先生の婚約者。M先生はいつも明るく笑っていた。だけど、それがあってからその笑顔も雲に隠れてしまって。
 M先生は皆から人気があって、皆好きで。それは私も、私の初恋の人も例外ではなくて。でも、初恋の人は、みんなのいう好きとはちょっと違った。
 なんか、もやもやして、イライラして。毎日、「またM先生のこと考えてたんでしょ?」などと、そいつをからかってやった

 殺人事件の捜査だとわかっていたけど、そいつと一緒にいられるのが嬉しくて、楽しくて。捜査会議という名目で、そいつの家に行くのも嬉しくて。前日から顔がにやけて。
 曖昧で、言葉に表せないような感情が、私の胸の内を支配していた。

 でも、捜査を進めていくうちに、私たち二人だけではどうしようもできなくなってしまって、私の後輩の女の子に協力をしてもらうことに。
 本当は嫌だった。二人だけの空間が壊れてしまうのが。ずっと、二人だけでいたかった。ずっと。ずっと。
 別に、恋人になりたいとか、そういうんじゃなかった。ずっと保ってきた、心地の良い距離感。その距離を保っていたかった。

 幼馴染みを助けたくて。M先生の笑顔がまた見たくて。その後輩の女の子を捜査に加えた。予想以上の働きで、私たちの捜査は順調に進んでいった。
 でも、心配でしょうがなかった。悪い予感が胸の内を過る。
 そして、私の予想は見事に的中してしまった。その子のあいつを見る目が日に日に変わっていくのが明らかだった。ずっと見つめている。
 あいつをとられたくない。あいつとの距離を広げたくない。私の方が、ずっと前から好きだった。時間なんか関係ないって言われるかもしれないけど、私にはそんなこと関係ない。私はあいつが好きだ。でも、言葉にはできなかった。
 その時みたいに、他の子があいつを好きになることが何回か会って、その度に思ったことがある。気持ちを伝えようと。
 でも、いつも躊躇ってしまう。私は、この距離感を護りたいだけ。そういうんじゃない。

 ただ、ずっと一緒に笑っていたかった。

 事件の最終日。私の心の中を映しているかのような空模様だった。
 誰にも言ってなかったけど、この時本当はあいつが犯人だって分かってた。
 辛かった。私は、M先生の笑顔をまた見たいし、幼馴染みを助けたい。でもそれは、初恋の人との心地よい距離を壊すということで。
 だから、違う人を犯人だと言ってしまった。M先生と婚約するはずだった、殺された人の愛人。いけないことだってのはもちろん分かってた。「いけないこと」っていう簡単な言葉で片付けられることじゃないってのも分かってた。
 これ以上、誰かに、何かに、あいつを奪われたくなかった。だから、そう言った。

 でも、私の浅はかな計画も簡単に打ち砕かれて、あいつは警察に連れて行かれてしまった。
 私は泣いた。何にもできない自分に対して、何にもできなかった自分に対して、貰ってばかりで何もあげられなかった自分に対して、わがままで嘘をついた自分に対して、私は泣いた。
 情けなくて、辛くて、悔しくて。


 その日、私は心の中で誓ったのだ。
 もう、あんなことはしないと。
 誰かが道を違えれば、それを正してあげようと。
 だから、私は探偵になろうと決めた。警察って考えもあったのかもしれないけど、探偵が好きで憧れてたから、こっちを選んだ。
 これから、小説のような難事件が待ってるのかな。
 そんなことを考えながらコーヒーを啜るが、やはりこの苦さはまだ慣れない。
 受付として雇ったおばさんの机に、湯気をわずかにたてるそのコーヒーを置くと、私は自分用にミルクティーをいれた。
 やっぱり甘くて美味しい。


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このストーリーに関するコメント

13/06/20 光石七

拝読しました。
登場人物、事件の経緯が少々わかりづらいかな、と。
これから探偵として主人公がどんな歩みをしていくのか、気になります。

13/06/20 しーぷ

伊屋坂手当さんへ
ご指摘ありがとうございます
CPUは、まだまだなので、ダメ出しをもらえるとありがたいです

こちらの作品は何か別の作品の二次的な創作でしょうか
→別サイトに投稿してた作品の、裏話的なことをしました。
 読みずらかったですよね。すみません
@お金の力です←おいッ
A微妙ですね。恋仲ではないです。片想いが一番適切なんですかね。彼女にも、よくわかってない感情です。好きという言葉を使っていますが、好きとは何か、よく分かってないやつなのです
Bですよね。自分でも、コメント欄に来るまでに読み返したんですが、わかりにくかった……次から頑張ります。
C殺された人の愛人です。捜査のとこが曖昧だったのは字数制限が……すみません、言い訳をしてしまいました
Dおうッ。確かにそうですね
 もうすぐ来るんじゃないでしょうか。きっと
 満足しているのには、ちゃんとした理由があります。ミルクティーが好きだから。←全然、ちゃんとしてない
これからもこんな文章ばかりですが、投稿していこうと思っているので
その時は、ぜひ読んで、またご指摘の方よろしくお願いします

光石七さんへ
はい。ホントにすみませんでした
言い訳は、上に書いてある通りです
読んでくださり、ありがとうございました
ああッ、なんか雑になってしまった
すみません。

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