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泡沫恋歌さん

泡沫恋歌(うたかた れんか)と申します。

性別 女性
将来の夢 いろいろ有りますが、声優ソムリエになりたいかも。
座右の銘 楽しんで創作をすること。

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6

タイムマシン

13/06/15 コンテスト(テーマ):第九回 【 自由投稿スペース 】 コメント:13件 泡沫恋歌 閲覧数:1990

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 ガンガラガッチャーン!

 真夜中に俺の住む、1Kのアパートにもの凄い騒音が鳴り響いた。
びっくりした俺はベッドから転がり落ちて目を覚ました。何が起きたのかとキョロキョロと部屋の中を見回せば「痛たたぁ……」と、腰を撫でながら、見知らぬ男がうずくまっている。
 その男は白い防護服のようなものを頭からスッポリと被り、口には毒ガス用のマスクまで付けている。いったいこいつは何者なんだ? 新手の空巣か? 呆気に取られた俺は言葉も出ない。

「いやぁー驚かせて、すみません。タイムマシンの調子が悪くて着地に失敗しました」
 そう言うと、男はクックックッと機械音のような耳触りな声で笑った。
「タイムマシンだって……?」
 こいつはバカか? 電波君か? いきなり意味不明なことをしゃべり出した男に俺は警戒した。
「さぞ、この格好にも驚かれたでしょうね。21世紀の日本は空気中に放射能やセシウムが含まれていて、かなり危険なんですよ。まったく仕事とはいえ、こんな所には来たくないですねぇー」
 得体の知れない男は俺に親しげに話しかけてくるが、もちろん初対面である。――そんなことは知るか、早く俺の部屋から出ていけ!
「申し遅れましたが、わたくしはタイムトラベラー社の委託で、あなたの生涯サポートを務めさせて頂いて折ります。――G4と申す者です」
 タイムトラベラー社って時間旅行社ってことか? そんな会社がある訳がないだろう。しかも《俺の生涯サポートだと!?》その言葉にムッときた俺は、そいつを思いっきり睨みつけやった。

 ――俺はツイテナイ男だった。

 孤児に生まれついた俺は両親の顔も知らない。物心ついてから、ずっと児童養護施設で育てられてきた。神童と呼ばれるほど、勉強が得意だった俺は一流大学を目指して勉強に励んだが、なぜか本番に弱く、受験に失敗して二浪してしまったのだ。それで仕方なく、大学の夢を諦めた。

 高卒だったが、辛うじて中小企業に就職ができた。営業部に配属された俺は人一倍仕事を頑張ってきたつもりだ。最初は営業成績をどんどん上げて、我が社の期待のホープとかみんなに言われていい気分だったが、それがどういう訳か、大口の契約が取れても、土壇場でいきなり先方からキャンセルされることが多くなった。先方に理由を聞きに行っても会っても貰えず、門前払いされた。そんな失敗が何度か続いて……社内での俺の信用はガタ落ちとなった。
 無能の烙印を押された俺は営業部から外されて、今度は資材部に回された。
 薄暗い工場の倉庫の中で物品の数を数えたり、不足した部材を発注するだけの仕事だが、一日中、誰とも口を利かないこともある。完全に窓際のポジションだ。

 ――そんな孤独な俺は、趣味で小説を書き始めた。
 資材部の仕事は暇なのでアイデアを考えている時間はいくらでもあった。きっと妄想の世界で自分自身を慰めようとしていたのかも知れない。
 毎日、毎日、パソコンに向かって小説を書き続けた。俺のホームページにはだんだんとファンも増えて、小説を書くことが楽しくなった。
 ある日、ホームページの小説が一流出版社の編集長の目に留まった。彼は俺の作品を「素晴らしい芸術作品だ!」と、絶賛してくれた、そして無料で出版させてくれると約束した。俺は小躍りして喜んだ。――それなのに、編集長から連絡が来なくなって、こちらから連絡したら「君なんか知らない」と冷たく言い放された。
 俺はショックでもう小説が書けなくなってしまった。ホームページにも訪れる人がいなくなって、ついに創作を断念した俺は、自分のホームページを閉じてしまった。

 ――いくら頑張っても、俺の存在を誰も認めてはくれない!

 何をやっても上手くいかない、自暴自棄になった俺は深酒をするようになった。友だちのいない俺はコンビニで買って帰ったアルコール類を自分のアパートでひとり飲んでいた。
 アルコールが切れると、すぐにコンビニに走り買ってくる。――そんな日々が続いたある日、コンビニの店員の彼女が、俺の様子を見に訊ねてきてくれた。
 彼女は美人ではないが、心根の優しい女性である。俺が頻繁にアルコールを買いにくることを心配してくれていた。彼女と話している内に俺の心も癒されていき、だんだんと深酒もしなくなってきた。その内、彼女は俺のアパートに頻繁に通ってきて、食事を作ってくれたり、身の周りの世話を焼いてくれた。俺は真剣に結婚を考え始めて、ついに彼女にプロポーズしたのだ。
 彼女は「嬉しいわ」と、俺の気持ちに素直に応えてくれた。俺は有頂天だった!
 今度こそ、愛する女性と幸せになってみせると心に誓った。

 しかし……俺には誰にも言えない秘密があった、実は女性とセックスができないのだ。決して女性が嫌いな訳でも、ゲイでもなんでもない。――なのに、肝心な時に俺の下半身はショボーンな状態なのだ。いくら興奮しても振るい起たないのだ。
 ´・ω・` ショボーン
 もちろん、医者にも相談した「ストレスでしょう……」というばかりで、抜本的な治療法もない、このままの状態では結婚はできないし、子どもも作れない。
 勇気を出して――俺は、そのことを彼女に告白したら「子どもが作れなくてもいいの、あなたと暮らしたいから、それでも幸せなのよ」と、彼女が言ってくれた。そして将来どうしても子どもが欲しくなったら「試験管ベイビー」だって構わないわよ。と、言って彼女が優しく微笑んだ。
 まさしく女神のような女性だ。俺は死んでも彼女だけは手放したくないと思っていた。

 そんな彼女が突然いなくなった――。
 勤めていたコンビニも急に辞めて、どこかへ姿をくらませてしまった。俺は捜した、必死で彼女を捜し続けたが……結局、見つけだすことはできなかった。サヨナラもなく、消えてしまった恋人の気持ちが分からずに、俺は混乱して心底絶望した。――もう死んでしまいたいとそう思った。
 その夜、したたかお酒を飲んだ俺は38階建てのマンションの屋上からスカイダイビングした。遺書もないが覚悟の自殺だった、ツイテナイ人生に俺はサヨナラしたかったんだ。
 ……だが、気が付いた俺は……マンションの植え込みの中で眠っていた。かすり傷ひとつない、ピンピンしている。確かに38階の屋上から飛び降りたはずなのに、死んでいないなんて……? そんなバカな!
 なんだか拍子抜けして、それですっかり死ぬ気が失せてしまった。

 あれから半年、やっと平静を取り戻した俺は、相変わらず倉庫の片隅で物品の数を数える仕事をしているのだ。――なんの夢も希望もない今の生活だ。
今日、会社の帰りに通りかかった宝くじ売り場でロトシックスを買ってみた。
 会社の同僚たちが、キャリーオーバーでロトシックスが賞金6億円に跳ね上がっていると話していたからだ。どうせ、当たらないとは思うけど……何か、小さな希望が今の俺には必要だった。
 マークシートに番号を選んで塗り潰していく、頭に浮かんだ数字は375642(皆殺しに)そんな番号をロトシックスに俺は選んだのだ。 

 ――そして話は戻る。

「今日、あなたロトシックス買ったでしょう?」
 いきなりG4が俺に訊ねた。
「ああ、買ったけど……それが?」
「困るなあー、そういう宝くじとか、一攫千金を狙うようなものを買われては……」
 迷惑そうな声でG4が言う。
「消去させて貰いますよ」
「ええーっ! なんでだよ?」
「それは当り券です」
「な、な、なんだって! それは本当かー!?」
 G4の言葉に耳を疑った。まさか6億円が当たっているなんて……やっと運が向いてきた。俺は億万長者だ! 一生遊んで暮らせるぞ!!
 ――と、喜んだのも、つかの間。G4の指先から青白い光線が出て、机の上に置いてあったロトシックスの引換券を一瞬にして灰になってしまったのだ。――俺の6億円の夢が無残にも消え去った。

「ちくしょう! 何てことをするんだ。俺の6億円を返せぇー!!」
 白い灰になった6億円の紙切れを握って、俺は怒りの抗議をした。
「そんな大金を手に入れたら、あなたが目立ってしまうじゃないですか」
「何で、こんなヒドイ目に合わされなくっちゃならないんだ。おまえ、さっき《俺の生涯サポート》って、言ったよなぁ? いったい俺の何をサポートしてくれてるんだ!?」

「あなたが目立たないように、有名にならないように、幸せにならないように、しっかりとサポートしております」
「はあ……」
 G4の、その言葉に俺は絶句した。
「じゅあ、俺が受験に失敗したのも、仕事が窓際になったのも、出版ができなかったのも……全部おまえの仕業か!?」
「ハイ! しっかりサポートしました」
 誇らしげな声でG4が答えた。
「この野郎! ぶっ殺してやる!」
 俺はG4に殴りかかろうとしたが、ベルトに付けたスマートフォンのような器具を触るとG4の周りに丸い透明のシャボン玉のようなバリアーができた。ブチ切れた俺はシャボン玉バリアーを拳で殴ったり脚で蹴ったがまったくビクともしない。
「クッソー! みんなおまえのせいだったんだ。俺の大事な所が肝心な時にショボーンなのも、おまえの仕業だったのか?」
「――申し訳ありませんが、下半身に『ショボーンブロック』を、かけさせて頂いております」
「やっぱり、そうか……うっうっうう……」
 情けなくて……、思わず泣き出した。
「おツライ気持ちは分かりますがね、勝手に死んだりしないでくださいよ。あなたに死なれるとわたしの仕事の評価が下がるんです。前にも38階のマンションの屋上から飛び降りたでしょう? 間一髪でキャッチできましたが、危ない所でしたよ」
「あの時、おまえが助けたのか?」
「もちろん、そうです。生涯サポーターですからね」
「……俺は死ぬこともできないのか? どうして俺がこんな目に合わされるのか理由を教えてくれ!」
「いやねぇ、あなたはハーフなんですよ」
「日本人じゃないのか?」
「いえいえ、そういうハーフじゃなくて、未来人と現在人のハーフだから……。本来、存在してはいけない人間です」
 とんでもないことをG4が言いだした。未来人と現在人のハーフってことは、本当にタイムマシンは発明されていたのだろうか? 時間旅行者との間に生まれた人間なのか? この俺は……。
 そしてG4から信じられない話を聞くことになった。

「わたしは25世紀からきました。その時代には誰でもタイムマシンで時間旅行ができるんですよ。あなたのお父さんの未来人はタイムマシンの着地地点を間違えて道路の真ん中に降り立って、たちまちトラックに轢かれて病院に運ばれました。その時にタイムマシンは大破して、おまけに頭を打って彼は記憶喪失になったのです。半年間、病院で暮らした彼はその病院の看護師と親しくなり、退院後、ふたりで一緒に暮らし始めたのです。――その時に生まれたのがあなたですよ。本来、未来人と現在人は結婚できないし、ましてや、子どもを作るなんてトンデモナイ! そんなことをしたら、未来の歴史が変ってしまいますからね」

 俺の親父が未来人? 信じられないような話にどう応えていいのか分からない。ただ言えることは,親父のドジのせいで俺は重い十字架を背負わされる羽目になったということだ。ひと言、クソ親父に文句を言わないと俺の気が済まない。

「我々の発見が遅れて、生まれてしまったあなたは未来と現在がリンクしてできた『時空の落とし児』です。存在してはいけない存在なのですよ。以前は、生まれる前に命を抹消されました。しかし、それは酷いと未来の人権団体に非難されてなくなりました。その次は生まれても『時空の落とし児』は、世間と接触させないために、一生、精神病院か、刑務所暮らしでした。――それも、人権団体にあまりに可哀相だと言われましてね。そこで、わたしのような『生涯サポーター』を、ひとり専属につけて『時空の落とし児』には、歴史を変えたりしないように、目立たない日陰の人生を歩ませることになったのです」

 G4の長い説明を聞いて、俺のツイテナイ人生の理由がやっと分かった。……とは言え、こんな冴えない人生を死ぬまで生きなくてはいけないかと思うと、暗澹たる気分だ。

「じゃあ、俺は一生飼い殺しか?」
「いいえ『生き殺し』です。生きていても死んでいるのと変わりませんから――」
 クックックッとG4が鼻を鳴らして嗤った。
 人を小馬鹿にしたG4の態度に、俺はこいつを殴ったろうかと思ったが、シャボン玉バリアーに阻まれて触れることもできない。こんちくしょうーめ!

「こんな風に『時空の落とし児』の規制が厳しくなったのは、タイムマシンを開発した23世紀の奴らのせいなのです。人類は、23世紀末にタイムマシンを発明します。その頃の地球は資源を使い果たして空っぽ状態だった。遥か宇宙にまで資源を求めて宇宙船を飛ばしましたが、リスクばかり高くて、思うように資源開発もできない状態でした。――そこで考え出したのが過去の地球へ行って資源を採ってくることです。タイムマシンでジェラ紀まで行って、思う存分、資源を掘り起こし、森林を伐採し、ジェラシックパークまで作って、23世紀の奴らは恐竜を遊びで狩りまくったのです。そのせいで……」
 そこまで話してG4は、ハァーと大きく溜息を吐いた。

「どうなったんだ?」
「――地球上の恐竜が絶滅してしまったのだ」
「なにぃー? 地球に隕石が落下したのが原因だと言われているけど、それ違うのか?」
「違います! あれは23世紀の奴らが流したデマ説で、本当は恐竜の乱獲が原因なのです。それ以外にも、個人がタイムマシンでいろんな時代に行き、神やら、預言者になった未来人もたくさんいます。ほら、あのノストラダムスもそのひとりですよ」
 知らなかった! まさか、未来人がそんなに頻繁にタイムマシンで時空を行ったり来たりしていたとは……それは驚くべき事実だった。

「それで時空の流れが乱れちゃったので、タイムトラベラー社を発足して時間旅行者たちを厳しく取り締まるようになったのです。〔規則第一条、未来人はその時代の人間たちと接触してはいけない〕でした。誤って未来人と現在人との間に子どもができたら、未来の流れが狂ってしまうので、あなた方『時空の落とし児』は、目立ったり、有名になったり、家族を持ってもいけないのです。……だから天涯孤独に死んで逝ってください」

「俺は一生結婚しても家族を持ってはいけないのか、それで恋人も消えたのか?」
「ハイ、彼女はあなたとの記憶を全て消去して、新しい町で暮らしていますよ」
「――そうか、それで彼女が幸せなら俺はいいんだ」
 頬に温かい雫が伝っていく、俺なんかに関わったせいで……彼女もそんな目にあっていたんだ。たぶん、俺のおふくろも同じように記憶を消されて、どこかで暮らしているんだろう。
「あなたの人生は誰ともリンクしてはいけないのです」
 ああ、なんて悲しい運命だろう。
「それじゃあ、何のために生まれてきたのか分からない……」
「生まれてきたことが自体が間違いです」
 と、G4がことなげにいう。
 人の気も知れないで……このまま、生きていたって夢も希望もない俺の一生――。もう、こんな生活はイヤだ! タイムマシンなんか発明した未来人が心底憎いと俺は思った。

「おやおや、すっかり話し込んでしまいました。わたしは忙しいのです。そろそろ、おいとましますね」
 そういうとG4は、腰に提げた携帯型タイムマシンのスイッチをピッピピッと押して操作をし始めた。
「タイムマシンが消えて、3分後にわたしとしゃべったことは、あなたの記憶からスッカリ消去されますから……では、ご機嫌よう!」
 ブゥーンと空気が波動する音がしてタイムマシンが動き出したようが、その瞬間、シャボン玉バリアーが解除された、その隙を俺は見逃さなかった――。G4の身体に突進して抱きついてやった。
「わわっ、何をするんですか? 離してください! タイムマシンが発進しますよ」
「俺も未来に連れて行け、こんな所はもう真っ平だぁー!」
 いきなり抱きつかれて、G4は目を剥いて泡喰っていた。
「ダメです、離れてくださーい!」
「イヤだ、イヤだー!」
 もがいてG4は引き離そうとするが、この俺は必死にしがみ付いて絶対に離れるものか! このままタイムマシンで一緒に未来に行くんだ。
 きっと、未来の世界は薔薇色に違いない!

 ――そして、タイムマシンは俺たちを乗せて時空へ旅立った。

 ここはどこだ? 
 気が付いたら、俺たちはうっそうシダが茂るジャングルのような所に着地していた。何だかやけに静かだ、不思議なほど生き物の声が聴こえてこない。
 見たこともないようなヘンな草が生えている。ここは浅い川か、沼地のようで足元に水が流れている。空気がどんよりと重く息苦しい、何だか気味の悪い所だ。
「おいっ、ここはどこだよ」
「今、調べていますが、重量オーバーでタイムマシンが誤作動したようです」
 携帯型タイムマシンをピッピピッと打ちながらG4が探っている。それにしても、こんな風景は世界中のどのジャングルの風景にも見たことがない――。

「えっええぇぇぇー!」
 いきなりG4が大声で叫んだ。
「どうしたんだ!?」
「こ、ここは3億6500万年前のデボン紀後期の地球です!」
「なんだ、そりゃあ?」
「まだ、地上に生物がいない頃の地球なのです。古生代の地上なんて、タイムマシンできた未来人はまだいませんよ!」
「それで俺たちは帰れるのか?」
「一応、SOSの救護通信は送りましたが……それよりもマズイことが……」
「なんだ?」
「古生代の空気の中には亜硫酸ガスが含まれていて人体に危険なのです」
「なんだとぉー!? このままでは死んでしまうじゃないか!」
「ええ、大変危険です」
「おい、俺にも毒ガスマスクをよこせー!」
「ダメです! ひとつしかありませんよ」

 その言葉で、俺はG4が付けている毒ガスマスクを狙って襲いかかった、だがG4は指先から青白い光線を出して抗戦してきた。――こっちには武器がない。普通に組み合ってケンカしたら、未来人のG4よりも俺の方が腕力は勝っているはずだ。
 武器を探して、見渡すと水辺にムツゴロウの親分みたいな50〜60pくらいの魚が、陸に向かって上がってきている。よし、こいつだ!
 ムツゴロウの親分をむんずと掴んで、俺はG4に向かって投げつけた。間一髪でG4は光線で魚を焼き殺した。クッソー!
「止めなさい! こんな時代の生物を殺したら時空の流れが狂ってしまう」
「そんなこと知るか、毒ガスマスクを寄こさないとこいつら投げるぞー!」
 俺はもう一匹投げようと水辺を見渡したら、他のムツゴロウたちは水の中へ逃げ還った後だった。
「これはアカンソステガではないですか!?」
 焼けた魚の残骸を見てG4が大声で叫んだ。
「ああ、大変なことをやってしまった! アカンソステガは初めて水から地上に上がって両生類になった生物です。この後どんどん進化を辿り、哺乳類にまでなっていったのです。いわば人類の祖先のようなものです。そのアカンソステガをわたしは殺してしまった。――そのせいで、他の仲間が水の中の返ってしまった!」
 そういうとG4は頭を抱えて地面にうっぷした。

『進化の過程が大きく狂ってしまう!!』

 そう言い残して、G4の姿はスッと消えてしまった。
「おい、どこへ行ったんだ?」
 キョロキョロ見回したがG4が消えさって影も形もない。
「俺に毒ガスマスクを……」
 そして言い終わらない内に、俺の姿もスッと消えて無くなった――。


 ――かくして、未来の地球は恐竜たちの星となった。



                        ― おわり ―


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このストーリーに関するコメント

13/06/15 泡沫恋歌

イラストは【無料壁紙】未来をイメージしたクールなイラスト集から
お借りしています。
http://matome.naver.jp/odai/2129298719613841501


恐竜のイラストはナショナルジオグラフィック「太古の世界」からお借りしました。
http://www.nationalgeographic.co.jp/photography/photo_category.php?category=5

13/06/15 そらの珊瑚

恋歌さん、拝読しました。

タイムマシンが出来たら過去も未来も行き来できて、さそかし便利だろうなあと思う反面、未来を変えてしまうという、なんとも怖いことも出来てしまうのですね。それもほんのささいなことで、こんなにもたやすく。
果たして人類の生まれなかった地球が今より平和なのかどうか、ちょっと想像してしまいました。
面白かったです!

13/06/15 ハズキ

出だしから面白かったです。突然タイムマシンが降ってきたらびっくりしますね。
タイムマシンがあったらなと子供の頃はよく思ってました。でも、いいことばかりじゃyないなってお反し読みながら思いました。
悪いことばかり続くと、ホントに未来人が何かやってるんjyない勝手思ったり。でも、歴史を変えてしまうのは恐ろしいことですね。

最後、すっと消えちゃった俺、なんとも哀れというか、加えてブラックジョークみたいににやりとします。

進歩が続くと案外恐竜時代に逆戻り、ありうるかも。

13/06/15 鮎風 遊

恐竜たちの時代が未来に。
面白かったです。

タイムマシンに乗ってみたいものですが、
どうしたら乗れるんでしょうね。

13/06/16 草愛やし美

泡沫恋歌さん、拝読しました。
えぇ、どうしましょう。このお話は、フィクションであり……云々。そう信じることにします。でないと、怖くて、今夜寝られそうもありませんから。
サラリと書いておられますが、最後のオチに人類の存続の起源を考えましてしまいました。でも、考えれば、主人公は可哀想すぎます、でも、面白かったです。

13/06/17 泡沫恋歌

珊瑚さん、長いストーリー読んでくださりありがとうございます。

たぶん、人類が地球を支配していなかった方が、もっと環境は良かった
ように思えますが・・・。

13/06/17 泡沫恋歌

ハズキさま、長いストーリー読んでくださりありがとうございます。

タイムマシンが出来たらいいなあ〜という子供じみた発想で考えました。
これでもSF小説マニアだったんですよ。

ハヤカワ文庫とか好きで、中学、高校とよく読んでました。

SF小説は童心に還るようで自分自身が楽しんで書いた(笑)

13/06/17 泡沫恋歌

鮎風さん、長いストーリー読んでくださりありがとうございます。

タイムマシンにもし乗れたら未来に行くか、過去に戻るか?
悩むところですね。

やはり、過去に行って、いろんな歴史的事件の目撃者になりたいかなあ(笑)

13/06/17 泡沫恋歌

草藍さん、長いストーリー読んでくださりありがとうございます。

確かに、この主人公は可哀想な男ですが、最後に消えたのは人類全体なので
そういう意味では平等です。

恐竜が未来の支配者になり、人類が「考古学・人類展」とかで化石になって
展示されるのかなあ?

何んとも複雑な心境ですね。

13/06/18 平塚ライジングバード

恋歌様、拝読しました。

とても面白い設定でした♪
ワクワクして読みました☆

ただ、若干辛口コメントをさせていただきますと、オチが…(ーー;)
是非、長編で書き直していただければと思いました!!
設定が非常に秀逸だったのでもったいないです。

余談ですが、ショボーンブロックは恐ろしいですね(>_<)

13/06/20 メラ

 いやあ、救いようのない話しですね。そして救えない話ほど喜劇になってしまう。テンポのいい文章ですらすらと読めました。でも主人公にはかなり同情・・・。

13/06/21 泡沫恋歌

平塚ライジングバード様、コメントありがとうございます。

このオチ駄目ですか?

自分はブラックユーモアとして、この救いようのない結末が気に入って書きましたが、
確かに、最後まで読んで……このオチかよ!(  ̄д ̄;)ノ エー!?

と、落胆されたならゴメンなさいO┓ペコリ

また、別のオチも考えてみますね。

アドバイスありがとうございます。

13/06/21 泡沫恋歌

メラさん、コメントありがとうございます。

救えない話は、救えなさ過ぎて笑ってください。

確かに、これじゃあ読後感が悪いと言われてしまえば、それまでですが……
笑えるほど悲惨な主人公も時空の彼方へ消えました。

めでたし、めでたし……(;-ω-)ノΩチーン (;-ω-)人 i~ 合掌

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