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鮎風 遊さん

訪問していただき、ありがとうございます。 この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 このためひとり脳内で反応を起こし、投稿させてもらってます。 されど作品は次のシリーズものに偏ってしまってます。。。 ツイスミ不動産。。。 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)。。。 未確認生物。。。 ここからの脱出、時には単品ものも投稿したいと思っております。気が向いた時にでも読んでいただければ嬉しいです。    

性別 男性
将来の夢 この世で最も面白い物語を見つけ出したい。
座右の銘 Do what you enjoy, enjoy what you do.

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漢字一文字の旅 連載5

13/06/11 コンテスト(テーマ): 第十回 【 自由投稿スペース 】  コメント:2件 鮎風 遊 閲覧数:2428

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 旅はなにも距離を彷徨(さまよ)うものではない。
 脳の中でも歩ける。

 旅は道連れ、世は情け。 
 皆さまからの熱い情けを受けて、御一緒に、果てることがない旅が続けられたら嬉しいです。 

 この〈自由投稿スペース〉で、お付き合いのほどをよろしくお願いします。


連載5  紫 滞 煕 力 想 嵌
     壺 雨 薔 遊 鳴 数


5−(1) 【紫】

 【紫】、この字の「糸」の上の部は、ちぐはぐに並ぶことを意味する。そのためか、バラバラの赤と青を混ぜ、染めた糸の色。
 それが【紫】。

 そして万葉の時代から紫草(ムラサキ)の根は【紫】染めの原料。また解熱、解毒の漢方薬として重宝された。
 それは多年草で、初夏から夏にかけて、白い花を「群がって咲かせる」から『ムラサキ』と呼ばれるようになったとか。
 だが今の時代、自生地はほぼ壊滅し、幻の紫草は絶滅危惧種となっている。

 そんな【紫】の薬草刈りに額田王(ぬかたのおおきみ)は出掛けた。そして、そこで前の夫を見掛け、一句詠った。
 その歌こそが、現代においての万葉集一番人気。

 茜指す 紫野行き 標野(しめの)行き 野守は見ずや 君が袖振る

 そんなに袖を振らないで、今の夫の野守(前夫の兄:天智天皇)が見てるから。
 それを受けて、元夫の大海人皇子(おおあまのみこ)は返歌する。

 紫の 匂へる妹(いも)を 憎くあらば 人妻ゆゑに 我恋ひめやも

 あなたはもう人妻になってしまったが、今も恋してますよと。
 【紫】という字、それは万葉のロマンスなのかも知れない。

 しかし、これがドイツとなるとそうでもない。
 【紫】根は「ボラギナーチェ」。
 それに油脂の「オール」を合わせ、「ボラギノール」となる。

 『ボラギノール』、確かに聞いたことがある。
 そう、痔の薬。

 所変われば、まったく……ちぐはぐな話しとなってしまうのだ。


5−(2) 【滞】

 【滞】は、「さんずい」に「帯」。
 この「帯」は「おび」に「巾」(前掛け)を着け、ぎゅっと締め付けている形。
 そこに「氵」が付き、【滞】は「水」が「帯」で締められたように流れずに、とどこおっていることだとか。
 こんな解釈に、「うーん、なるほど。しかし、ちょっとこじつけ?」と呟きたくもなる。

 さらに、【滞】は前に同じ意味の「渋」を付けて『渋滞』となる。
 車の渋滞、誰しもこれにはウンザリだ。
 だがこの渋滞、それはその長さではない。車の走行スピードで定義付けられている。

 一般道では二〇キロ/時以下、高速道路なら四〇キロ/時以下になったら、『渋滞』と言うらしい。
 やっぱり車が連なった距離で『渋滞』とした方がピンとくると思うのだが……。

 そんな渋滞を、数学の微分方程式を使って解消しようとする学問がある。
 それは「渋滞学」が呼ばれ、最近脚光を浴びている。
 実例としては、東日本大震災の被災地に、いかに渋滞を起こさずに物資を運ぶとかだ。

 そんな渋滞学が近々カーナビ渋滞情報にも取り込まれるとか。
 そのポイントは、渋滞している道があり、そして抜け道があった場合、三割の人たちだけに対し、カーナビは抜け道ありとの情報を流すそうな。

 なぜなら、
 みんなに流すと、抜け道も混んでしまうからだって。

 そんなの……、これ学問?
 ちょっと不公平じゃないの?
 こう思うのも、脳の血液が【滞】っているためなのかも知れない。


5−(3) 【煕】

 【煕】、難しい字だ。
 上部の左は乳房の形、そして右は乳児の形。これにより授乳の姿で、養い育てる意味があるとか。
 音は(キ)、訓は(ひかる)/(ひろい)/(やわらぐ)などと読む。

 今から約五百年前に、『妻木煕子』(つまきひろこ)と言う女性がいた。
 その熙子の夫は明智光秀。
 光秀との婚約後、熙子は疱瘡(ほうそう)にかかり痘痕(あばた)が残る。
 父はこの縁談が破断になることを心配し、妹に煕子の振りをさせて、光秀のもとへ送り出した。
 しかし、光秀はこれを見破り、煕子を妻として迎え入れる。
 夫婦は仲睦まじく、光秀の浪人時代、煕子は自分の黒髪を売って光秀の生活を助けた。

 余談になるが、売られた黒髪、当時何のために使われたのか不明。
 人形、それともカツラ。
 有力なのは、女性が髪を結うにあたって、足りない所を補う髢(かもじ)だとか?

 そんな煕子の内助の功があり、光秀は出世する。
 光秀は側室を迎えず、妻の熙子だけを一途に愛した。
 だが光秀が大病した時に、その看病疲れで熙子は亡くなってしまう。
 その後、光秀は、日本歴史上最大のミステリー、『本能寺の変』を起こす。
 そして、京都伏見の東部、小栗栖(おぐりす)の竹藪で、落ち武者狩りの百姓に竹槍で刺し殺される。

 その辞世の句は
 『心しらぬ 人は何とも 言はばいへ 身をも惜まじ 名をも惜まじ』
 明智光秀の生涯、それはただただ煕子と歩んだ人生だったのかも知れない。

 そんな【煕】、「熙笑」(きしょう): なごやかに笑うこと。
 また、「熙熙」(きき): なごやかに喜びあうさま、の熟語を作り、「衆人熙熙として楽しむ」とある。

 とにかく【煕】という字、明智光秀と同様、どことなく愛着を覚え、そして拘(こだわ)りを持ってしまう漢字なのだ。


5−(4) 【力】

 【力】、それは手の筋肉を筋張らせて、頑張る姿だとか。
 確かに人は生きて行くために、様々な【力】が必要。
 生命力/能力から始まり、最近は女子力/オッサン・シニア力まである。
 されどやっぱり欲しいのは、継続力だろう。

 継続は【力】なり。よく言われる。
 だがその文言の前に、実は一つのフレーズがあった。

 それは、「念願は人格を決定する」と。
 そして、それに続けて、必要なものは「継続は力なり」となっている。なるほど、なんと力強い言葉だろうか。

 住岡夜晃(すみおかやこう)は、大正時代に讃嘆の詩の中でこのように記した。
 そして、それはまさに百年経っても、その思いは我々の心に沁みきて、現代人が生きて行く【力】になる詩なのかもしれない。
 その詩の冒頭を参考に紹介させてもらおう。

 青年よ強くなれ
 牛のごとく、象のごとく、強くなれ
 真に強いとは、一道を生きぬくことである
 性格の弱さ悲しむなかれ
 性格の強さ必ずしも誇るに足らず

 『念願は人格を決定す 継続は力なり』
 真の強さは正しい念願を貫くにある

 ここからも力強く、住岡夜晃は引き続き詠う。
 そして我々は「継続は力なり」の名言に感服するのだ。


5−(5) 【想】

 【想】、「心」の上にある「相」は「木」を「目」でしっかり見て、生命力を盛んにする儀礼だとか。
 それを他の人に及ぼし、心で「おもう」となるらしい。

 そんな【想】、最近流行りの熟語が『想定外』。
 震災後、いろいろな場面で、今回の津波は『想定外』だった。また、原発事故は『想定外』だったと連発されてきた。

 まず「想定」は、「ある一定の状況を仮に想い画くこと」と広辞苑にある。
 そして後方に「外」が付くと、日本語では「私の責任外ですよ」のニュアンスが含まれる。

 この『想定外』と言う言葉、なかなか英語にはなり切れない言葉なのだ。
 だが無理矢理に変換されているのが、下記のような文言。

 (1) beyond ones expectation
 (2) beyond the scope of ones assumption
 (3) outside ones imagination

 (1)の「expectation」は「期待」で、「期待を越えて」となり、ちょっと意味合いが違う。
 (3)は「イメージ外」で、やっぱりちょっと異なる。
 この中でもまだ合っているのが、(2)の「assumption」(仮定/前提)だ。
 しかし……、しかしだ。
 それでも「想定外」は英語にならない。

 なぜなら、(1)も(2)も(3)も……「ones」の所有格。
 つまり早い話しが……、「誰の」が必要なのだ。
 今回、場面場面で『想定外』と言った日本人たち、この「誰の」が欠落している。
 そして、電力会社や政治家の英語のインタビュー、どうしても「誰の」が言えなかったのだろう。
 『想定外』を苦し紛れに英語で、単に「souteigai」と言ってしまっている。

 これは一体何なんだろうか?
 これからもいろいろ問題で、海外向けにも説明が求められることだろう。
 そして、日本の関係者たちは、決して「beyond the scope of 『my』 assumption」と言わずに、変な英語、単に「souteigai」だけを乱発するだろう。

 それは不幸なことに、国民が最近になって気付いてしまった、そう、充分予想できる……想定内のことなのだ。


5−(6) 【嵌】

 【嵌】は、「山」/「甘」/「欠」の組み合わせ。
 「甘」は鍵を掛けた字、「欠」は口を開いて立つ人を横から見た形。
 これらに「山」が加わり、山中の入り込んだ窪(くぼ)みとなり、その中に物を入れる意味となるらしい。
 これって一体どういうことと叫びたくなる。

 そんなややこしい漢字だが、音で(カン)と読み、訓で(はまる)と読む。
 そんな「ハマル」、最近大流行だ。
 やれスマホに、やれゲームに……ハマッタ! ハマッタ!
 世間の皆さま、あちらでハマッタ、こちらでハマッタ、あちゃこちゃでハマリッ放し。

 そして、また、その予備軍たちは口を揃えて仰られま〜す。
 私……ハマリそう!
 こういう事態を麻雀で言えば、カンチャン待ちされていて、そこへわざわざホウチャン(放銃)するようなもの。
 要は、敵は四萬と六萬の間の五萬で待っていて、そこへわざわざ値打ちの赤五萬を放り込んで……、ロン(栄)!

 そんな「カンチャン待ち」、それを漢字で書けば、四と六の間の「間ちゃん待ち」……ではない。
 正しくは、まさにハマリ込むの、【嵌】張待ちなのだ。
 またこういう事態を、言い換えれば、どつぼに【嵌】まった……と言うらしい。

 とにかくハマッタ! ハマッタ! だが、
 まだまだ、あれやこれやに……、【嵌】まりそう!
 あ〜あ。


5−(7) 【壺】

 【壺】、この字体、丸く腹がふくれ、口をすぼんだ「ツボ」の形だとか。
 この【壺】という字、もう一つ漢字がある。 
 それは中身が微妙に違う……【壷】
 印刷標準字体の「亞」タイプと、非印刷字体の「亜」タイプとなっている。

 これって、どちらが正しいのだろうか?
 調べてみると、どちらも正解だとか。
 そんな【壺】、その中には『壺中(こちゅう)の天(てん)』と言う別天地があるとのこと。
 そこへ潜り込めば、酒が一杯飲めて、この世の憂さが忘れられるそうな。

 昔、費長房(ひちょうぼう)という役人がいた。
 ある日、楼上から眺めていたら、薬売りの老人が店先にある壺の中に跳び込むのを見てしまった。
 興味が湧き、帰ってきた老人に頼み、一緒に壺の中に入れてもらう。
 するとその中は、立派な建物が建ち並び、美酒佳肴(びしゅかこう)が一杯ある別天地だった。
 費長房は老人とともに、それはそれは楽しい思いをした……そうな。

 行ってみた〜い!
 ということで、近場を探してみた。

 だが、そんな【壺】はどこにもない。
 あるのは「骨壺」くらいなもの。
 そんな【壺】に、もし飛び込んだら、閻魔大王の思う【壺】……ということになるのだ。

 そして大王は嬉しそうに仰るだろう。
「間抜けが【壺】に嵌まりよった」と。


5−(8) 【雨】

 【雨】、天から「あめ」が降る形の字。

 そんな【雨】、少し科学的に解釈すれば、空から落ちてくる直径0.5ミリメートル以上、 大きなものは直径3ミリメートルの水滴のこと。
 それより小さい雨滴のことを、「霧雨」(きりさめ)と言う。
 【雨】は平らな饅頭の形状をして、毎秒9メートルの速さで落下してくる。

 そんな【雨】、必ず降る日がある。
 それは曾我兄弟が討たれた陰暦の五月二十八日。
 十郎祐成(じゅうろうすけなり)には契った遊女の虎御前(とらごぜん)がいた。その彼女が流す涙で、「虎が雨」(とらがあめ)と呼ばれている。
 そして時代を経て、さらに情が入れば【雨】は詩となる。

 雨はふるふる 城ヶ島の磯に
 利休鼠(りきゅうねずみ)の 雨がふる
 雨は真珠か 夜明けの霧か
 それともわたしの 忍び泣き

 北原白秋は城ヶ島の雨でこう詠った。
 この中にある「利休鼠の雨」、それは抹茶のような緑色を帯びた鼠色。

 イメージからすると暗い感じがするが、
 「利休鼠は早緑(さみどり)の上に降る雨で、決して暗い鼠色ではない」と、後日、北原白秋は説明を加えている。
 そんな風情一杯の【雨】が、初夏に降る。


5−(9) 【薔】

 【薔】、難しい字だ。
 音読みで、(ショク)、(ショウ)、(ソウ)、(バ)。
 そして、「薇」と合体して「薔薇」(ばら)となる。

 低木で棘のある木が「茨荊棘」(いばら)。「い」が抜けて「ばら」、それに漢語の「薔薇」を宛てたとか。
 それを音読みで(そうび)、(しょうび)と読む。

 その「薔薇」の字、日本での初登場は約一、一〇〇年前の西暦九一八年。
 本草和名という本で、「うまら」と読まれている。

 そんな「薔薇」、一八六七年以前の薔薇は「オールドローズ」と呼ばれ、それ以降の四季咲きは「モダンローズ」と大別される。
 そして最近人気があるのが、この二つのDNAを持つ「イングリッシュローズ」だとか。 特徴は、なんとなく芍薬(しゃくやく)のような、いや牡丹のような……、やっぱり薔薇かな?

 そんな薔薇、かってクレオパトラは、百均の温泉名湯の粉ではなく、一杯の薔薇の花びらを浮かせた風呂に、毎晩とっぷりと浸かっていたとか。
 美人は薔薇によって育まれるものなのだろうか。
 そんな期待に応え、あるはあるは薔薇冠商品。
 薔薇香水はもちろん、薔薇水、薔薇茶、薔薇酒、果ては薔薇団子に薔薇饅頭までもが。
 ということで、【薔】の世界、古今東西、実に賑わってるようだ。

追記:
 だが、残念なことだ。ほとんどの人が【薔薇】という字が書けない。
 【薔】……草に土、人人が回る。
 【薇】……草の下が微か、ただその中の山下に一あり。

 これで今日から威張れるぞ。【薔薇】という字書けるよと。


5−(10) 【遊】

 【遊】は、道を行く意味を持つ「しんにゅう」。
 その上に、神霊が宿っている旗を建てて出行する形の上の字を乗せている。
 そこから神霊が遊ぶこととなり、さらに発展し、人が興のおもむくままに行動して楽しむこととなった。
 白川静先生は「遊字論」の中で、【遊】について次のように説明されている。

 遊ぶものは神である。
 神のみが、遊ぶことができた。
 【遊】は絶対の自由と、ゆたかな創造の世界である。
 それは神の世界に他ならない。
 この神の世界にかかわるとき、人もともに遊ぶことができた。

 そんな【遊】、芭蕉が奥の細道の序文の元にもしたが、李白の「春夜桃李園に宴するの序」にある。

 夫(そ)れ天地は 萬物の逆旅(げきりょ)にして
 光陰は 百代の過客(くゎかく)なり
 而(しか)して 浮生は夢の若し
 歡を爲(な)すこと 幾何(いくばく)ぞ
 古人燭を秉(と)り 夜に【遊】ぶ
 ……

 この中にある言葉・『秉燭夜遊』(へいしょくやゆう)。
 これがまことに素晴らしい言葉なのだ。
 その意味は、人生は儚(はかな)く短いもの。
 だからくよくよせずに、夜更かしして、『夜遊び』しましょう、というものだ。 

 簡単に言えば、『夜遊び』の大奨励。
 そんな『秉燭夜遊』、座右の銘にしている輩がいるとか。
 えーい、それに賛同して、元々【遊】は神だけに許された行いだが、
 思いっ切り……、【遊】んじゃいましょう!

参考: 奥の細道の序文
 月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。
 舟の上に生涯をうかべ馬の口とらへて老を迎ふる者は、日々旅にして旅を栖とす。
 古人も多く旅に死せるあり。


5−(11) 【鳴】

 【鳴】、「口」と「鳥」が組み合わされた漢字。
 「口」は祝詞を入れる器で、「鳥」の鳴き声で祈ることとか。

 そんな【鳴】、この世では多種多様なものが鳴く。
 鶯は、梅に鶯ホーホケキョと鳴き、雉も鳴かずば打たれまいと注意されても、それでもケーンケーンと甲高く鳴く。
 そして大山鳴動して鼠一匹と、山まで鳴く。

 しかし、清少納言はもっとスゴイ!
 枕草子の中で、蓑虫(みのむし)まで鳴かせてしまったのだ。
 いわく、
 蓑虫の親は、子に可笑しな着物を着せて、秋風が吹く頃に迎えに来てやると言って、どこかへ逃げてしまった。
 それで蓑虫は、仲秋の頃になると、「ちちよ、ちちよ」と鳴く。
 それが哀れで、心が動かされる。

 こんなことを、平安時代のブログで仰っられたのだ。
 それから一千年の春秋を経てしまったが、これがまた律儀に、高浜虚子は俳句でコメントを返す。

「蓑虫の 父よと鳴きて 母もなし」と。
 そして、それだけで止せば良いのに、また調子に乗って、高浜虚子はついでにと……、
「亀鳴くや 皆愚なる村のもの」と、亀まで鳴かせてしまったのだ。

 そんなん鳴くかー! と叫びたくなるが、俳句の世界では、他に鳴くものは一杯ある。 
 驚くことに、季語にまでなってしまっている。

 田螺(たにし)鳴く      (春)
 たにしって、たんぼにいてるたにしが……どう鳴くねん?

 蝸牛(かたつむり)鳴く    (夏)
 梅雨時、紫陽花にかたつむり、ツノ出して鳴くんかい?

 蚯蚓(みみず)鳴く      (秋)
 みみずって、土から出て来て……、みみずの遠吠えかい?

 こうなれば、もう何でもありだ。
 ならば……、ならばだ。 
 鮎風の「鮎」。
 「鮎鳴く」も夏の季語として、充分あり得る話しだ。
 で、一句できあがり!

 鮎【鳴】くや 皆塩焼きに 夏の涼

 で、鳴き声は?
 シオシオ……シオシオ

 これ、どうでっしゃろか?


5−(12) 【数】

 【数】、元の漢字は【數】。
 その【數】の左部は、女性が髪を高く巻き上げた形。
 右部は崩すという意味があり、その二字が合わさって、髪が崩れ、髪の毛が数えられないほど乱れた状態。
 それを【數】というらしい。

 そして【数】は「数字」となり、一、二、三の漢数字に、また1、2、3のアラビア数字、T、U、Vのローマ数字……などになる。

 さらに【数】は語呂合わせされ、言葉にも変身するのだ。
 本エッセイでは、恥ずかしながら本邦初公開。
 思いっ切り行きましょう。

テーマは……『貴女の彼は、どんなヤツ?』

 (11)82     (カッコいいヤツ)?
 それとも 8636  (ハンサム)?

 秘密は守られてます。
 お気に入りの【数】を、どうぞ。

 007182       折れないヤツ
 0315782      オー最高なヤツ
 03510782     お見事なヤツ

 037182       幼いヤツ
 1182         いいヤツ
 18782        嫌なヤツ

 23782        地味なやつ
 269782       付録なヤツ
 29182        ニクイヤツ

 356782       見頃なヤツ
 4182         良いヤツ
 420782       失礼なヤツ

 45182        すこいヤツ
 4646782      よろよろなヤツ
 487182       シャーナイヤツ

 49982        よく食うヤツ
 5386         ゴミヤロー
 5561182      心がいいヤツ

 5922782      極普通なヤツ
 697782       無口なヤツ
 753782       和みなヤツ

 8293182      パンツ臭いヤツ
 8910782      薄情なヤツ
 9041782      クレージーなヤツ

 992782       窮屈なヤツ
 #782         シャープなヤツ

 65182        むごいヤツ
 5182         濃いヤツ

 425686       死に頃ヤロー

 でも、やっぱり  110105  いいオトコ。 
 ここまでくれば、もう止まらない。
 算数言葉を。

 18782 + 18782 = 37564
 (嫌なヤツ + 嫌なヤツ = 皆殺し)

 0105 ー 30 = 075
 (おとこ ー 去れ = おなご が残る)

 88951 ー 4951 = 84000
 (早く来い ー 至急来い = はよせんかい)

 【数】、それは尽きず、いつまでも遊ばせてくれるのだ。

 それでは、この辺で、
 110753 (いいおなごさん)と
 834103 (やさしいおっさん)に

  0 8 4 3  (おやすみ)



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このストーリーに関するコメント

13/06/13 泡沫恋歌

鮎風さん、拝読しました。

いつも勉強になっています。

ありがとうございます。

13/06/15 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

ありがとうございます。

ぼちぼち旅は続けてます。

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