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泡沫恋歌さん

泡沫恋歌(うたかた れんか)と申します。

性別 女性
将来の夢 いろいろ有りますが、声優ソムリエになりたいかも。
座右の銘 楽しんで創作をすること。

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遺跡ラーメン

13/06/04 コンテスト(テーマ):第三十二回 時空モノガタリ文学賞【 ラーメン 】 コメント:11件 泡沫恋歌 閲覧数:3070

時空モノガタリからの選評

最終選考

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 21世紀、南海トラフ大地震による巨大な地殻変動で日本は海底に沈没した。
 わずかに残った国土である北海道はR国が支配し、沖縄はC国が領土主張をして取り上げられた。本州では富士山山頂だけが海面に沈まず、そこに「大和民族」と称し生き残った日本人たちが住みついていたが……やがて、隣国Kの手で駆逐されてしまった。
 ついに日本国は世界地図からも歴史からも消滅してしまった。

 25世紀、再び地球に大規模な地殻変動が起こった。
 それによって海底に没していた日本の領土が隆起したのだ。400年振りに海面に姿を現した、“幻の国Japon”に世界中から学者たちが上陸した。
 この時代、世界情勢は変化して国家は大きく分けて5大陸国がある、アジア、アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、ユーラシアに分かれていた。コンピューターによる情報や流通が進歩したため分割して国を統治する必要性がなくなり、国家を有する利権性も共有されることになった。そういう意味で25世紀は世界国家として平和な時代であった。

 今回“幻の国Japon”調査委員会の隊長であるDr.ヤマダは日本人の血を継承する人物である。25世紀、民族の混血化が進み様々な人種の特徴を優した人種がいるが、Dr.ヤマダ一族は純血日本人との婚姻を繰り返して血統を残した。
 Dr.ヤマダにとって幻の祖国、日本の遺跡調査は感慨深いものであった。
 しかし遺跡といっても長く海水に浸かっている間に浸食されてしまい。建物の跡地ぐらいしか残ってはいない。だが、レーダーを使い地表を細かく調べていくと地下に都市があることが分かった。
 南海トラフ大地震で地下へ行く入口が塞がってしまい、そのまま生き埋め状態となり海底に没した。シェルター装備の地下都市は海水の浸入もなく、完全密封状態で残っていたのだ。――それは“幻の国Japon”の文化を知るための素晴らしい発見だった。

 さて、説明が長くなった――が、いよいよ謎に包まれた「地下都市遺跡」へと調査隊は入って行った。メンバーは隊長のDr.ヤマダとその助手が3名、アクロポリス・アメリカやヨーロッパから考古学者2名と地質学者1名、言語学者1名と医師も同行。他に民間団体やマスコミ関係者など十数人と掘削用ロボット3機、アンドロイド2体が参加した。
「みなさん! いよいよ“幻の国Japon”の神秘のベールが剥がされます」
 隊長のDr.ヤマダが興奮した面持ちで隊員たちにスピーチした。
 掘削用ロボットが入口と見られる場所に穴を開けていく。もう少しで地下都市はその全貌を現す。
 ついに入口へ続く穴が開いた、まずアンドロイドが有毒ガスや落盤の危険がないか調べるために内部に入った。約3時間後に無事に戻ってきた2体のカメラを解読して中の様子を視てみた。地下都市は海水に浸からなかったお陰で良い状態で保存されていた。ここはショッピングモールと呼ばれた商業地区だったようだ。

 そして隊員たちは「地下都市遺跡」へと降りて行った。中は漆黒の闇だがアンドロイドがサーチライトのように灯りを放って照らした。内部は広いが大地震の衝撃で激しく壊れていた、建物が倒れ、瓦礫に埋まり、マネキン人形が散乱し行く手を阻む。これを調査するには膨大な時間が掛かるだろうDr.ヤマダは思っていた。
 更に奥へと調査隊は進む、そこで赤い扉の建物を発見した。看板と呼ばれる板に文字が書いてある。言語学者の解読によると『ラーメン天国』と読むらしい。
《らーめんてんごく?》ここは教会だったのか? キリスト教はお祈りの言葉に、確か《らーめん》言ったと聞いたが……ほとんど無宗教の時代なのだ。
 建物の中ではどんぶりを持った人骨が数体発見された。
「Dr.ヤマダ、彼らは死の直前まで何をしていたのでしょう?」
「テーブルがあるということは集会をやっていた?」
「どんぶりを頭に被って祈っていたのかな?」
 三人の助手たちが口ぐちに喋る。
「どうやら、そのどんぶりの中には食べ物が入っていたようだ」
 奥の厨房では大きなズンドウに圧し潰された人骨があった。その手には何か握られている。それはフロッピーディスクだった。Dr.ヤマダは誰にも見つからないようにポケットにFDをそっと隠した。そこに未来に伝えたいメッセージが込められているような気がしたのだ。――日本人の子孫である自分にこそ託されるべきであろう。

「地下都市遺跡」調査から帰ったDr.ヤマダはそのFDの解析を始めた。それはシェフが自慢のラーメンのレシピを記録したものであった。その謎の食べ物を再現するためにDr.ヤマダは何度々も試行錯誤を繰り返して作った。完成したラーメンを考古学会で発表したDr.ヤマダは、その美味しさに世界中から大絶賛を浴びた。

 日本人の心『ラーメン』が25世紀に復活したのだ!


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このストーリーに関するコメント

13/06/04 泡沫恋歌

写真は無料フリー写真素材[ 足成 ] 様よりお借りしました。
http://www.ashinari.com/

海底遺跡の写真は検索からお借りしました。

13/06/04 鹿児川 晴太朗

拝読いたしました。
ラーメンと近未来小説の掛けあわせにワクワクしながら読み進めました。
ラーメンとAmenの言葉遊びで笑わせていただきました。
ラーメンと近未来は一見すると奇妙な取り合わせのような気もしますが、ラーメンの魅力や文化への定着度を考えると、確かにこういう風に継承されてもおかしくはないなと思わされる説得力を感じました。

13/06/04 そらの珊瑚

恋歌さん、拝読しました。

SF「日本沈没」を想わせる冒頭に引き込まれ、これがどうラーメンにつながっていくのだろう? と思いながら読み進めていると、そういうことだったのですね。なんだかボンベイの遺跡みたいだと思いました。

どんな小さな町でも不思議とラーメン屋ってありますね。元は中華料理でも、こうなったらもう日本の国民食!だと断言できます(笑い)

13/06/04 泡沫恋歌

鹿児川 晴太朗さま。

読んでいただきコメントまでありがとうございます。

実はいろんなラーメンの話が出尽くしているように思ったので、私は斜め上をいく
SFチックなラーメンの話を考えてみました。
なかなかラーメンの話が出て来ないところがミソでした(笑)

そういうことでミソラーメン一丁です(`・ω・´)ハイ!

13/06/04 泡沫恋歌

珊瑚さん、コメントありがとうございます。

そうです「日本沈没」をイメージして、そこから無理やりラーメンの話を
繋いでみました。

日本文化と共に滅亡したラーメンを未来の日本人が復活させるという、
ちょっと感動的な話として考えましたが、どうでしょう?

冒険ものみたいなのは何が出るか、ちょっとワクワクするでしょう?

自分も書いてて楽しかった(笑)

13/06/05 草愛やし美

泡沫恋歌さん、拝読しました。
ラーメンでSF素晴らしいです。面白くて一気に読みました。
設定そのものは、暗くなるようなことが起こったんですが、読後は明るいです。ラーメンというものの持つ、大衆性が日本人として誇れるものだから、前向きに感じるのだと、思います。
たかが、ラーメン、されどラーメン、この作品、秀作だと思います。

13/06/05 ハズキ

これは面白い。
斬新な発送というか、ラーメンて言うと、庶民的な食べ物って感じがしますが、それがSFになると、リッチな感じで、そこがまたユニークです。

25世紀に復活したラーメン、見てみたい。

すごく面白かったです。

13/06/06 泡沫恋歌

草藍さん、コメントありがとうございます。

SFチックなラーメンを書こうと思ったんです。

ちょっと、壮大な話からラーメンに持って行こうとアイデアが浮かんだわけです。
いろんなラーメンの話が出てくると思ったので、奇を衒ったストーリーにしました。

冒険物って普通に面白いですものね(○^o^○)ニコッ♪

13/06/06 泡沫恋歌

ハズキさま、コメントありがとうございます。

25世紀のラーメンはどんな味でしょうか?

死の間際まで、自身のラーメンの味を守るためにFDを持って逃げようと
したシェフの魂が込められているのですから、さぞや、素晴らしい味だったと思います。

今、現在、日本人の多くの人々に愛されているラーメンこそが「日本人の心」だと
思い、こういう話を書きました。

これぞ未来に残したいラーメンの味です!

13/06/15 鮎風 遊

いいですね、ワクワクしましたよ。

こんな話し、ありそうな気もして面白かったです。
地下ものは妄想が広がります。

13/06/17 泡沫恋歌

鮎風さん、コメントありがとうございます。

地底旅行見たいな話で、ラーメン+α
SFチックなラーメンのお話です。 

斜め上をいきました(笑)

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