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名無さん

名無 ななと申します。よろしくお願いします。 スマホからの投稿なので、読みにくかったら申し訳ないです。

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食べず嫌い

13/05/18 コンテスト(テーマ):第三十一回 時空モノガタリ文学賞【 名古屋 】 コメント:4件 名無 閲覧数:1747

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 名古屋城大天守の上で、二体の金の鯱が話をしている。

「ねぇ、最近カラスから聞いたんだけど、名古屋ってグルメの街で有名なんだって」

「え、そうなの?どんなものがあるんだい?」

「なんでも、小倉トーストとか、ういろうとか、味噌カツなんてのもあるんだって!」

「へぇー!それは是非食べてみたいね」

「でしょう?それでカラスに、お願いだからその名物のどれかを持ってきてって頼んだのよ」

「ほう、それで、持ってきてくれたのかい?」

 左の鯱が期待を込めた目で、右の鯱を見つめた。だが、右の鯱は沈んだ顔で、頭を振った。

「いいえ。なんでも名物のなかには名古屋コーチンっていうのもあって、それは鶏ことなんですって。それで カラスが怒ってたの。『鳥を食うなんて許せん』って。人間のグルメなんて理解できん、ですって」

「なんだって?カラスは小鳥だって食べてしまうことがあるのに、人間が鶏を食うのを許せないというのか?なんて傲慢なんだ!」

 左の鯱は怒りに金の尾を震わせた。手羽先の肉汁を想像してヨダレが垂れそうだ。

「 ええ、私もそう言ってやったのよ。鳥は鳥でもカラスじゃないでしょう。食べてみたらきっと美味しいわよって」

「あぁ、全くもって君のいう通りだよ。鶏は鳥だからダメなんて、全くナンセンスさ」

 怒りで鱗が逆立ちそうだ。

「でもカラスは反省して、名古屋コーチン以外でも良かったら持ってきてくれるって言ったのよ。だからきっともうすぐ……」

 ーーカァ、カァ、カァ。

「あっ来たわ!ういろうかしら、海老フライかしら!」

 右の鯱と左の鯱は期待に胸震わせてカラスを見た。カラスは何やら皮肉気な顔をして風呂敷包みを置くと、

「ほら、これが名古屋名物『ひつまぶし』だよ」

と言って風呂敷包みを置いた。右の鯱が風呂敷を開くとーー左右の鯱は驚愕に叫び声をあげた。

「「なんじゃこりゃー!!鰻じゃないか!魚を食うなんて許せーん!!」」

 カラスに言ったことなどどこ吹く風、鯱たちは怒り狂った。鯱も魚を食べることすら棚にあげて。同類意識というものは時に凄まじいものだ。しかしカラスの次の言葉に、鯱たちは凍りついた。

 
「でも君たちは、あくまで魚の形をした屋根の飾りじゃないか」

カラスが冷静にツッコミをいれた。

「ーー成る程その通り」

 言われて、はたと気付いた左右の鯱は顔を見合せ、ペロリとひつまぶしを平らげたのだった。 


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このストーリーに関するコメント

13/05/19 名無

はぐれ狼様
コメントありがとうございます。
名古屋、ほんとに難しいですね。悩んで悩んで、結局考えていたのと違う話にしたら、ぽろっとこんな話ができました。名古屋名物食べたい食べたい!という邪念が表れてしまった気がします……笑。

13/05/19 草愛やし美

名無さん、拝読しました。
わかります、この気持ち。やはり共食いはできませんよね。しかし、名古屋の美味い物名物をうまく当てはめてますね。手羽先、ひつまぶし、なるほどありましすね。鯱さんもしゃちでしたね。金色だって種族は変わりませんもの。とても楽しめました、ありがとうございました。
名古屋で、悩んでいる真っ最中です。あそこって、ある意味、ユニークなんですが、素材が多すぎて、困ります。しかも、私は、京都生まれの大阪在住、知ってるようで、よくわかってない、名古屋弁難しくて、どうやって手を付けてよいのやら……トホホです。苦笑

13/05/20 名無

草藍様
ありがとうございます。
ほんとはこの鯱の会話も名古屋弁にできたら良かったんですが、難しくて変になるので挫折しちゃいました。
そうですよね、本当に素材が多すぎて悩まされます。でもコメント頂いてテンションがかなり上がったので、悩んだ甲斐がありました。ありがとうございます(^^)

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