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地ー3さん

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お手紙、届きました

13/05/03 コンテスト(テーマ):第二十九回 時空モノガタリ文学賞【 手紙 】 コメント:1件 地ー3 閲覧数:1743

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 学校で良く耳にする噂話がある。花子さんとか口裂け女とか、そんな夏のテレビで紹介される怪談に似た噂話が流行っている。名前はお隠し様の手紙というそうだ。この街に移って新しい学校に、クラスにそろそろ馴染み始めてきたかという僕には、みんなよりも遅い段階でその噂話を耳にした。
自分の知らない間に、鞄の中やポケットの中に手紙が入っているとこがあるらしい、差出人は書かれておらず、その手紙に書かれている内容に従わなかったり、他の人に手紙のことを話したりした場合、その人はいなくなってしまうらしい。お隠し様の手紙なんて名前も知らない間に呼ばれるようになっていたそうだ。みんなの話を聞いていると、そんな感じの内容らしい。そして手紙に書かれた内容に従った場合、これについてはよくわからなかった。ある人の話ではお隠し様は気分屋で、気に入った人には御褒美を、気に入らない人には罰を与えるらしい。そんな話を聞いて僕が思ったのは、全部お隠し様の気分で決まるのなら手紙を送られた人は大変だろうなぁ、くらいだった。
 さて、今日の授業は終わった。授業の進み方は前の学校とは違うだろうから大丈夫か不安だったけどなんともなかった。後はもう少しクラスの人と話せるようになりたいかな。休み時間とかに少しずつは話せるようになってきたし、変なことしておかしな奴だと思われたくないし、じっくりやっていこう。今日は帰って何をしようか、宿題が出されたから忘れないようにやっちゃおうか、明日はお休みだし、ずっと遊んでいたいしね。
 お風呂に入って、宿題を終わらせたとき、それに気づいた。鞄の手前のポケットに何か入っている。なんだろう、何も入れていないはずなんだけど何か入ってる。鞄のポケットから引っ張り出してみるとそれは封筒だった。ちょっとコンビニに行けばあるような封筒だ。中に何が入ってるか気になったので開けてみた。中の紙にはこんな文字が書いてあった。


 月曜日の放課後、二階の廊下奥の教室に一人で来ること。


 この紙に書かれたことに従わなかったとき、このことを誰かに話したとき、お前はいなくなる。


 何が書いてあるのか最初はわからなかった。転入して一番最初に話しかけてくれた佐藤君の言っていた噂話が頭に浮かんだ。慌ててもう一度手紙を読み返す。書いてあることはそのままで、嫌な予感があたってしまった。差出人が書いていない。知らないうちに鞄に入っていた差出人が書かれていない手紙、佐藤君が話してくれた噂話のお隠し様の手紙だ。書いてある内容も、注意書きも噂話のまんまで、僕はお隠し様に目をつけられたのだと知った。
 その日は、そのまま布団に潜り込んで、気がついたら眠っていた。せっかくのお休みも、ずっと家にいた。父さんと母さん心配されたけど怖くて喋れなかったから、ほかのこと喋って誤魔化した。
 休みが明けて、今日からまた学校。この間までは頑張って友達作って遊びたいとか考えていたけど今日はなんか嫌だ。行きたくないなぁ。でも行かないとお隠し様が僕をどこかに連れて行っちゃうんだろうな。なんで僕なんだろうか。でも、今日の放課後になったらお隠し様の手紙にあったことをやって、気に入られるようにしないと。
 授業の時間も気になって、先生の話聞いてなくて注意されちゃった。でも休み時間にクラスの子が話しかけてくれてちょっと嬉しかった。クラスの子ともっと話して友達になりたいな。お隠し様の手紙のことが終わったら自分から話してみよう。転校して友達のいない、一人のままなのは嫌だもんね。
 放課後、お隠し様の手紙に書かれていた時間だ。あとは二階の奥の教室に行けばいいんだよね。でも、なんで教室に行くだけなんだろうか、佐藤君の話だともっと難しい内容が書いてあると思ったんだけど、よくわからない。
 二階の一番奥、空き教室のドアの前に僕はいる。あとは空き教室に入るだけなんだけど怖くて入れない。でも、これが終わったら明日からみんなともっとおしゃべりして友達になるんだ。深呼吸して、僕はドアを開けた。

 パン、パン、そんな音と一緒に飛び散る紙ひも。いきなりなことでびっくりする僕。そこにはクラスのみんながいた。
「転入おめでとう」
「驚かしてゴメンな、でもみんなで歓迎しようってクラスの奴みんなで協力したんだぜ」
 そんなことを言いながら笑っている佐藤君とみんなを見て僕は思わず泣いちゃった。さっきまで怖かったのに、でも頑張ってみようって思ったのに、みんなが僕のことを見てくれていて嬉しくて、全部が全部ごちゃまぜのわけがわからないけど泣いちゃった。
 でも、噂話とか全部考えて、ドッキリ成功とかいって笑っていた佐藤君をつい叩いちゃったけど、僕は悪くないよね。


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このストーリーに関するコメント

13/05/03 光石七

拝読しました。
てっきりブラックなオチかと思いきや…
ほんわかした気分になりました。
こんなドッキリなら騙されてもいいです。
主人公は小学生でしょうか?

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